自分の波動は自分で守る。
長崎在住の女性R様から「人を殴るのは楽しい」と殴られたり蹴られたりしていたら風邪を引き、クリスマスに四十度の高熱を出してぶっ倒れていた。熱海の家でホタテ忘年会が開催されることになっていたため、半分死人のような状態で長崎から熱海に移動していたら、ホタテ忘年会の企画者の男性から「知り合いに金を貸したからホタテを買う金がなくなった。後悔はしていない」と連絡が届き、おい、どうするつもりなんだと思った。後悔はしていないと言われても、関西や関東から人が来る。どんな顔をすればいいのかと思った。
結局ホタテはどうにかなり、無事に忘年会を開催できたかと思ったら家の玄関のガラスが粉々に砕け散った。家の玄関で炭火焼きをしていた参加者の方々が、勢い余って割ってしまったのだ。家の中からそれを見ていた私は「割れた」と思いながらぼんやりとしていた。怒る気力もなく、事態の成り行きを眺めていた。特段謝る人は現れず、玄関から「金で解決すればいいでしょ」とか「形あるものはいつか壊れる」と語り合っている声が聞こえて、私の意識は途絶えた。ガラスを破った人から「さかつめさん、ガムテープありますか?」と呼ばれた声で意識を取り戻し、私が「あ、ガムテープですか」と言ったところで、別の参加者の二十代の女性がぶち切れた。あんまりだよ、と。
二十代の女性は、自分より随分年上の女性に言った。ガムテープとか言う前に、まずはちゃんと謝った方がいいと思います。この家はみんなが大事に使っている家だと思います。大事に使っているものが壊されたら悲しいと思います。坂爪さんはガラスを割ったくらいじゃ怒らない人だとは思うけど、怒られないから謝らないんじゃなくて、誰かの大事なものを大事に扱わないってことは、巡り巡って自分を大事に扱っていないってことになるのだと思います。二十代の女性の誠意はしっかりと伝わり、二人は涙を流しながら抱き合っていた。私は、こう言っちゃあれだが、蚊帳の外だった。別の参加者の女性から「ガラス割れちゃいましたねー!うけるー!」みたいなことを言われ、なにがうけるのかよくわからず、あなたはこどもを亡くした親にも同じことを言うのですかと尋ねたら、その人は深刻な顔になって「すぐに笑ってしまうのは私の悪い癖です」と懺悔をはじめた。
なぜかそこから懺悔の流れが生まれて、一人、また一人と、私に向かって「私はこんな問題を抱えています」と長年の悩みなり呪いなりを語り出した。発熱や頭痛の体調不良に、ガラスが割れたショックも重なり、人の懺悔まで聞く余裕のなかった私は「俺のケアは誰がしてくれるんだ」と思った。家のガラスが割れ、ハートのガラスも割れ、人類総懺悔みたいな様相を呈して、重苦しい雰囲気に殺されそうになっていた私を助けてくれたのは、京都から来てくれた十九歳の女の子だった。ある日突然高校に通えなくなり、学校を辞め、あちこちふらふらしながら、いまはカメラマンをやりながら生計を立てている。そんな彼女の話を聞いているだけで、清純な川のほとりにいるような癒しのエネルギーに満たされ、私は浄化された。
エネルギーバンパイアという言葉もあるが、悩みを話している人を見ると「あなたがあなたのエネルギーバンパイアになってませんか?」と思う。自分が言っていることや、自分がやっていることに、自分自身がエネルギーを吸われて、やる気がなくなり、なにもかもが嫌になったり怖くなったりして、全部面倒臭いとなる。結果、自分も他人も大切に扱えなくなる。悪いことをしたなと思ったら、罪滅ぼしを考えるより先に、謝った方がいいよ。罪悪と、罪悪感は別物だよ。謝らないで、罪滅ぼしだけ考えると、罪悪感を背負うことで、罪悪から逃げてしまっている。罪悪は、直視をすれば、変えていける。直視しないと、追われる。玄関のガラスが割れ、石垣が崩れ落ち、地面に穴が開き、なぜなのかよくわからないが家全体がボロボロになってしまったが、薄紙一枚で夜露をしのいでいる。障子の向こうはいきなり自然だが、強風が吹かない限り、まだまだ、生きていける。
おおまかな予定
12月28日(土)静岡県熱海市界隈
以降、FREE!(呼ばれた場所に行きます)
連絡先・坂爪圭吾
LINE ID ibaya
keigosakatsume@gmail.com
SCHEDULE https://tinyurl.com/2y6ch66z
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