フェイスブック、気候変動の誤情報を野放しに 2研究が指摘
レイチェル・シュレア&ケイリーン・デヴリン、BBCリアリティー・チェック(ファクトチェック)
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フェイスブック上で、気候変動を否定する投稿がラベル付けなどの措置のないまま拡散されていたことが、偽情報に関する研究2件から明らかになった。
「The Center for Countering Digital Hate(CCDH、デジタル憎悪対策センター)」と「Institute for Strategic Dialogue(ISD、戦略的対話研究所)」によると、フェイスブックに掲載されている気候変動について誤解を与える投稿のうち、「誤情報」だというラベルが付けられていたのは10%以下だった。
CCDHの研究チームはさらに、こうした誤情報の投稿の大半が、わずか10人の発信者と関連付けられると指摘している。
フェイスブックは、こうした投稿は、気候変動に関するコンテンツのほんのわずかなものに過ぎないとしている。
気候変動を否定する投稿を追跡
CCDHは、オンライン上のヘイト(憎悪)や誤情報を防ぐため、モニタリングやロビー活動を行っている非営利組織。
CCDHが発見した、気候変動について「ヒステリー」、「心配性」、「でまかせ」といった言葉を使っている7000件の投稿のうち、誤情報のラベルが付いていたのはわずか8%だったという。
フェイスブックは今年初め、気候変動を否定するコンテンツにラベルを付けると約束している。
CCDHが研究対象とした投稿は昨年のもので、これまでに合わせて70万回、「いいね」が押されたり共有されたりしている。研究チームは「ニュースウィップ」というソーシャルメディア分析ツールを使い、「気候変動」、「地球温暖化」といった単語と、「詐欺」、「うそ」、「カルト」、「でまかせ」といった単語のつながりを探った。
また、それぞれの投稿が研究で定めた気候変動の否定の条件に一致しているか、あるいは誤情報を否定する投稿でないかを、人の手で確認した。
調査によると、共有率の高かった投稿は、気候変動は科学で証明されていない、データで否定できるといった間違った推論を展開していた。また、こうした投稿の69%はたった10人の「非常に汚染度の高い」発信者によるものだった。CCDHは、この10人を「トキシック・テン(有害な10人)」と名付けている。
現実には、気候変動についての人々の理解は、世界各国から集められた何百万件もの計測値の分析によって成り立っている。また、多くの独立した研究機関が、産業革命と気温上昇が始まった時期が一致しているという結論に達している。
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政府が気候変動を阻止するために人々の自由を奪う「気候ロックダウン」という立証されていない概念も、多くの投稿で拡散されていた。科学者からは、新型コロナウイルスのパンデミックによるロックダウンが気候を大きく改善したという証拠はないため、こうした政策が行われる可能性は極めて低いとの指摘が出ている。
CCDHは、こうした例は気候変動を否定する内容の中でも最も過激なものだと説明。フェイスブック上にある気候変動の誤情報の規模は分からないが、気候をめぐる陰謀論が、ラベル付けや削除などされないまま拡散していることは確かだと述べた。
広告にも気候変動否定が
ISDは、過激派への対抗措置を研究しているシンクタンク。ISDと共に調査を行った環境保護団体「Stop Funding Heat(温暖化に投資するな)」は、フェイスブック上で「気候変動の存在そのものやその影響、人間が気候変動に与える影響、そして早急な対処の必要性などを損なう」誤情報を、さらに見つけたと発表した。
4日に発表された報告書によると、2021年1~8月の間に4万8700件の投稿を分析したところ、誤情報であることを示すラベルが付いていたのはわずか3.6%だったという。
また、同時期に「気候変動はでまかせ」といったようなメッセージが書かれたフェイスブック上の広告を113件特定。5万8000~7万5000ドル(約660万~850万円)が費やされていると推測した。
さらに、10月のドイツ総選挙の際に再生可能エネルギー関連の投稿で最も拡散された25件のうち18件が、気候変動を疑問視するか、気候変動対策を批判するものだったという。化石燃料についても同様で、最も拡散された25件のうち19件が、やはり気候変動対策を否定する内容だった。
一方ツイッターでは傾向は逆転しており、多くの投稿が科学的証拠を示したり、気候変動対策を支持するものだった。
世界中のユーザーに拡散
CCDHが特定した、気候変動に関する誤情報の発信者の大半はアメリカ在住だった。しかし、彼らの投稿を最もよく見ていたユーザーは、ブラジルやインド、ポーランド、ハイチ、メキシコ、タイ、ロシア、フランス、ドイツなどに散らばっていた。
またISDの報告書によると、気候変動を否定する内容の投稿は、イギリス、オーストラリア、ロシア、インド、ポーランド、南アフリカ、日本などから行われていた。
フェイスブックの広報担当者は、CCDHが分析した70万件の投稿は、気候変動に関する全投稿2億件からすればほんの一部に過ぎないと述べた。
その上で、「ファクトチェック(事実確認)パートナーによって偽情報や誤解を与える情報と格付けされた投稿を減らすことで、フェイスブックは今後も気候に関する誤情報と闘っていく」と話した。