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『夢中問答集』【神奈川大学給費生試験2025大問1】解答速報+全訳(傍線部番号付き)

リード文の補足説明

足利直義(足利尊氏の弟)
足利直義(あしかがただよし)は、足利尊氏の実弟であり、室町幕府初期における重要な政治家です。足利尊氏を補佐し、室町幕府の体制確立に尽力しました。しかし、後に尊氏との間で対立が生じ、観応の擾乱(かんのうのじょうらん)と呼ばれる政争が勃発しました。この争いの中で直義は失脚し、最終的に死去しています。

夢想疎石(むそうそせき)
夢想疎石は、臨済宗の僧侶であり、足利尊氏の帰依を受けたことで知られます。彼は後醍醐天皇の冥福を祈るために京都五山の一つである天龍寺を建立しました。天龍寺建立に必要な資金を調達するため、天龍寺船(てんりゅうじぶね)と呼ばれる貿易船を中国(元)に派遣しました。この天龍寺船は、足利尊氏の支援を受けた経済政策の一環でもありました。

「仏法とは、国王・大臣のような勢力のある後援者である檀那に付託されるものである」
この言葉は、「仏教は一人一人の信仰にとどまらず、社会全体を導くために権力者や有力者の支援を受けるべきだ」という考えを示しています。これは、仏教が社会や国家の安定のために役立つ存在であり、その役割を果たすためには強い後援者が必要である、という意味を含んでいます。

檀那(だんな)
サンスクリット語の「ダーナ(dāna)」に由来し、ダーナは「布施」や「施し」を意味し、仏教では功徳を積むために僧侶や寺院に対して財物や食べ物を施す行為を指します。そこから、「布施を行う人」や「仏教を支援する信者」を「檀那」と呼ぶようになりました。特定のお寺に所属し、金品を寄進する家のことをさす「檀家」という言葉もありますね。
元は「与える」という意味のサンクリット語「ダーナ」と同じ意味を英語では「ドネーション」、仏教用語では「ドナー」といい、日本語訳では「檀那(旦那)」となります。
妻が夫のことを旦那と呼ぶのは、働いて給料を家庭に持ってきてくれるという事に由来しています。

問一「なのめならず」の意味

原文:しかれども、近年世の乱れによりて、関東・京都・御祈祷とてなさるること、なのめならず
現代語訳:しかしながら、近年の世の乱れによって、関東や京都で行われる御祈祷というものは、並々ではない。

正解は③(並みひととおりでない)

問二「この式にてはいかでか御祈りにもなるべきやと覚えたり」の解釈

現代語訳:このようなやり方では、どうして御祈祷が成り立つだろうか、いや成り立たないだろうと感じた。

  1. 「いかでか」
    「いかでか」は「どうして~か、いや~ない」の意味を持つ反語表現です。ここでは「どうして成り立つだろうか、いや成り立たないだろう」という意味を表しています。

  2. 「御祈りにもなるべきや」
    「御祈り」は祈祷を指します。「なる」は「成り立つ」「実現する」という意味。「べき」は当然性や可能性を表す助動詞で、「や」は係助詞。全体として「成り立つだろうか、いや成り立たないだろう」という反語になります。

正解は②(この方法であってはお祈りになりようがないと思われる)

問三「古への大師高僧の、国家を祈り災厄を払ひ給ふ」の理由

原文:古への大師高僧の、国家を祈り災厄を払ひ給ふことは、これを方便門として、衆生を接引して、大菩薩を証せしめむためなり。
現代語訳:昔の高僧や大師たちが、国家の安泰を祈り災厄を払いなさったのは、それを方便の教えとして用い、人々を導き、大いなる悟りを得させようとするためである。

「大菩薩」は「大いなる悟り」を指し、「証せしめむ」は「悟りを得させようとする」という意味で、「む」は意志の助動詞。「なり」は断定の助動詞です。

正解は③(御祈祷を通じて仏の慈悲を霊験として示すことで、人々を悟りへ導くため。)

問四「助動詞問題」

i「包み給へによりて」正解は③存続

原文:この大慈悲の徳を内に包み給へるによりて、国王・大臣の帰崇も他に異なり。
現代語訳:この大いなる慈悲の徳を内に備えていらっしゃることによって、国王や大臣たちの尊崇の念も他とは異なっている。

「内に包み」は「内に備える」または「持っている」という意味です。「給へる」は尊敬の助動詞「給ふ」の連用形と存続の助動詞「り」の連体形で、「~なさっている」という意味を表します。全体として「慈悲の徳を内に持っていらっしゃる」と訳します。

ii「和合せ故に」正解は①過去

原文:しからばすなはち、万人の信力、高僧の慈力、仏力・法力、感応道交し、因縁和合せし故に、霊験空しからず、祈願皆成じき。
現代語訳:そうであるならば、万人の信仰の力、高僧の慈悲の力、仏の力や法の力が互いに感応し合い、因縁が調和したために、霊験は決して無駄になることがなく、祈願はすべて成就したのだった。

「因縁和合せし故に」
「因縁」は仏教用語で「物事が成り立つ原因や条件」。
「和合せし」は「和合す」の未然形+「し」(過去の助動詞「き」の連体形

iii「仰せ出ださるれども」正解は⑤尊敬

原文:とりわきたる御祈りとて、たまたま施物も下行あるべしと仰せ出ださるれども、大略は有名無実なり。
現代語訳:特に立派な御祈祷ということで、たまたま施しの品が下賜されることもあるだろうとおっしゃるけれども、大体においては名ばかりで実質がない。

「仰せ出ださるれども」
「仰せ出だす(おっしゃる)」に、尊敬の助動詞「るれ(已然形)」+接続助詞「ども」が付いています。

ⅳ「服し給へと申すなりと」正解は⑦断定

原文:とても服し給はば、薬となるやうに服し給へと申すなりと答へけり。
現代語訳:ぜひ服用なさるならば、薬になるように服用なさってくださいと申し上げたのだ、と答えた。

断定の助動詞「なり」の終止形。「~だ」という断定を表します。

v「覚果を証せしめむと」正解は⑥使役

「証せしめむ」
「証す(さとる・悟りを得る)」+「しむ(使役)」+「む(意志)」
ここでは「覚果を証す(悟りを得る)」ことを「他の人々にさせる」という使役を示し、「万人に悟りを得させよう」という意味になります。

問五「活用の種類」

サ変は「す」「おはす」だけだから、「和合す」が他と同じにはならない。「和合す」を含まない選択肢は③のみだから③が正解

続きは有料となります。理数個別指導学院に通う生徒さんは無料で差し上げますので担任の先生に伝えて頂ければデータを担任の先生にお渡しいたします。

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