横に整数が書かれている分数を「帯分数」と呼びます。
帯分数の計算は小学生レベルの問題ではありますが、大人になってから計算しようとすると案外難しいかもしれませんよ。
さて、あなたは今回の問題、正しく計算できるでしょうか。
問題
次の計算をしてください。
(7+1/3)+(3+1/7)
※当記事では、「7と1/3」のような帯分数を「7+1/3」と表します。
解答
正解は、「10+10/21」です。
帯分数の計算、どうやってするのか思い出せましたか?
次の「ポイント」で、素早く正確に計算するための方法を解説します。
ポイント
今回の問題のポイントは、「整数と分数を別々に計算すること」です。
帯分数は、整数と1より小さい分数(真分数)でできた分数です。今回の問題では、足される数、足す数どちらも帯分数になっています。
帯分数を計算する方法は、二つあります。
一つは、整数部分を分数化して真分数と足し合わせ、仮分数(1以上の分数)の形にして計算する方法です。ただし、この方法は、時間がかかることが多いです。
もう一つの方法は、帯分数の形のまま、整数と分数を別々に計算することです。
では、具体的な計算方法を見てみましょう。
(7+1/3)+(3+1/7)
=(7+3)+(1/3+1/7)←整数と分数を別々に足し合わせる
=10+(1/3+1/7)
まずは整数と分数を分けて、整数だけを足しました。
残りの1/3と1/7は分母が違う分数の足し算なので、通分して計算する必要があります。通分とは、分数の大きさを変えずに分母を共通にすることです。
通常共通の分母は、二つの分母の最小公倍数(共通の倍数の中で最も小さい数)とします。今回二つの分数の分母は3と7なので、最小公倍数は21になります。
分数には、分子と分母に同じ数を掛けても表している数が変わらないという性質があります。1/3の分子と分母に7を掛けると分数の大きさを変えずに分母を21にできます。
1/3
=(1×7)/(3×7)
=7/21
1/7の方は、分子と分母に3を掛けましょう。
1/7
=(1×3)/(7×3)
=3/21
これで足し算の準備が整いました。分母が同じ分数は、分子どうしを足し合わせれば答えが出ます。
では、計算の続きをしていきましょう。
10+(1/3+1/7)
=10+(7/21+3/21)
=10+(7+3)/21←分子どうしを足す
=10+10/21
これで答えが出ましたね。
【おまけ】 仮分数に直して計算してみよう
最後にこの問題のもう一つの計算方法、帯分数を仮分数に直して足し算する方法をご紹介します。
帯分数を仮分数に直すには、整数を次の形の分数にして、真分数と足し合わせます。
分母:隣の真分数と同じ分母
分子:整数×隣の真分数の分母
式は、(7+1/3)+(3+1/7)なので、7+1/3と3+1/7を仮分数に直してみましょう。
7+1/3
=(7×3)/3+1/3←整数を分数にする
=(21+1)/3←隣の真分数と足す
=22/3
3+1/7
=(3×7)/7+1/7←整数を分数にする
=(21+1)/7←隣の真分数と足す
=22/7
次に、この二つの仮分数を通分して足します。
22/3+22/7
=(22×7)/(3×7)+(22×3)/(7×3)←通分して分母を共通の21にする
=154/21+66/21
=220/21
220/21を帯分数に直すと、10+10/21になるので、答えは先の計算方法と一致します。
このようにどちらの計算方法でも正しい答えは出せますが、仮分数に直すと数字が大きくなってしまい、計算しづらさを感じるかもしれません。
まとめ
今回の問題では、帯分数の足し算に挑戦しました。
帯分数の足し算は、整数と分数を別々に計算する方法と、仮分数に直して計算する方法があります。どちらの方法でも計算できますが、前者の方法の方が楽に計算できることが多いですよ。
分数の計算問題は他にも用意していますので、ぜひ引き続き挑戦してみてください。
※当メディアでご紹介する数学関連記事においては、複数の解法をもつものもございます。 あくまでも一例のご紹介に留まることを、ご了承ください。
文(編集):VY
数学とIT技術学習が趣味のWebライター。実用数学技能検定2級と数学教員免許を取得後、家庭教師や学習支援スタッフとして数学指導を行ってきた。文系と理系の別、年齢にとらわれない、誰でも楽しめる数学解説作成を目指している。