様々ポイントはあるが、ここは重要だと考える。青線部の被害者の発言や事実が、判決では被害者の意図、悪意に変換されてしまっている。
①「断れなかった」は同意の推認させるものでも、不同意の不在を推認させるものでもない。
②「なんかいいんですけど」は、性暴力被害者の無力感の現われあるいは、性暴力加害者の責任追及が難しいという現実への諦めと捉えるのが適切。
③とは言え、性暴力被害の記録が存在し、拡散の恐れもあることは、性暴力被害からの回復への深刻な障害となる。動画は性暴力被害そのものと切り離せない。
④口腔性交を「当初」申告していなかったことは、原審認定の通り、被害者の記憶の欠落・混乱、解離、想起することへの無意識の抵抗は当然の反応であり不自然なことはない。むしろ、(今回は争われていないが)行為の事実やその被害の深刻さを表すものであると言える。
以上のことは性暴力被害の実際を知っていれば、反証がなければ当然に導かれること。
ところが、判決では「状況等を誇張し、自身の不利な行動を隠して矮小化して供述する明白な動機」「口腔性交【1】の事実等を隠す内容の虚偽供述をした」と被害者の悪意に飛躍、変換されてしまった。これは事実認定そのものの問題ではなく、裁判官の性暴力一般に対する認識、意識の問題。検察の立証が失敗したという主張があるがそれは論点のすり替え。