再逮捕されたのは、佐賀市川副町に住む地元の自治会長で佐賀市の元市議会議員の川崎直幸容疑者(75)です。
警察によりますと、川崎元市議は判断能力が低下していた知り合いの80代の女性からキャッシュカードを不正に入手し、去年8月からことし3月にかけて佐賀市内の金融機関のATMで8回にわたって合わせて357万円余りを引き出したほか、ことし5月には女性の預金口座から185万円を払い戻させだまし取ったとして、窃盗と準詐欺の疑いが持たれています。
元市議は女性とともに佐賀市内の金融機関を訪れて女性名義の払い戻し請求書をみずから作成し、現金を引き出していたということです。
調べに対し、「頭の中が真っ白で分からないので黙秘します」と供述しているということです。
警察は元市議がこの女性からさらに多額の資金をだまし取った疑いがあるとみて詳しい経緯を調べています。
元市議は今月4日、同じ女性の口座から210万円を払い戻させてだまし取ったとして逮捕されましたが、検察はこの容疑について処分保留にしました。
高齢女性の口座から現金引き出したか 元市議を再逮捕 佐賀
判断能力が低下していた知り合いの80代の女性から現金をだまし取ったとして逮捕された佐賀市の元市議会議員が、女性の口座からほかにも合わせて540万円余りを引き出したなどとして準詐欺などの疑いで再逮捕されました。調べに対し黙秘しているということです。
被害を受けた女性の近所の人たちは
被害を受けた80代の女性が住んでいた佐賀市内の自宅近くの住民からは、元市議の車が女性の自宅に来ているのを目撃したとか、引っ越しのあいさつもなく女性が急にいなくなったなどの声が聞かれました。
このうち近くに住む女性は「女性とは接触がほとんどなかったです。以前、路上でたまたま女性と会ったときに、財産の管理は亡くなった旦那さんが全部していたので、名義変更などが大変だと話していました。元市議の車が女性の自宅に来ているのを見たことはあります」と話していました。
また、近くに住む別の女性は「引っ越しのことは全然知らなかったです。元市議の紹介でどこかの老人ホームに入ったという話は聞きました。でも、引っ越しをするときは、ふつう近所の人くらいには言うと思いますが、全然そんな話もないまま、急にいなくなりました」と話していました。
“資産家”の女性 ことし6月末に突然行方不明に
被害を受けた80代の女性と20年以上のつきあいがあるという男性がNHKの取材に応じました。
男性によりますと、被害を受けた女性は佐賀市内の340平方メートルの自宅や田畑などを所有する資産家で、数年前に夫を亡くしたあとは1人で暮らしていました。
日常生活には支障がありませんでしたが、夫が亡くなったあと認知機能の低下がうかがえるようになったため、男性が月に1度は女性の自宅を訪ね、困りごとを聞いていたといいます。
しかし、ことし6月末、突然、女性の行方が分からなくなりました。
男性が女性の自宅の前を通りかかると表札やポストが取り外されていて、携帯電話もつながらない状態に。
そして自宅ではリフォーム工事が始まりました。
工事の担当者は「風呂のお湯も張ったままで、まるで夜逃げのような感じだ。家の中には荷物がすべて残っていて片付けが大変だ」と話していたといいます。
その後「売家」というのぼり旗が立ったため登記簿を確認したところ、女性の自宅は6月下旬に不動産会社に売却されていたことが分かったということです。
女性はどこに消えたのか。居場所を探し続けた男性は、7月末、地域の包括支援センターなどを通じて、女性の新たな連絡先を聞くことができました。
電話をかけると女性は「夜、引っ越し屋さんが来て、冷蔵庫とテレビだけ積んで、こんな狭い所に連れて来られた。今どこに住んでいるかも分からない」と話したといいます。
自宅が売りに出されていることも理解していない様子だったということです。
その時の状況について男性は「女性は事件に巻き込まれているのではないか。ただごとではないと感じた」と話しています。
その後、女性の転居先が明らかになりました。住んでいたのは佐賀市内にある家賃数万円のアパート。そして女性が生活保護を申請していたことも分かりました。
男性は、「ネットで調べたら転居先は学生向けの狭いアパートだった。女性は身ぐるみはがされて、何もかも奪い取られ狭い部屋に追いやられていた。どんなにつらいんだろうと悲しくなるし、『もっと早く気付けなかったのか』と後悔する気持ちがある」と話しています。
そのうえで地元の自治会長が逮捕されたことについては「見守る立場の人が悪意を持って今回のようなことをすれば防ぎようがない。たまたま今回は気づくことができたが1人暮らしで近所づきあいがあまりない方の場合は異変に気付きにくい」と話していました。