生成AI(人工知能)やクラウドサービスなどの需要拡大に伴い、データセンター(DC)のニーズが高まっています。建設・不動産業界でもDC開発に大規模投資の動きが活発化しています。
大林組は2024年11月、DCの開発・運用を手掛ける新会社「MiTASUN」(ミタサン、東京・港)を設立。新会社が今後10年以内に約1000億円を投じて、東京都心のオフィスビルを小規模なDCに改修したり建て替えたりします。需要の多い都市部で小規模DC群を連係させることで、郊外の大規模DCに匹敵する規模を確保する狙いです。
三井不動産は24年7月、東京都日野市と相模原市でDCを開発する計画を発表。30年までにDCへ数千億円規模を投資する方針も明らかにしました。大和ハウス工業は、千葉県印西市に「DPDC(ディープロジェクト・データセンター)印西パーク」を開発。約1000億円を投じて、DC計14棟を建設します。総延べ面積は約33万平方メートルで、国内最大規模。30年に全棟の完成を目指します。
一方で、DC開発の課題も顕在化しています。その1つが建設費の急騰です。建設コストの動向に詳しいサトウファシリティーズコンサルタンツによると、DCの建設費の指数は、設備工事費の高騰に伴い、21~24年の3年間で45%も増加しました。工事請負契約にも落とし穴があります。法律事務所大手の西村あさひ法律事務所は、外資系企業が日本でDCを建設する際、海外の契約手法などを持ち込み、それが契約交渉の難航や建設途中のトラブルにつながっていると指摘します。
地域住民がDC建設計画に反対する例も相次いでいます。かつて都心部の商業地域や工業地域に建てられることが多かったDCが近年、住宅地が近接する郊外地域にも造られるようになってきたからです。住民がDCを「えたいが知れないもの」とみなし、迷惑施設扱いするケースも散見されます。
こうした中、NTT系の建築設計事務所・NTTファシリティーズ(東京・港)は、カーボンニュートラル(温暖化ガス排出量実質ゼロ)の取り組みと併せ、敷地内に緑と水が広がる住民の憩いの場を設けるなど、地域に愛される施設づくりを目指す次世代型DCプロジェクトを進めています。日経クロステックで掲載している最近の主な類似記事をまとめました。