社内の組織活性化プロジェクトに参加したことで、人生が大きく動き出した

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大阪出身で、農学部の大学院を卒業後、新卒で田辺製薬(現・田辺三菱製薬)に入社した高熊。10年強、医薬品の研究に携わっていました。

高熊 「会社に入ってから博士号も取得し、企業研究員としてずっと研究を続けていくつもりでした。研究留学も視野に入れていましたから。ですが、同じ研究所にすごく優秀な先輩がおりまして、その方を見ていて思ったんです。

はたして20年後、自分はその先輩に追いつけるのか?と。そう自問自答したとき、自分には追いつけないという答えに行き着きました。同じ道で追いつけないのであれば、別の道で勝負しないと自分の価値はない、と思ったんです」

ちょうど時を同じくして、社内の組織活性化プロジェクトの参加募集の案内がありました。その名も「未来創造プロジェクト」。

高熊 「全社横断的なプロジェクトでとても興味深く参加しましたが、研究所を離れるつもりはまったくなかったんです。ところが、このプロジェクトをきっかけに経営企画部に異動することになりました。そして、新規事業を推進する『未来創造室』を新設するから、立ち上げメンバーにならないかと誘われ、承諾しました」

こうして、入社12年目にして長年勤めた研究所を離れ、新設の部署に異動することになった高熊。これが、非常に大きなターニングポイントだったのです。

高熊 「経営企画や新規事業の経験を積ませてもらった後、経済産業省に出向することになり、ヘルスケア産業課に在籍しました。民間企業から官公庁に出向する官民交流の一貫です。そこに3年間ほど出向した後、再び田辺三菱製薬に戻ってきました。

2022年現在は、創薬基盤研究所のマネージャーとして、名前にもある創薬研究に取り組んでいます。最近ですと、AIをどう活用していくかという戦略立案から、実際にAIモデルの開発にも携わったりしています。

経産省にいたころはデジタルヘルスの黎明期で、その産業政策の立案や事業者の支援をしていたこともあり、ある程度のDXやAIに関する知識は身についていたことが、今の業務に活きていますね」

会社を変えていかなくては。強い使命感から立ち上げた社内コミュニティ

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▲CPTMの活動イメージ

社外出向を通じて、より幅広い知識を得てきた高熊。その経験をもとに、社内で放課後の部活動「CPTM」を立ち上げ、有志を募って活動しています。

高熊 「CPTMはいわば社内コミュニティ活動です。Communication Platform for Talent Maximizing、つまり人材の価値を最大化するプラットフォームという意味を込めています。ですが、実はもう一つ仕掛けがあって、田辺三菱製薬の略字MTPC(Mitsubishi Tanabe Pharma Corporation)を逆さから読んでCPTMなんです。

コミュニティ自体は、Teamsを使ってオンライン上で社内のいろいろな部署の人と交流できるもので、『部署も役職も関係なく、互いに学びあえるようなコミュニティを……』という想いから、私自身で立ち上げて運営しています。

『なんだかんだ会社が好きな人』や、『良くないところがあれば変えていきたい』と思っている人が、メンバーとして参加してくれています」

CPTMの主な活動内容は、勉強会や交流会、会社の役員クラスの面々をゲストに招いた講演会などで、場合によっては、社外から著名人を呼んでセミナーを開いてもらうことも。立ち上げて2年弱、当初は5名ほどだったメンバーも、今では90名にまで増えました。

高熊 「なぜCPTMを立ち上げたかといいますと、ちょうど経産省の出向から戻ってきたころまで遡ります。当時、社内ではデジタルトランスフォーメーション部が立ち上がり、DX化に向けた改革プロジェクトが始動するタイミングでした。私が外から帰ってきたからという点が大きかったのかもしれませんが、田辺三菱製薬の未来を考えたとき、もっと積極的に会社を変えていかなくてはいけないなと感じたんですよね。

とはいえ、トップダウンだけでは組織は変えられません。草の根運動的にコツコツと現場からも動いていく方がいい。そのためには、コミュニティを作ってネットワークを広げていき、改革の旗振り役を育てていかなくては。そんな使命感が、CPTMをスタートしたきっかけです。

地道に続けてきた甲斐もあり、現在はアクティビティが高いリーダー候補のような人が集まってくれています」

経済産業省への出向で感じたカルチャーショック。得たものの大きさ

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▲出向時の発表風景

今でこそかなりアクティブに活動している高熊ですが、昔からそうだったわけではありません。

高熊 「振り返れば、会社が掲げるミッションやビジョンなどにはそこまで関心が高くなく、身の回りのことで精一杯でした」

そんな高熊が大きく変わったきっかけは、やはり経営企画部、未来創造室への異動、そして経産省への出向でした。

高熊 「会社にいたときも、当然ビジネスを進めていく上で顧客目線を大切にしていました。けれど、経産省は国ですから、やはりスケールが違いましたね。視座が高いといいますか、見ている世界や目指しているものが大きい。

社会人になってから十数年間、ずっと田辺三菱製薬にいたので、社外のことをほとんど知りませんでした。それが外に出てみると、信じられないくらいすごい人たちが山程いるんですね。本気で世の中を変えていこうという人がたくさんいて、その人たちの考え方にわずかでも触れられたことは、私にとってものすごく刺激になりました」

出向先での経験から、高熊の中でこんなマインドが芽生えました。

高熊 「異動や出向に限らず、広い視野をもって“一歩踏み出すこと”が大事だと思っています。社外の世界に積極的に触れること、外の物差しを持つことで、人生は豊かになる。

さらに、外の世界でたくさんの知識と経験を得ることで、現業にすばらしい影響があることも確かです。外の世界と自社とを客観的に比較することができ、良い部分を再認識し、足りていない部分はどう補い、どのような行動をしていくかを考えることができます。

私が社外で出会った人たちは、皆さん明確なビジョンを持っていて、自ら課したミッションを会社で掲げていました」

周囲から刺激を受け、高熊も自身のビジョン、ミッションを持つようになりました。

高熊 「私のビジョンは、『健康を願っている全ての人が人生を楽しく生ききれる世の中を作りたい』ということ。そのための手伝いをすることがミッションです。こういった想いを持って仕事に取り組んでいます」

自分なりのビジョンとミッションを持って仕事に取り組めば、人生が豊かに

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▲当社キャラクターのたなみんと一緒に

外の世界に触れ、自分なりのビジョンやミッションを持つことの大切さを痛感した高熊は、自ら立ち上げたCPTMを通じて、社内のメンバーに対してもその想いを共有しています。

高熊 「私は現在グループの管理職なので、メンバーに個人のビジョンやミッションを持つことを勧めています。人生の中で仕事に携わる時間はとても長い。なんとなく仕事をするよりも、自分の考え方に合った会社で働いた方が絶対にハッピーだと思います。

だからこそ、その想いを言語化する大切さを伝えたい気持ちはあるのですが、これって哲学的な話なので、強制するのは違うなと思っていて。自分自身で気づいてくれたらいいなと願いながら、しつこくならない程度に話しています」

さらに、高熊がビジョンやミッションを持つことに対して熱い想いを持つ理由には、昨今の時代背景もあります。

高熊 「今はもう高度経済成長期ではなく、医薬品だって出せば売れる時代は過ぎ去りました。いわゆる不確実な時代です。前例もなく、明快な答えもない中で、最適な解を出さなくてはいけない。そうなると、求められるのは会社や組織がどうこうという前に、一人ひとりの想いや行動なのだと感じています。

個々が活躍できる環境づくりこそ、会社や組織の役割なのかもしれません。人は急に成長することは難しいけれど、1日0.1%だったらできそうじゃないですか?たとえ0.1%の成長でも、毎日積み重ねていけば一年でおよそ1.4倍です。十分な成長率ですよね」

個々の活躍を重要視する高熊は、CPTMの活動を通じて一人でも多くの社員の成長を後押ししていきたいといいます。

高熊 「CPTMにて学びの機会を増やし、参加メンバーに1日ずつ、少しずつでも成長しているという実感を持ってもらえるように。本当にコツコツと地道にではありますが、若手に限らず同世代や上の世代であってもチャレンジしたい意志のある人がいれば参加していただき、活動を通して一緒に成長していきたいです。

そして、その結果として、よりチャレンジできる企業風土、文化を作っていきたいと思います」

本業である創薬本部の仕事に加えて、ライフワークとしてCPTMの活動を行っている高熊。その想いに共感し、感度の高いメンバーが続々と集まってきています。

「周りが変わり始めたな、自分も変わってみようかな」という意識が少しでも芽生えることを信じて──高熊の挑戦は、まだまだ続きます。