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月明かり










34
 私はまだ京子を睨みつけていた。
 窓の外には冷たい風が吹き始め、黒い雲が流れている。


 「ふふ 私はね、今でもSMクラブでムチを打ってるのよ、そして 店の舞台の上でもね」
 (!・・・)


 「店の階段に飾ったあの絵を見る度に、アタシの心は苦しくなるの・・・でも その怒りをムチに乗せるのよ。SMクラブに来る男を佳恵の旦那と思って打ち付けて、舞台の上では女を佳恵と思って打ち付けるのよ・・・・クッ ククク・・・」
 哀しい女の裏にある女王様の顔・・いや どっちが本当の姿なのか。


 「ふふ 波多野君に言ったわ 『直ぐに佳恵が今 何処で何をしているのか調べなさい』 って・・・ 『アナタ お金ないんでしょ、報酬は弾むわよ』 って」
 「まさか・・・・」


 「それで波多野(かれ)は佳恵を捜し出して山本(あなた)の事も突き止めた。・・・・佳恵(かのじょ)がもし 今不幸な立場にいたらアタシはそれだけで満足したかも知れない・・・・・でも」
 「・・・・・」


 「波多野(かれ)の報告を聞いた時 再び私の心の中に怒りの炎が湧き上がってきた・・・・『佳恵さんは、学生時代の同級生と再婚して幸せに暮らしてる』 ・・・・地獄のような知らせだったわ」
 「グッ ググググ・・・・」
 口の中から蛙を潰した様な奇妙な音が漏れる。


 「思わず言ったわ 『あの女は夫の前で自分の性癖を隠して良い女(こ)を演じてるだけなんでしょ!? 波多野君 アナタは知ってるんでしょ その女の本性を。・・・・前に言ってたわよね 道尾の前であられもない痴態を晒(さら)してたって、新しい奥さんは信じられない位の変態女なんだって・・・。その女の仮面を剥(は)がしてやるのよ。・・・・波多野君 アナタが脅せば佳恵(かのじょ)は出てくるわよ、旦那にばらされたくなかったら、今の家庭を壊したくなかったら アナタの言う事を聞くはずよ』 って」


 私を打ちのめす言葉が雨のように、ムチのように吐き出され、そして呪縛のような言葉が身体を締め上げる。
 身体が固まりながら、小さく震え出していた。
 京子がフッと息を抜く。


 「その後はご存知の通り、塩田さんに連絡をしたわ。波多野君から○○出版の“塩田 誠” の旧友が佳恵の旦那だって聞いてね。塩田さんが、あの絵をあなたの奥さんと間違えるかどうか知りたかったの」
 (・・・・・・)


 「それで塩田さんがビックリしたのを見て確信したわ、アナタも見たら必ず自分の妻と勘違いするだろうって。そしてその絵を見て、妻の過去を許せる度量の持主なのか、それとも嫉妬で潰れていく男なのか・・・・。塩田さんが電話で、波多野君の事をそれとなく聞いてきた時 ピンときたわ、アナタやっぱり気にしてるんだって・・・」
 「い・・いや 違う・・・俺は・・・」
 京子には聞えない小さな声だった。


 「ふふ 私その前から波多野君に言っておいたの 『佳恵の旦那が、アナタを捜してるみたいよ、一度どんな男か会ってみれば』 って」
 「・・・・・・・・・」


 「ふふ その時波多野(かれ)何て言ったと思う?」
 「・・・・・・・い いや・・」
 小さな声が苦し紛れに吐き出される。

 
 「ふふふ 『一度Y駅の店で見かけてます。佳恵さんを呼び出した時に、なぜかそこに来てたんです。でも僕に声を掛けるでもなく、ただ 背中を向けてました・・・その後 僕の後を尾(つ)けて来て、僕も少しビビッてましたけど、結局何も言ってくるわけでもないし・・・所詮 肝っ玉の小さな男だと思いましたよ』 ってね」
 「ウッ ウグ・・・・・・・」
 

 「ふふふ だからアタシも波多野君に言ってあげたの 『そんな男だったら、佳恵さんもきっと満足してないわよ』って、 ・・・『だから 波多野君 アナタ 佳恵さんを自分の物にしなさい、昔を思い出させてあげるって言ったら来るんじゃないの? 不思議なもんでね 女は脅されても、それを言い訳にして上手く立ち回るのよ』 って・・・・ふふふ」
 「お・・・お の れ ・・・・・」


 「ふふ そんなに怒らないでよ。でも 呼び出したら本当に出てきたのよ・・・しかも アナタには風邪だってウソをついてる時にもね」
 「け・・・け い は、そんな・・・」


 「この数日間、昼間 奥さんが家(うち)に居た? ふふ 携帯電話は、どこでも繋がるのよ」
 重く苦しい空気が、頭に、肩に、身体全体に圧し掛かって来る。


 「うふ アナタの大事な恵さんは、今朝から 六本木の私の店にいるはずよ」
 (くっ!)


 「ふふ そこで波多野君と、それともう一人 “あの人”と楽しんでるんじゃないかしら、舞台に上がる練習も兼ねてね」
 「なっ なんだと!」


 「ふふ 行ってらっしゃい。そこで見てくるといいわ、アナタが愛した恵さんの本当の姿を。・・・お店は今日は貸切よ、貴方たち4人の。・・・波多野君に電話して、お店のドアの鍵を開けとくように言っ・・」
 その瞬間 私の拳(こぶし)が、目の前のテーブルを叩きつけた。
 灰皿が飛び上り、グラスが倒れ、京子の瞳に驚きの色が浮かぶ。
 私の目が釣りあがり、荒い息が吐き出される。

 
 「・・・・調子に乗るなよ・・・・恵が・・・恵がそんな女の訳が無い・・・・今から行ってやる・・・・・・そんな女の訳が・・・・」
 最後の小さな声は、自分に言い聞かせたものだった。


 部屋の中に何度目かの沈黙がやってきた。
 やがて京子が噛み締めた口を開く。
 「・・・そうね、行って来るといいわ。それで恵さんがアナタの元に戻るのか、どうなのか・・・或いは貴方が許せるのか?・・・どちらになっても“慰謝料”は払わせてもらうわ」
 

 「うるさい! そんな物はいらない! どちらにしても俺たちには もう付き纏うな!」
 ドスの利いたその言葉を言い終わると同時に私は立ち上がり、そして玄関に向った。
 背中に京子の視線を浴びながら・・・・。











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