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月明かり










33
 京子が私の目を見つめる・・私の覚悟を確認でもするかのように。
 「道尾はね、探してたのよ 私の代わりになる女を・・いや 代わりじゃないわ・・」
 「・・・・」


 「道尾は私とは違う “M”の女を探してたのよ」
 (なに!)


 「ふふ 何をそんなに驚いてるの、アナタ 自分の奥さんの性癖が分からなかったの?」
 (・・・・・・・・・・)


 「初めて会った時 アナタの事はすぐに “ノーマルだ” って分かったけどね、それと鈍感なんだって・・まだ新婚気分が抜けてないんだって」
 (・・・・・・・)


 「“その人”の知り合いに怪しい連中が何人かいたらしいわ。その中の一人に金融ブローカーみたいなのがいて、その男がどこからかアナタの奥さんの話を持ってきたらしいわよ」
 (・・・・・・・)


 「アナタも何となく心当りがある話じゃないの? 佳恵(かのじょ)のお父さん ずっと商売が上手くいってなかったんでしょ」
 頭の中に恵の実家の母親の顔が浮かんできた。


 「借金のかたにでも差し出されたのか、それとも自ら担保になったのか、そこらへんは分からないけど、アナタも知らなかったのかしら?」
 「・・・・・・・・恵は」


 「・・・・・・・・・」
 「恵は・・・道尾と結婚してしばらくは 『何一つ不自由しなかった』 と言っていた・・・」


 「そうね、印税収入が何もしないでも入ってきてた頃だったものね。佳恵(かのじょ)は道尾の事を、最初は実家を助けてくれる優しいお金持ちと思ってたんでしょうね」
 「それが・・・なんで・・・」


 「道尾の中にはストーリーがあったのよ。道尾(かれ)は小説家よ、佳恵のM性を見抜いて自分好みの女にしようとしていたのよ。そしてゆくゆくは佳恵(かのじょ)をモデルに小説を・・・・」
 (まさか・・・・・・でも・・)
 私の表情に、京子がゆっくり頷く。


 「しかし 京子さん、なぜ あなたがそんな事を知ってるんだ」
 「ふふ 波多野君から聞いた話よ。家を出た後も私は、波多野君とはしばらくの間 連絡を取っていたわ。弁護士を入れて離婚の話しを進めてる時に、佳恵(かのじょ)の存在を波多野君から聞いたのよ」
 (・・・・・・)


 「でもね・・不思議だわ。佳恵(かのじょ)の存在を知った時、別居中なのに 私の中に見た事もない佳恵(かのじょ)に対する “嫉妬心”が沸いてきたの・・・それは離婚した後もずっと・・・・今も・・」
 京子の大きな瞳がスッと細くなり、どこか哀しい色が滲(にじ)む。
 私達の間にしばらくの沈黙が訪れる。
 そして・・・。


 「恵は・・・恵はまさかその頃から波多野と・・・」
 「・・・・・・さあ? 私と “同じ”ように波多野(かれ)と寝て、それを道尾が覗くの?・・・・」
 京子の瞳に再び妖しいマダムの色が宿り始める。


 (・・・・・・・・)
 「ここまで話したからついでに教えておいてあげるわ。何ヶ月前だったかしら、何年ぶりかに疎遠になってた波多野君からいきなり電話があったのよ。『お金に困ってるから助けて下さい』って」
 (・・・・・・・・)


 「昔の事を思い出してとりあえず会う事にしたわ。店も不景気でお金が必要な時期だったけど、波多野(かれ)の声を聞いたら何だか可愛そうになってきてね」
 「その店っていうのは、六本木のあのクラブか」


 「ええそうよ。元々道尾のゆかりの店があった所よね」
 「・・・・・・・・・・」


 「それから何度か波多野君のマンションに行ったわ。何度目かの時に六本木のクラブの事を話したら、波多野(かれ)が“絵”を出してきたの、店のイメージに合うんじゃないかって」
 頭の中に仄暗(ほのくら)い灯りの中から炙(あぶ)りあがる、5枚の絵が浮かぶ。


 「波多野(かれ) ニコニコ頭を掻きながら言ったわ 『実はコレ 道尾(せんせい)の所からこっそり失敬したやつなんです』 ってね」
 「・・・・・・」


 「アタシはその絵の事は、よく覚えていたわ。だってアタシが若い頃モデルになった“絵”なんですから・・・・・でも」
 「・・・・・・」


 「でも 波多野君がその絵を見ながら恐ろしい事を言ったの・・・『この絵のモデル 道尾(せんせい)の2度目の奥さんの佳恵さんなんですよね・・・うん 絶対! そっくりなんですから』 って・・・・・その瞬間 私の身体中の血が逆流して、毛が逆立ったわ」
 私の口からは小さな呻き声が上がった。


 京子は何かに急(せ)き立てられるように喋り続ける。
 「信じられなかった・・・・道尾の2度目の奥さんと、私の若い頃が似ていたなんて。・・・そしてアタシ 呪ったわ、今の自分の膨らんだこの身体とアナタの奥さんの事を」
 強くも哀しい声だった。


 「・・・しかし その怒りを恵に向けるのは筋が違うだろ」
 「・・・・・・・・・知らないわ 分からないわよ 自分だって!・・理屈じゃないんだから」
 ふくよかな顔が歪み、目尻から水が漏れた・・・ような気がした。
 そしてまた沈黙がやってきた。


 「京子さん・・・・あなたが離婚を受け入れながらも、道尾の事を忘れられなかった事はわかった。でも その鉾先(ほこさき)を恵に向けるのは見当違いだ」
 低く強い声だった。
 私の目に怒りの色が滲(にじ)んだ・・・・に違いない。
 京子の目が私を睨み返す。


 「ふん アナタには女の気持ちは分からないわよ」
 初めて京子に会った時に感じた事・・・相当の器量の持主・・それも歪んだ・・・・。










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