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月明かり










27
 私は目の前の年老いた管理人が言った言葉・・・。
 『~金貸しかい?・・』
 その意味をとっさに考えようとした。


 「い・・いや 私は違います・・・・金貸しでは・・」
 「・・そうかい、あまり大きな声じゃ言えないんだけど、この半年位前から波多野さんの所に変な人が訪ねて来てるんだ」


 「変な人?」
 「ああ 身なりはビシッと決めてネクタイにスーツなんだけど・・何て言うんだろう・・冷たい目をしてるんだよね」


 「・・・・・・・」
 「私は直ぐに金貸しか “あっち”の人だと思ったよ」


 「・・・・・・・・」
 「雰囲気の似た人が曜日や、時間を変えて来たんだけど・・・私も何度か聞かれたよ」


 「な・・何を?」
 「うん、『波多野さんはちゃんと家に帰ってるか、不在のようなんだけど』 ・・って」


 「そうなんですか・・」
 「言葉尻は丁寧なんだけど、有無を言わさない迫力があったね・・・うちのカミさんなんか、ビビってたよ」

 
 「・・・・・・・・」
 「でもあんたは、“あの人達” とは違うな・・・あんたは優しいオーラが出てるよ」
 私を警戒していたその目は、ようやく私を許してくれる普通の目に戻っていた。


 「あんたも波多野さんに何を貸したか知らんが、あまり彼とは付き合わないほうがいいと思うよ」
 「あの・・・波多野はこちらのマンションには長いのですか」


 「うん そうだね、もう5年以上前からは住んでるね。私達が5年前にここの管理人になった時は、もう居たから」
 男が眼鏡を外し、目を擦りながら答える。


 「昔はなんでも、有名な作家の助手みたいな事をしながら小説家を目指した ってそんな噂を聞いた事があったな」
 「・・・・・・・・」


 「でも その作家(せんせい)が死んで、それから大した仕事に就いてないらしいよ」
 私は、男の言葉に知らずに相槌を打っていた。


 「管理人さん、・・それと波多野の所には、金貸し以外に訪ねて来る人はいませんでしたか」
 エントランスを通り抜ける住民を気にしながら私は、小さな声で訪ねてみた。


 男が再び眼鏡の縁に手をやり私を見上げる。
 「あんた、もしかして興信所の人かい?」
 「いっ いや ちがいますよ・・・私は貸した物をただ返してもらいに・・・」


 その言葉が終わる前に男が喋り出す。
 「んん そう言えば、たまに“女” が来てたな・・中年の」


 私は男に悟られないように唾を飲み込んだ。


 「ど・・どんな」
 私の小さな声だった。


 へっ へへ・・男のそんな表情の後だった。
 「結構可愛い、年上だったと思うよ・・・」


 その時 私の胸ポケットに振動が響いた。
 私は管理人の男に軽く会釈してその場を離れた。
 一旦マンションの玄関を出て、開いた携帯電話の画面を見る。
 そこに “塩田 誠”の文字。


 『山本、京子さんの事やけど』
 「うん・・・」


 『波多野の心当りを聞いたんだけど、お前と直接話したいらしいわ』
 「えっ ・・俺と直接?」


 『ああ お前が波多野を捜してる事を伝えたら、直接話したい って・・』
 「・・・・・それで知ってるのか? 波多野の居場所を・・」


 『いや それは分からん・・・・でも 心当りがあるから言うんやろ 直接会いたいって』
 「・・・・・・・」


 私の中に何とも言えない気持ちが湧いてきた。
 しかし、それを整理する余裕も時間もなかった。


 「わかった どうすればいい?」


 私は、塩田が教えてくれた目的地をメモした。
 「それで塩田・・・・京子さんには、恵が出て行った事は言ったのか?」
 『いや 大丈夫、その事には一切触れてない』


 私は、黙ったまま小さく頷いた。










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