令和の虎 599人目「手洗い洗車のサブスクを福岡から全国へ広めたい」レポート
1.動画概要
白血病を乗り越えた個人事業主・坂本幹弥(29)による「手洗い洗車のサブスクを福岡から全国へ広めたい」融資500万円中、60万円で。Nothing。
2.動画考察
・志願者の経歴から見るポテンシャル
志願者は高校卒業後、食品工場に就職。8年間の勤務において、毎年役員表彰を受け、最年少で幹部候補生に選ばれた。1年間の研修を通して経営者と関わる内に起業意欲が高まり、2023年3月に退職。現在は2つのアルバイトを掛け持ちながら起業準備を進めている。本プランの実行に必要なテナントが見つかったため、その資金を得ようと本番組に臨んだ。
・志願内容と、その評価
本プランは「月額制で回数無制限(サブスクリプション、以下サブスク)の手洗い洗車サービスで収益を上げる」内容。出資形態は融資、希望金額は500万円。
テナントには最大で4台の洗車スペースがあり、営業時間は10時から20時まで。1ブースあたり30分で対応する。志願者は月100万円の売上を損益分岐点として設定しており、これを達成するためには200台の契約が必要。
本プランは、サブスクで展開されるため利用頻度が高い顧客が多いと、事業者側のコスト負担が増加する。具体的には、洗剤や水道代といった消耗品のコストに加え、洗車を行うスタッフの人件費がかさむ可能性が高い。特に、毎日洗車を必要とするような個人タクシーの運転手などが契約した場合、コストが急激に増大し、事業の収益性に悪影響を与えるリスクがある。
また、洗車サービスは雨の日の翌日に利用が集中しやすく、逆に天気の良い日には予約が少なくなるなど、利用が偏るリスクが考えられる。1日に多くの利用者が集中すると事業側の対応が難しくなるため、志願者は完全予約制によって対応を図る意向を示した。しかし、利用したい時にサービスが利用できない状況は顧客満足度の低下に繋がるとして、虎たちはこの対応に納得しなかった。
さらに、このプランの料金設定やビジネスモデルは、既に国内で展開されている他社サービスの模倣にとどまっており、競合との差別化が十分にできていない。また、志願者は当初、参考にした企業と実際にシステム併用について話し合いを行い、提携の可能性を探っていた。しかし手数料の高さを理由に提携を断念し、別のシステムを導入するに至っている。他社と接触して情報を得ながら、そのサービスモデルや利点だけを取り入れようとする姿勢が、志願者に対する誠実さや倫理観を疑わせた。
収益性やサービス内容の不十分さから、平出氏はこのプランはビジネスモデルとして厳しいと評価した。
・虎が出資する意義、メリット
特徴であるはずのサブスク構造が、本プランにおいては売上よりもコストを圧迫する仕組みであり、他社の洗車サービスとの差別化も見られない。サービス内容の精査も不足しているため、収益性は見込めない。また、志願者がビジネスパートナーとしての稚拙さもあり、出資するメリットは乏しい。
・志願者の人間性
志願者は、幼少期から白血病を患い高校生の頃に完治した経験から「自分は短命かもしれない」という意識が根底にあり、自分の人生を人のために役立てたいという使命感を抱いていると語っている。しかし、洗車サービスの利用者が求める利便性や満足度を見据えた構想が欠けていることから、その意気込みが事業プランに十分に反映されているとは言い難い。
虎とのやり取りの中で、志願者が本当に情熱を持っているのは洗車サービスではなく、車の塗装面を保護するコーティング業務であることが明らかになった。コーティングに重きを置くあまり、事業の中心となるべき洗車サービス全体への思い入れは不足していると考えられる。
他社サービスの模倣を指摘された際に「パクリだという自覚がなかった」と正直に認める姿勢も見られたが、従業員の負担を考慮した運営上の工夫も見られず、経営者に必要な広い視野が不足している。
3.まとめ
本プランについては、志願者自身の洗車サービスそのものに対する熱意や、利用者の利便性に対する配慮が欠けている点、他社サービスの模倣や従業員の負担への考慮不足も指摘され、志願者が頑張ってプレゼンに向き合っている姿から細井氏が10万円、林氏は50万円を提示したが、結果はNothingとなった。
志願者は、本来の目標であるコーティング業務を実現するために、プラン内容を無理に結びつけた部分が見受けられる。初めに何を重視しているかという本音を率直に示し、自分の目指す方向性を明確する必要があったと思われる。その上で、コーティングを通じて提供する付加価値や、顧客が得られるメリットを強調することで志願者の情熱を正しく伝え、ディスカッションを通じて本プランを実現性の高いプランにブラッシュアップすることができたと考える。


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