株式会社キトー AI自動翻訳の導入事例 事業海外比率75%から来る高い翻訳ニーズを受けとめたのは、翻訳量無制限プランの『Mirai Translator®』
マテリアルハンドリング機器のリーディングカンパニーとして、日本はもとより、世界中にビジネスネットワークを拡大している株式会社キトー。今や事業の海外比率は75%に上り、あらゆる市場に安全性と耐久性に優れた信頼性の高い製品を提供しています。
5~6年前から機械翻訳ツールを業務に取り入れていた同社では、2021年度より『Mirai Translator®』に切り替えて活用されています。本記事では、地域事業管理部 吉田 全宏氏、土屋 恒平氏、伊藤 ゆき子氏、法務室 天野 智美氏に採用の理由と活用状況を伺いました。
株式会社キトー
1932年の創業以来、モノを持ち上げ、運び、固定する作業に不可欠な、マテリアルハンドリング機器のリーディングカンパニーです。チェーンブロック、レバーブロック、ロープホイスト、クレーンといった製品が、日本はもとよりアメリカやヨーロッパ、アジアなどの世界各国で評価され、売上高の75%は海外から生じています。また、社員の75%が外国籍という組織のグローバル化も進んだ企業です。
ご担当者様
地域事業管理部 地域事業サポートグループ マネージャー 吉田全宏(よしだ・まさひろ)様
地域事業管理部 地域事業サポートグループ セールスナレッジチーム 主任 土屋恒平(つちや・こうへい)様
地域事業管理部 地域事業サポートグループ セールスナレッジチーム 主任 伊藤ゆき子(いとう・ゆきこ)様
法務室 主任 天野智美(あまの・さとみ)様
目次
出発点:業務の随所で高い翻訳ニーズ、しかし既存のツールには複数の課題
吉田氏
ー 地域事業管理部とは、どのような業務を担当される部門なのでしょうか。
吉田:当社は世界の事業地域を大きく、日本、北中南米、EMEAと呼ばれる中東・アフリカ・ヨーロッパ、そしてAPACと呼ばれるアジア大西洋地域に区分しています。地域事業管理部は俯瞰的な立場で、国や地域ごとの商習慣やニーズを理解しながら、キトーのモノづくりの考え方や製品の品質や特長といったナレッジを蓄積し、それらを伝えていく役割を担っています。
土屋氏
土屋:地域事業管理部の中で私のいるセールスナレッジチームは、販促活動を担当しています。キトー製品は専門性が高いため、新人社員や中途社員にはなじみがありません。そこで、製品知識や経験の浅い社員でもスムーズに商談活動が進められるように、ガイドブックというものを海外子会社に提供しています。公開情報に加えて、キトー製品の強みを解説したもので、2~3cmの厚みがある冊子です。現在20数種類の製品の記載があり、3~4カ月に一度情報を更新しています。私たちの部門の翻訳ニーズは、主にこうした販促資料にあります。
天野:私は法務室に属しています。事業の海外比率が高いため、契約書をはじめとした法務文書の翻訳が頻度、量ともに多いです。そもそも、当社で機械翻訳ツールを最初に使い始めたのは法務室でした。それもあって、みらい翻訳の導入に関しては、私たちの部署が取りまとめ役を担っています。言語方向は全社的に、日本語⇔英語、日本語⇔中国語が中心です。
ー その機械翻訳ツールは、何年ほど利用されていたのでしょうか。
天野:5~6年前から使っていました。ただ、そこにはいくつか課題が……。一番大きかったのは、従量課金制だったことです。翻訳文字量に上限があるため、「メール本文の翻訳に使用したらダメよね」と、ついためらいが生じていました。
土屋:また、PDFなどファイルを翻訳する機能はなかったため、部分翻訳にとどめたり、そもそも翻訳することをあきらめたりしていました。しかし、それでは全容がつかめず、情報共有が進みませんでした。
伊藤氏
伊藤:翻訳に時間もかかったので、とりあえず文章を入れて、いったん他の仕事に取りかかり、後から結果を受け取るといった流れがルーティンになっていましたね。
選択の理由:最大の決め手は翻訳量無制限プランの存在
天野氏
ー それで、別の機械翻訳ツールを探してみようということになったのでしょうか。
天野:はい。もう少し使い勝手のいいものはないかと思って。ニュースサイトのアンケートで『Mirai Translator®』のことを知り、一度デモをしてもらったところ有望そうなので、1カ月のトライアルを実施することにしました。せっかく使うなら仲間は多い方がいいので、IDを50発行してもらい、地域事業管理部をはじめ、品質管理、経理、内部監査、知財管理など英語をたくさん使いそうな部門に声をかけ、またそうした部門から別の部門に声をかけてもらって、スタートしました。このとき、みらい翻訳から環境設定で手厚くサポートをいただき、ありがたかったです。
各部門で使う用語が違和感なく訳せるかどうかで判断しようと思っていましたが、参加したメンバーからは「このまま使い続けたい」、中国籍の社員からも「自然な中国語だ」といった声が返ってきたので、『Mirai Translator®』にリプレースすることを決めました。
ー 決め手は何でしたか。
天野:最大のポイントは、翻訳量無制限プランを選べたことです。上限を気にする必要がないので、トライアルのときも参加メンバーはあれもこれもと翻訳にかけていましたね。セキュリティが高いため機密情報も安心して翻訳できる点もいいと思いました。
土屋:私はファイル翻訳機能ですね。ガイドブックや社内資料をレイアウトや文字色そのままに、まるごと翻訳できるのが便利でした。
競争力の源泉、キトー製品ガイドブック
吉田:操作性やスピードもよかったですよ。特に研修など受けなくても直観的に使えましたし、ファイルをまるごと翻訳にかけられて、それもすぐに結果が返ってくる。高い業務効率向上効果が期待できると思いました。
導入後の感想と今後の展望:業務スピード向上、海外リサーチ促進、ナレッジ深化など効果を実感、今後は全社展開へ
ー 現在のご利用状況はいかがですか。
天野:現時点での利用人数は80名ですが、まもなく全社展開を開始します。PCを使用している社員が対象で、約450名になります。費用は法務室で負担し、ID付与などの運用業務も行っています。
ー どのような点に導入効果を実感していただいていますか。
天野:何でも気兼ねなく訳せるようになったことは大きいです。メールの本文なども翻訳にかけられるので、英語が得意でない私もコミュニケーションが楽になりました。定量的な効果としては、法務関連業務のスピード向上です。現在、新規取引先との間で契約書を交わす際、契約条件や取引条件に関して各部に意見や判断を求めるやり取りが発生します。このときに元の英文に和訳をつけて社内関係部門に回覧するようにしています。英文のみのときは、回覧に2カ月ほどかかっていましたが、日・英併記にしたことで1カ月に短縮。文書の差し戻しなども減って、業務の品質も上がっています。
土屋:モノづくりの世界には、EN規格など準拠すべき指令や規格が膨大にあります。特に海外の指令や規格は内容を理解するのもむずかしく、ファイル翻訳でまるごと日本語にできれば、しっかり目を通そうという気になります。さらに、翻訳時間が節約できた分、その先に目を向けられるようになり、リサーチの幅も広がりました。例を挙げると、キトーヨーロッパはドイツ語で資料を作成しています。これをドイツ語→英語→日本語で翻訳するなど、仕事のリーチが広がっています。
ー 今後の展望をお聞かせください。
吉田:全社員に利用が広がることを期待しています。当社は外国籍の役員も多く、レポートは日本語と英語で作成します。英訳する際には部署によって異なる翻訳会社を利用していると思いますので、みらい翻訳をみんなで使うようになれば、情報共有の質もスピードも上がって大きなパワーになるし、結果的にコストダウンにもつながっていくと思っています。
伊藤:英語以外の、たとえばタイ語のように今まで現地語でもらっていた資料も、うまく翻訳して横展開できれば、新鮮なセールスナレッジをみんなで共有できると思います。
天野:時間が確保できれば着手したいと思っているのが辞書づくりです。当社には、“特定セル製品(標準品)”と“特定セザル製品(特殊仕様品)”など、キトーならではの社内用語がたくさんあり、こうした用語の標準訳を用意して、さらに便利に使ってもらうことを考えています。