株式会社サンゲツ AI自動翻訳の導入事例 生成AI出現で無料ツールのリスクを再認識。セキュリティポリシーが明確で現場も手間なく使えた『Mirai Translator®』を採用
愛知県名古屋市に本社を置く株式会社サンゲツ。壁紙や床材、カーテン、椅子生地など、約13,000点におよぶ商材の開発・販売を行っています。1849年、名古屋城の近くに表具師 日々弥助が山月堂の暖簾を掲げたのが原点で、以来170年以上にわたってインテリア・エクステリアに関わるトータルビジネスを展開しています。
サンゲツ品川ショールーム。インテリアアイテムやコーディネート例を展示しているショールームが全国各所にある(画像元:サンゲツ 企業サイト)
同社では、2023 年7月より『Mirai Translator®』の正式利用を開始。本記事では、株式会社サンゲツ サイバーセキュリティ統括室長 豊田康二様、海外事業部門 海外ビジネスユニット 海外事業課長 樋上智子様、コーポレート部門 法務部 法務課 桑山万璃様に採用の理由と活用状況を伺いました。
株式会社サンゲツ
インテリアからエクステリアまで、人々の暮らしを彩る商品を生み出し、快適な空間を創造する企業。主軸のインテリア事業では、住宅から非住宅分野まで、室内空間を彩る壁紙や床材、カーテン・椅子生地をトータルに扱っています。多彩な商品開発力、全国にまたがる営業力、JUST IN TIMEを実現する物流力で、インテリア内装材におけるトップシェアを築いています。2020年に発表した長期ビジョン【DESIGN 2030】において、2030年に目指す企業像「スペースクリエーション企業」を掲げ、2023年5月に発表した中期経営計画【BX 2025】では、これまでの商品を軸とした組織体制から地域ユニットを軸とした新組織体制へと刷新。スペースクリエーション企業として、空間デザイン提案機能、スペース材料提供機能、在庫・配送・物流機能、そして施工機能の4つの機能を有機的に統合したソリューション力により、高い価値を提供する企業を目指しています。
ご担当者様
サイバーセキュリティ統括室長 豊田康二(とよだ・こうじ)様
海外事業部門 海外ビジネスユニット 海外事業課長 樋上智子(ひのうえ・ともこ)様
コーポレート部門 法務部 法務課 桑山万璃(くわやま・まり)様
目次
出発点:北米・中国・東南アジア他との取引で日常的に発生している翻訳業務
豊田氏
ー 皆さまの業務内容をご紹介ください。
豊田:私はサイバーセキュリティ統括室というところに所属しています。これは昨年立ち上げました。ご承知のとおり、多くの企業・自治体へのサイバー攻撃が激化、これによって企業単体のみならずステークホルダーにも甚大な被害を及ぼすという事例が多発しています。今後もこの傾向は続くとみており、私たちもサイバーセキュリティに特化した組織を設けることになりました。
樋上:北米・中国・東南アジアのグループ会社を中心に、インテリア商材の販売を行っている海外事業部門に所属しています。受発注業務や輸出のデリバリーを行うとともに、海外のグループ会社がサンゲツの商品を販売できるよう商品マニュアルや資料を作成する営業支援を行っています。
桑山:コーポレート部門の中の法務部に在籍しています。週に数回発生する、海外企業との契約で翻訳業務を行っています。
選択の理由:「ChatGPT」などの生成AI出現を契機に無料ツールのセキュリティリスクを認識
ー 今回、どうして『Mirai Translator®』を探してくださったのでしょうか。
豊田:始まりはセキュリティリスクの認識にありました。昨年後半に「ChatGPT」のような生成AIが出現して以来、これをどう取り扱うべきかサイバーセキュリティ統括室を中心に議論を重ねてきました。最大の懸念はこれを利用することで業務に関わる情報がどう出ていくか、どう扱われるかわからないというところですが、逆にこちらが著作権も侵害してしまう恐れもあります。
そこで2023年6月にガイドラインを策定し、無料のAIツールは原則社内利用禁止にしました。そうしたらその中に翻訳ツールも含まれていたので、それまで自分の好みのツールを使って翻訳業務を行っていた現場が困ってしまったんですね。今後どう処理したらよいのかと問い合わせが多く寄せられ、それまで明確になっていなかった翻訳需要が浮彫になったため、安心して使える製品を急ぎ探すことにしました。そこで名前の挙がったのが『Mirai Translator®』でした。
ー 『Mirai Translator®』の名前はどうして知られましたか。
豊田:ある会社から、「当社で使っているツールです」と紹介していただきました。さっそく無料トライアルを申しこみ、翻訳業務の発生する部門に所属する20名で試用を開始しました。
それで、従来一部の社員が利用していたツールを有償版に切り替えるか、『Mirai Translator®』かという選択になったのですが、サイバーセキュリティ統括室としては、後者の方がいいと判断しました。
ー 本ツール採用の判断理由をお聞かせください。
豊田:一番は、みらい翻訳がセキュリティポリシーをきちんと示していたことです。サーバをどこに立てているとか、どのようにデータを取り扱っているといったことが明確でした。私たちが気にかけているのは個人情報や企業秘密の流出やランサムウェアなどのウィルス感染ですが、これなら入力した情報が外へ出ていくことはないなと安心することができました。
『Mirai Translator® FLaT』のデータフロー。翻訳終了後には、データを自動削除。ID・パスワード、ユーザ辞書、翻訳メモリ、プロファイル情報、APIキーは暗号化のうえ、すべての翻訳処理を日本国内サーバで自社運用し、堅牢なセキュリティを実現している
また、開発元が日本企業であるという点も背中を押してくれました。万が一何かあったときに、相手が海の向こうにいるという状態だと意思の疎通が図りにくいだろうと懸念したんですね。日常サポートを考えても、日本国内に本拠を持つ企業ならきめこまかいフォローが期待できると考えました。
さらに、『FLaT』という翻訳量・ID数無制限のサービスがあったことも大きいです。今回、運用管理をDX推進室が担うことになったのですが、ただでさえ多忙な組織なので、細かなライセンス管理は大きな負担になります。翻訳業務を行う現場にライセンス確認を求めるなども仕事を増やすだけなので、そういう煩雑な手間なしに使えるというのは魅力がありました。
翻訳精度や機能についても、1カ月試用した20名が「問題なし」と回答したので、2023年7月、正式利用に踏み切りました。みらい翻訳の営業担当者がてきぱきと手続きを進めてくれたので、スムーズに移行することができました。
導入後の感想と今後の展望:業務改善効果に加えてセキュリティ面での安全性も確保。今後はDXの一環としての全社員FLaT化も検討
ー 『Mirai Translator®』は現状どのようにお使いいただいていますか? また、どのような点に効果を実感しているか教えてください。
桑山:今までは、無料サービスを利用していたこともあって、わからない部分があったらコピー&ペーストで抜き出して翻訳にかけるというスタイルでした。『Mirai Translator®』では、WordやPDFファイルで送られてくる英語文書をそのままポンと入れると一括で翻訳してくれます。これは非常に便利ですね。日本語ですべての文章が見られると理解も深まりますし、業務効率向上につながっています。いちいちコピー&ペーストしなくてすむため、体感として1ファイルあたり30分ぐらいは時間短縮できているのではないかと思います。また、法務・財務モデルも用意されているのでうまく活用しています。
桑山氏
樋上:私もファイル翻訳は便利に使っています。PowerPointで資料を作ることが多く、それをそのまま入れ替えるように日本語から英語に翻訳できるというのは助かります。私の部門では、辞書機能をうまく活用して効率や精度を上げている人もいます。
ファイル翻訳は装飾やレイアウトも引き継ぎ可能
豊田:サイバーセキュリティ統括室としては、定めた社内ガイドラインを満たせて、現場が翻訳業務に困らなくなったことを喜んでいます。こういう立場ですが、進歩する技術をむやみに「使うな」「やめろ」とは言いたくない。どうすれば活用できるかと考えていった中で、みらい翻訳と出会えたことは非常に大きな収穫だったと思います。
ー 今後の展望をお聞かせください。
樋上;直近でいえば、海外のグループ会社との交流をもっと活発化したいですね。社内的にそう考えている人は多いはずで、言語が壁になっているだけだと思うんです。『Mirai Translator®』のようなツールをうまく使うことで垣根が取り払えれば、相乗効果でもっといい発想が生まれてくるのではと期待しています。
樋上氏
桑山:私も同じ考えです。社内業務でも英文を見たとたん「うっ……」となる人がどうしてもいますが、翻訳ツールを使って、全員で取り組める体制が構築できればいいなと思います。
豊田:現在は手を挙げた人が登録して使っている状況ですが、将来的にはDXの一環として1,800名いるサンゲツの社員全員が使えるツールにしてもいいかもしれないと、DX推進室とは話し合っています。『Mirai Translator®』の管理ツールで利用状況を把握して、翻訳ボリュームが増えているといったような変化を見ながら、迅速にアクションを起こしていきたいと思います。