「鈴与」の地元密着
東海地方に目を向けてみよう。
静岡県の名家といえば、老舗系財閥の鈴木家である。1801年に清水港の廻船問屋として創業して以来、代々鈴木家が率いる鈴与グループは220年以上の歴史を誇る。
1889年に東京と神戸を結ぶ東海道線が開通したが、4代目・与平は建設資材の運搬などに協力して世間の信用を得て鉄道関連事業を請け負ったことで、鈴与の基礎を固めたという。
「鈴与は清水地域の名門企業として地元に大きな影響力を持っています。'97年に清水エスパルスが経営難に陥り解散が検討されると、翌年に運営支援を開始しました。また'09年に静岡空港ができると、千載一遇のチャンスとばかりに航空部門に進出し、子会社のFDAで小型ジェット機を運航しています」(菊地氏)
現在の代表は8代目・与平。物流をはじめ缶詰の製造を行う食品事業、エネルギー事業や建設業など、グループ会社の数は約140社にものぼる。
清水港にある鈴与本社の向かい側には、関連会社が運営するエスパルスドリームプラザが建つ。広大な敷地内にはすし横丁やラムネ博物館、土産物店や映画館、イベントスペースや観覧車もあり、毎日のように地元民を喜ばせている。