斎藤知事を再選させた「素人集団」 SNS「チームさいとう」の内幕
駅前のロータリーは熱気に包まれていた。
11月4日夜、兵庫県西宮市の阪神西宮駅。歩道や駅ビルの2階を埋め尽くす群衆。視線の先にいるのは県議会から不信任決議を受けて出直し知事選(10月31日告示、11月17日投開票)に出馬した斎藤元彦氏(47)だ。
「こんなに多くのみなさんが集まってくれて、本当に私は勇気と元気をいただいています」。深々と頭を下げる斎藤氏に割れんばかりの拍手が送られた。
1カ月ほど前から街頭活動に参加し、斎藤氏を応援してきた祖品さん=X(ツイッター)アカウント名=は目を真っ赤にしてその様子を見つめた。「方向性は間違っていなかった」。スマートフォンを向け、演説の動画配信をしながらも涙をこらえることができなかった。
大阪市に住む男性会社員の祖品さん。斎藤氏を巡る文書告発問題についてのマスコミの報道姿勢に対し、「一方的に斎藤氏を責め続けている」と疑問を感じてきた。SNS(ネット交流サービス)で情報収集したり、県議会の調査特別委員会(百条委)の内容を確認したり自分なりに問題を調べて夏ごろからXで意見を投稿するようになった。
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「斎藤さんを元気に」
10月上旬、Xで知り合った地方議員に誘われ、斎藤氏の街頭活動を見に行った。数日前まで知事だったその人は覇気がなかった。「孤立無援」で、道行く人に頭を下げ続ける姿は、マスコミの報道から感じた「裸の王様」の印象とはかけ離れていた。
「斎藤さんを元気にしよう」。活動を見に来ていた数人で連絡を取り合い、支持を呼びかける投稿をXを中心に始めた。ほとんどがこれまでに選挙活動に携わったことがない「素人集団」だった。
幅広い世代を巻き込もうと、祖品さんらは約3週間後に無料通信アプリ「LI…
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