2022.07.28

自衛隊と新興宗教 ロシアに機密情報を渡していた「ある信徒」の話

「信仰の自由」と「国防」のはざまで
週刊現代, 高橋一也 プロフィール

防衛大にも続々合格

「田母神氏は2014年1月、猪瀬直樹東京都知事の辞任に伴い行われた東京都知事選に立候補し、約61万票を集めました。結果は落選しましたが、候補者16名中4位と大健闘した背景には、幸福の科学が組織票を投じたことが影響していると言われています。

当時、幸福の科学は2009年に設立した『幸福実現党』で国政選挙に打って出ることを計画しており、その前哨戦となる都知事選で歴史観や安全保障観が一致する田母神氏を支援していたようです。田母神氏と幸福実現党の大川きょう子氏が対談したこともあります」(前述の全国紙社会部記者)

一方で、元自衛隊情報関係者は「自衛官は幸福実現党にシンパシーを抱きやすく、幸福の科学は高校生を積極的に自衛隊に送り込もうとしている」と、幸福の科学への警戒を隠さない。

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「2010年に開校した幸福の科学学園中学校・高等学校は、これまで防衛大学校と防衛医科大学校に複数の合格者を出しています。合格者が実際に入校したかどうか分かりませんが、幸福の科学が全寮制で宗教教育を施した学生を自衛隊の幹部として送り込もうとしていることは事実でしょう。

また、幸福実現党は防衛省と陸・海・空幕僚監部が所在する市ヶ谷駐屯地などで定期的に街宣活動をしていますが、安全保障を重視し中国や北朝鮮を敵視する同党の主張は自衛官がシンパシーと抱きやすいものです。そのためか、自衛隊や日米安保に反対する左翼のビラは絶対に受け取らない自衛官が、幸福実現党のビラを手にして読み入っている姿が見られます」(前出の元自衛隊情報関係者)

 

自衛隊と新興宗教、カルトの戦いの歴史から見えてくるものは、信教の自由とカルトを峻別するという大きな課題だ。

だが、日本にはフランスの「反セクト法」(2001年制定)のような、社会との軋轢を生む傾向のある団体を政府が指定、活動を監視し、法人を解散させるような法律は存在しない。カルトを背景とする事件や出来事が多発する日本は、信教の自由とのバランスを考慮しながらも、カルトを定義し、規制する時期に差し掛かっているのではないであろうか。

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