2022.07.28

自衛隊と新興宗教 ロシアに機密情報を渡していた「ある信徒」の話

「信仰の自由」と「国防」のはざまで
誰にでも「信仰の自由」は保障されるべきだ。しかし、宗教に関連してスパイ事件が起きたり、特定の宗教団体が政治的に介入するようになるのは問題だろう。日本の国防を担う自衛隊の中にも、いくつもの新興宗教団体の信者がいる。ゆめゆめ警戒を怠ってはいけない。

食費を切り詰めて寄付

警視庁公安部と神奈川県警は2000年9月、ロシア連邦軍参謀本部情報総局(GRU)機関員とみられる在日ロシア大使館海軍武官のボガチョンコフ海軍大佐に自衛隊の秘密文書を渡した自衛隊法違反(秘密漏洩)の罪で、防衛研究所に所属する3等海佐を逮捕した。

世に言う「ボガチョンコフ事件」だ。この事件の背景にもカルトではないが、新興宗教団体が絡んでいる。

ある公安関係者は「ロシアのスパイに籠絡された3等海佐と安倍晋三元首相を殺害した山上徹也容疑者の母親の境遇は、ある種似通っているところがある」と目を細める。

Photo by gettyimages

潜水艦乗りだった3等海佐は白血病の息子を看病するため、防衛大学校の総合安全保障研究科(注:大学院修士課程に相当)に籍を移し、若手幹部の頃に学んだロシア語を活かしてロシア海軍に関する研究を行っていた。

そんなおり、3等海佐は1999年1月に防衛研究所が開いたシンポジウムの場で、ボガチョンコフ大佐と因縁を持つことになる。

 

「警視庁公安部外事1課がボガチョンコフ大佐の日常的な監視をおこなっていたところ、陰鬱そうな中年男性と食事しているところを現認したので、その男性を尾行しました。すると、驚くことに防衛庁(当時)に勤める海上自衛官であることが分かったのです。

もちろん、スパイハンターである外事1課員はゾルゲ事件に続く歴史的なスパイ事件を捜査できると意気込み、3等海佐の尾行を続けました。その中で目にしたのは、毎日500円玉1枚を握りしめて、コンビニでおにぎりを買う姿。3等海佐といえば、月収60万円は下りません。そんな彼が500円玉を握りしめていた理由は、真如苑に小遣いのほとんどを寄付していたためでした」(前出の公安関係者)

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