2024年10月09日
みなさんは、都市圏以外の「地方」で働いてみたいと思いますか?
コロナ禍を経て若者の就職観が変わりつつあるなか、いわゆる「Uターン」や「Iターン」など、地方での就職を希望する学生の動きも出てきています。
地方で働いてみたい人はどれくらいいるのか、また実際に「Iターン就職」した人はどんな暮らしをしているのか、取材しました。
※この記事では就活生向けに次の意味で紹介しています。
「Uターン就職」…生まれ育った場所から違う場所へ進学したあと、再び地元に戻って就職すること
「Iターン就職」…生まれ育った場所と違う場所へ就職すること
10月1日、仙台市に本社がある生活用品メーカーで行われた内定式です。
この会社には全国から就職者が集まるため、ここ数年は仙台以外にも全国に3つの会場を設け、オンラインで中継を結んで内定式を行っています。
関東に住む内定者が集まった東京会場で、地方に就職することについて話を聞くと…。
東京会場の内定者たち
「東京に結構長くいたので、その分どこか地方にも行ってみたい。地方の人と話したりして、自分の考えの幅を広げていきたい」
「都会で嫌なところはやっぱり満員電車とか、どこに行っても混むとかです。あとは物価が高いとかそういうことも考慮して…。東北は自然もありますし、そこがいいかなと思って選びました」
「趣味がツーリングなんですけども、東北の方が走りやすいんじゃないかなって思っています。ちょっと楽しみです」
アイリスオーヤマ人事部 岩川弘樹さん
「コロナ禍を経て学生の価値観も大きく変わり、勤務地の希望を持つ学生、特に地元近くでの勤務を希望する人が増えたと感じるので、できるだけ地元での経験や知見を活かした仕事ができるように配属に配慮しています。一方で、特定の職種への強い希望がある学生は、その仕事をするためになじみのない地方に住むことにも抵抗はないようです」
マイナビの調査では、いわゆるUターンなど地元での就職を希望する学生が、4年ほど前までは減少傾向にありましたが、コロナ禍を経て再び増加しています。
その理由として、
▼経済状況が上向きの時は、大手志向や都市部での就職に挑戦する傾向が強まるが、コロナ禍でそれと逆の動きがみられている、
▼採用活動にオンラインが取り入れられて、都会からも選考に参加しやすくなった、
などがあげられるということです。
また、来年春に大学を卒業する就活生に「地元以外の地方で働いてみたいか」と聞いたところ、「働いてみたい」と回答した学生は43.6%と、4割を超えました。
その理由としてもっとも割合が高かったのは「趣味と仕事のバランスをとりたい(36.0%)」でした。
マイナビキャリアリサーチラボ 長谷川洋介研究員
「地元(卒業高校エリア)が関東や関西などの都市圏にある学生だけを見ても、『地元以外の地方で働いてみたい割合』はいずれも4割を超えていました。自然が多く人混みの少ない地域ならではの趣味を楽しむことや、都市部の喧騒から距離を取って、プライベートでもゆとりを持ちたい考えがあるのではないでしょうか」
そんな地方での就職を選んだ1人に取材することができました。
東京都出身、社会人2年目の北野里沙さんです。
元々ものづくりに関心があった北野さんは、都内の大学を卒業後、国産ジーンズの製造が盛んな岡山県倉敷市のデニムメーカーに就職しました。
岡山県は、高校の修学旅行で訪れた思い出の場所でした。
北野里沙さん
「レトロな感じの町並みを見て、めっちゃすてきだなって思って、いつかここを通勤道にしてみたいなって。もっとほかの世界も知ってみたいというのがあって、いまの自分でどこまで勝負できるか試したくて、いっそ地方就職しちゃえって思いました」
北野さんは現在、店での接客や商品の仕上げ作業を担当。さらに全国各地をまわり、商品の売り込みもしています。
この会社には全国各地から若者が就職してきていて、北野さんと同期の3人のうち2人も県外出身です。
デニムメーカー「graphzero」 鈴木徹也代表
「北野さんは体育会系なところもあって、これ持てない、あれ持てないと言わず、がんがん運んでくれています。いろんな県に行って販売してもらっているが、いい刺激になっていて、助かっています。今は交通の便が進歩している分、意外と地方に行っても帰ろうと思ればすぐ帰れるし、土地などいろんなものが安いですし、海も山もあって面白いのではないでしょうか」
いま北野さんが住んでいる家の家賃は、9畳ワンルーム、駐車場付きで4万6000円。
北野さんは最近、念願の車を購入したそうです。
北野里沙さん
「車を手に入れたことによって、本当に活動範囲が無限に広がりました。1時間2時間ぐらい先のところまで目的もなしにふらっと行ってみたり、脇見運転に気をつけながら海沿いを走ったりしています」
そんな北野さん、地方就職をして感じたことは…。
北野里沙さん
「都会とは違う地方ならではのつきあいがあって、毎朝毎晩あいさつしたり、それも自分の励みというか楽しみになっています。自分のやりたいことができる環境で、その中でも新たな目標を見つけられます。思い切って地方就職してみたらその先に広がる景色は結構広かったし、人生一度きり、何が起こるか本当にわからないので、トライしたほうがいい、やったもん勝ちだよって伝えたいです」
北野さんが地方就職するのに利用したのが、厚生労働省の「LO活プロジェクト」です。
「LO活」とは「ローカル+就活」という意味。地方で就職したい若者のために、地方企業や就活イベントなどの情報を提供したり、相談員によるカウンセリングを行ったりして、国も若者の地方就職を後押ししています。
LO活プロジェクト 齋藤しのぶさん
「地方では人手不足や過疎化が大きな問題になっていて、若者の就業支援を推進するためのさまざまな施策が、全国各地の自治体で行われている。都市圏で暮らす人々の間では、地方移住への関心の高まりが見られるので、そうした人たちをつなげることで地方の担い手となる人材確保につなげたい」
(取材を終えて)
コロナ禍でほんろうされてきた中で「自分の人生は自分で決めたい」という思いを強く持っている今の就活生は、自分で主導権を持って切り開いていくパワーがあるなと感じました。自分が望む働き方を実現するためのひとつの選択肢として「地方就職」を考える人が増えれば、人口減少など地方活性化の課題解決につながる可能性もあると感じました。
(2024年10月2日 総合テレビ「午後LIVE ニュースーン」で放送)
取材:脇本彩香
NHK「午後LIVE ニュースーン」 総合テレビ(月)~(金)午後3:10から生放送
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