魚の魅力伝え、入館150万人 マリホ水族館長 宇井賢二郎さん
暗い館内への扉を開けると、白い砂を敷き詰めたサンゴ礁が水槽の中に広がる。そこで、色とりどりの魚が舞うように泳いでいる。クラゲが揺れる水槽や、県の天然記念物ゴギが泳ぎ回る広島の渓流を模した水槽が、訪れる人を待っている。
約610平方メートルの小さな水族館「マリホ水族館」は2017年6月、瀬戸内海をのぞむショッピングモール「広島マリーナホップ」の敷地の一角にオープンした。館長の宇井賢二郎さん(46)はその2年前、横浜市内の水族館に勤めていた時に声がかかった。横浜で働きながら設計や立ち上げに携わり、オープンと同時に館長に就任した。
水族館との歩みは大学時代にさかのぼる。
愛知県足助町(現・豊田市)の出身で、野山で生き物と触れ合うことが好きな少年だった。名古屋市内の動物園へ行くと、飼育されていたクエに釘付けになった。海洋学部のある東海大学(静岡市)に進むと、夏休みは水族館での飼育実習に参加した。朝起きてご飯を食べると、魚を眺めながら餌やりの準備。館内の掃除をして、また魚を眺める。
「えらい楽しい。水族館の職員になれば毎日、魚を見ることができる」。卒業後、水族館以外に就職することは考えられなかった。
館長として飼育生物の世話や水槽の掃除のほか、年に2回の企画展に関わってきた。東京・池袋のサンシャイン水族館とコラボした変わった生き物展や、アマゾンの生き物展など。どうしたらこの小さな水族館を楽しんでもらえるかを考え続け、入館者は9月に150万人を突破した。
買い物ついでに立ち寄れる身近な水族館は2024年12月で閉館するが、「生物について理解するきっかけになれば」との思いは変わらない。
◇
男鹿水族館GAO(秋田県男鹿市)やヨコハマおもしろ水族館(横浜市、閉館)などをへて、2017年6月から現職。男鹿水族館時代には、全国で初めてハタハタの飼育下での繁殖に成功した。