昨年アニメ化50周年を迎えたモンキー・パンチさん原作の「ルパン三世」。アニメの2ndシリーズ(1977~80年)から40年以上にわたって音楽を手がけるのが、作曲家の大野雄二氏(80)だ。「ルパン三世のテーマ」をはじめとするルパンミュージックの生みの親がインタビューに応じ、楽曲へのこだわりや制作秘話を吐露。映画「犬神家の一族」(市川崑監督、76年)など、映画音楽への思いも語った。(加茂 伸太郎)
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テレビ以外にも「犬神家の一族」や「人間の証明」(77年、佐藤純彌監督)などの映画音楽でも数多くの名曲を生み出してきた。製作総指揮の角川春樹氏とは出版(原作)、映画(映像)、音楽の三位一体を実現。画期的なメディアミックスとして話題を呼んだが、「犬神家―」への思い入れは強い。
「お客さんが『犬神家』と認識した時、『このメロディーね』と思い出せるものを作りたかった。インパクトが必要だから強いメロディーを意識したね。印象に残るように(随所で)少しずつメロディーを出して、エンディングでメインテーマを全て流す。(エンドロールで)余韻に浸ってもらいたかったからなんだ」
その分野の一流同士。市川監督とは意見が対立したこともあった。「市川さんはメロディーがいっぱい出てくるのを嫌う。サウンドエフェクトみたいに『ジャン』『ジャジャン』みたいな短い音楽が好き。市川さんに『メロディーが鳴るところは全部嫌だな~』と言われたけど、僕にも『このシーンは、このメロディー』というのがある。もう闘いでしたよ(笑い)」
対照的に「人間の証明」の佐藤監督からは「好きなようにやってください」と託された。「角川さんに聴いてもらい、『いいんじゃない』となれば、そこでOK。主演にジョー山中が決まっていた。(事前に)角川さんに彼の歌を作るように言われていたからか、イメージしやすかったよ」
昨年5月に80歳を迎えた。今後の作曲家人生について「プロの作曲家って、仕事が来ないと書かないんだよ。僕は特に怠け者、目的もなくは、やらないかな(笑い)。仕事が来て初めてスイッチが入るというか。今度、何をやろうなんて考えていないよ」。一方で、1月に東京国際フォーラムでコンサートを行うなど、プレーヤーとしての意欲は衰え知らず。ただ、この2年はコロナ禍でヤキモキする日々が続く。
「50人埋まれば満員みたいな会場でやりたいんだけど、密になるでしょ。やりたくてもやらせてもらえない。怖いからやりたくないというのもある。(コロナ禍が)早く収束してほしいね。そう願うばかりだよ」