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人をつなぎ、感性に訴えかけるビジネスを実現したい 藤牧宗太郎×糀屋総一朗対談 前編

ローカルツーリズム株式会社では、各分野のプロフェッショナルが参画し、事業推進にあたっています。執行役員である藤牧宗太郎は、エンジニア・プロダクトマネージャーの業務を行いながら、ミュージシャンの顔も持っています。

今回藤牧は、ローカルツーリズムの仕事と並行して、アート・音楽・空間など各方面のプロフェッショナルとともに「音と旅と株式会社」を設立。設立の経緯や思いを、ローカルツーリズム代表の糀屋総一朗との対談形式でお届けします。前編は藤牧のこれまでの経歴と、ビジネスとアートの関係についてです。

合理的なビジネスと感情に訴えかけるアートを一つにしたい

――お二人が出会った時の印象はいかがでしたか。

藤牧宗太郎(以下、藤牧):糀屋さんときちんと初めてお話ししたのは、ひでつうさん(ローカルツーリズム執行役員・高橋ひでつう)がローカルツーリズム社に参画して、今年の年始に「代表を紹介したいんだけど」というきっかけを作ってくれてですね。会う前は肩書きも「投資家」だし、ポーカーで世界大会に出ているとも聞いて、ちょっと怖そうなイメージで……どんな人なんだろうと、ちょっと構えてお会いしました。でも実際はすごく穏やかな方で、いい意味でギャップがありましたね。

でも実は僕ら、10年ぐらい前に一瞬だけお会いしているんですよ。

糀屋総一朗(以下、糀屋):えっ!?

藤牧:ひでつうさんが当時やっていたバーで、一瞬だけ名刺交換したんですよ。

糀屋:まったく覚えてない……すみません。

藤牧:いえいえ、全然です。今回はご縁があってありがたいなと思います。

糀屋:藤牧さんは、Yahoo! JAPANのエンジニアだったという話を聞いていたので、「できる人」という印象がまずありました。いろいろと考えているタイプだと思うんですけど、「やる」ってなったらすごく行動が早いなと思っています。僕と話して次の月にはMINAWA (ローカルツーリズム株式会社が運営する福岡県宗像市大島の一棟貸しヴィラ)にも1人で行ったりしてましたし。

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「まずやってみよう」という気持ちを大事にしていると話す藤牧

藤牧:あの時は「まず行ってみよう」と思ったんですよね、とにかく。でも行ってみてよかったです。

――実際に仕事をしてみて、お互いより気になった、新しい発見となった部分などはありますか。

藤牧:糀屋さんは振れ幅をすごく持っている人だなと思います。投資家ということで、資本主義的な合理性がありつつも、アートに対して造詣が深かったりとか。たとえば福岡県宗像市の大島とか、不動産を利用した事業もやりつつも、アートを組み合わせているとか。うまくバランスが取れていて、気づいたら1つのストーリーになっているところがすごいなと感じます。

糀屋:まだまだ結果は出てないですけどね。けど、やりたいこととしてはビジネスのような合理性を求めるものと、アートのように感情などに訴えかけるものを一つにしていきたいという思いは常にあります。

人がつながる「場」に関わりたい

糀屋:ちなみに藤牧さんも少し似たところがあるのかなと思っていて……エンジニアを職業として選んでいるというところで、すごく合理性を持っている人だと思うんですよ。でもその上で音楽をずっと好きだったりすると思うんですが、何か原体験ってありますか?

藤牧:音楽に関しては、小さい頃からピアノを習っていたんです。それで高校の頃に作曲も始めたんですけど、曲を作ることによって周りの人が喜んでくれたのがすごく心に残っています。ゼロから作ったものに価値がつくことに喜びを感じられた、という感じですね。それから、ライブで知り合った人同士がつながったりとか、音楽を通した「場」で人と人が交流していくというのも好きなんだと思います。糀屋さんはアートに詳しいですけど、もともと素養みたいなものはあったんですか。

糀屋:いや、昔から絵を描いたりとかもまったくなかったですね。アートに興味を持ち始めたのって大人になってから、むしろここ数年……30代後半になってからなんですよ。ずっと若い頃から不動産や金融など経済社会と関わることを勉強してきて、「社会の中で最適解を出す」ことをずっとやってきたんです。でも、そういうことをずっとやってきて、自分の中に「飢え」みたいなものが出てきたんだと思います。昔はなんとも思っていなかったアート作品のことを「いいな」と思うようになりましたし、自分と全然違う感性で描かれた作品に惹かれたりするようになりましたね。

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自分にはないものだからこそ惹かれるのかもしれない

あとは、商売をやっていても感性に訴えかけるようなデザインが希薄なものに対して、世の中が興味を失ってきているなと感じています。今後わかりやすいもの、想像がつくサービスには価値がつかないんじゃないかなと思います。そういう意味で感性や想像の領域に関心を持てるようになることは、商売をやる上でも重要なんじゃないかな、とちょっと考え始めたりしてますね。

――投資家、エンジニアと「合理性を求める」職業である一方で、2人ともちょっと言い方は悪いですが「すぐにはお金にならない仕事」をすることもあると思うのですが、2人にとって仕事する理由はなんでしょうか?

糀屋:僕が地域に関わるようになったきっかけは、ひょんなことから大島という場所の存在をまず知って、行ってしまって実態を知ってしまったがゆえに「こうした方がいい」と考え始めてしまったということからですね。島と関わりを持ってしまったがために、「やらなければいけない」と思ってしまったというのが正確なところかもしれないです。だから「地域のことをやろう」とか思っていたわけではなく、本当に偶然なんですよね。

何か問いがあったときに、頭の中で自分なりの答えを導きだしたとしますよね。そうすると、実社会でそれを確かめたくなっちゃうんですよね。たとえば大島で、こういう物件や事業をしていけば人が増えて産業が活性化するとか考え始めると、いろいろやりたくなってしまうんですよ。「やりたいこと」なのかと言われたらちょっとわからないんですが、「やりたくなっちゃう」

藤牧:使命感ってことですか?

糀屋:「答えが合っているか知りたい」というのと、周りを見渡してもやりそうな人がいないから、自分でやるかという……そうですね、使命感に近いかもしれないですね。

藤牧:僕は「自分がこれをやりました」と残せる仕事をしたいなと思っています。ずっとWebサービスに関わってきたんですが、Webサービスって終わると消えちゃうんですよ。紙であったり物件であったりだったら、少なくとも10年や20年は残る。そういった部分にとても魅力を感じています。だからローカルツーリズムにも参画させていただきましたし、今回会社を作ったのもそうなんだろうなと。

糀屋:リアルな場に関わっていきたいってことですね。

目に見えないものこそ重要

藤牧:さっきも少し言いましたが、ライブやDJをやっていく中で、来てくれた人同士がつながったり、つながった人たちとの付き合いが続いていたり、さらには結婚したりという話を聞いたりすると、自分たちが作った場で新しい価値が生まれているな、と感じられて。僕は「人のつながり」って何物にも代えられないし、思い出も一生を左右する、お金に代え難い価値だと思っているんです。僕の曲を聴いてくれたという話を聞くと、その人の人生に何か残せたのかなって思えるんですよ。それもあって、場づくり、リアルなことに携わっていきたいなって気持ちは強いかもしれないです。

糀屋:すごいわかるところもあります。藤牧さんの思いがあって、「音と旅と株式会社」という会社ができたんだなって改めて思いましたね。

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新しい展開は楽しみしかないです

藤牧:「音と旅と株式会社」には、アートや音楽、そして空間作りに造詣が深いメンバーが集っています。これから仕掛けていきたいことについては日々ディスカッションしているのですが、今後、ホテルや学校などその地域のアイコン的な建物を拠点として、アートや音楽をからめて、賑わいを作っていきたいとみんなで話しているんです。あとは、古いホテルの数部屋やワンフロアだけをコンセプト的にリノベーションする「ホテル内ホテル」みたいなものも面白いよね、という意見も出ています。

僕はみんなの意見を取りまとめるのが得意なので、それぞれ個性ある多彩なメンバーを生かす指揮者のような役割ができるんじゃないかなと思っていて。みんなのいいところを活かして、面白いプロジェクトを進めていきたいなと思っています。

糀屋:本当に、期待しかないです。成功させてほしいし、現代において必要なものだと思っています。今の日本って、「目に見えるもの」ばかりが重視されすぎてきていたなと思うんです。でもこれからはそれだけではなくて、感性に関わる部分も付与されていかないと、日本という国自体がなにも生み出せなくなってしまうと思うんですよね。昔は感性に関わるサービスやものがもっとたくさんあったと思うんですが、今はほとんど薄れてしまってきているなと思います。

だからこそ商売においてもあらためて感性に関わる部分に注目することが重要だと思っているので、真剣にこういうことを考えていく会社は今後注目されていくと思います。絶対成功させてほしいですね。

(聞き手・高橋ひでつう 執筆・編集・撮影 藤井みさ)

後編はこちら!


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