BSテレ東キャスターインタビュー【後編】情報があふれる時代にテレビが、そして番組が果たすべき役割とは

2022/06/15 07:00

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コロナウイルスの感染拡大で、日常生活や勤務スタイルだけではなく、ニュース番組も作り方の変更を余儀なくされている。経営者や識者をスタジオに招いて生の声を聴くことにこだわっている朝のニュース番組「日経モーニングプラスFT」は、コロナ禍でもリモートでの取材・出演に切り替え、情報の質と量を落とすことなく、平日の朝7時から毎日放

コロナウイルスの感染拡大で、日常生活や勤務スタイルだけではなく、ニュース番組も作り方の変更を余儀なくされている。経営者や識者をスタジオに招いて生の声を聴くことにこだわっている朝のニュース番組「日経モーニングプラスFT」は、コロナ禍でもリモートでの取材・出演に切り替え、情報の質と量を落とすことなく、平日の朝7時から毎日放送している。

インタビュー・前編では、メインキャスターの八木ひとみ氏と解説委員の豊嶋広氏に、日経、FTという大きな看板を背負い、“朝のゴールデンタイム”である7時台に放送するニュース番組づくりをする上で大切にしていることなどを聴いた。後編の今回は、投資に関する情報があふれる中でテレビが果たすべき役割、「日経モーニングプラスFT」としての責任、コロナ禍収束した後に番組としてやりたいことのほか、初心者やマンガ好きなら注目したいコーナーについても聴いた(聞き手:濱田 優・dメニューマネー編集長/写真:森口新太郎)。

インタビュー・後編

豊嶋 広(としま・ひろし) BSテレ東解説委員 キャスター/1986年日本経済新聞社入社。編集局商品部、東京経済部、金融部、日経CNBC、電子編集本部などで勤務し、2016年4月から現職。17年4月から「日経モーニングプラスFT」を担当。

八木ひとみ(やぎ・ひとみ) メインキャスター/2008年YAB山口朝日放送入社(アナウンサー)。TBSニュースバード、日経CNBC、NHK BS1などでキャスターを務めた。2018年3月より「日経モーニングプラスFT」を担当。

日経とFTのブランド・情報をフル活用できる強み

FT Today
(提供=BSテレ東)

──今はYouTubeなどでいろんな方が投資や金融の情報を発信していて、インフルエンサーの影響で投資を始めた方もいます。そうした中でテレビが、番組が果たすべき役割とは?

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豊嶋 情報があふれすぎて、投資を始める方がたくさんいても、ひどい目に遭って退場される方も多いのではないでしょうか。大事なのは、信頼できる情報をどこで手に入れるかです。「貯蓄から投資・資産形成へ」とずっと言われていますが、なかなか実現していませんよね。個人投資家に必要なのは成功体験で、我々は水先案内人の役回りをしなければいけない。

八木 たしかにSNSで発信が簡単になって、金融の情報へのアクセスもしやすくなっていると思います。ただ金融や投資のロジックや仕組みを説明するだけでなく、具体的な銘柄を紹介されている方もいらっしゃいます。それを見た方が、参考にして自分で考えて投資するならともかく、考えずにパッとそこに飛びついて、結局、大損してしまうというケースもあると思うんですね。

日経の力、FTのブランドのある我々のような番組は、「これを見ておけば間違いないよね」というような存在になれるし、なりたいと思っています。

豊嶋 僕自身は立場上、株式投資はできないのですが、おいしい話は世の中ゴロゴロ転がっているものではありません。

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ただ成功体験は絶対に必要です。そうでないと 貯蓄のお金が投資に回ることなんてない。アメリカがうまくいっているのは、株がずっと上がっているからです。これに対して日本は日経平均が1989 年の38,915円からもう何十年も最高値を更新できていない現実があるわけです。

とはいえ、どんなに難しい局面でも、小さな成功を積み重ねることは可能だと思います。そのための材料、参考情報としてのファクトをしっかり伝えていきたい。

──FTというブランドはビジネスパーソンにも、経験値のある投資家にも絶大なものがあります。

八木 日本の新聞が取り上げていることと、世界で話題になっていることは必ずしも同じではありません。そうした中でFTから海外の視点を共有できること、FTが取り上げたニュースを発信できることは我々の強みの一つです。

豊嶋 FTは英語メディアなので、日常的に継続して読みこなしていらっしゃる方は限られます。そこで我々が取り上げる意味がある。 名は体を現すといいますが、番組名(日経モーニングプラスFT)に日経、FT両方ついています。長くてカタイイメージかもしれませんが、日経とFTの情報・アセットをフル活用できるメリットが我々にはあるということです。

「視聴者と直接対話するタウンミーティングをやりたい」

──今は株価も下がり、円安が進み、物価が上がっています。投資意欲が下がっている初心者投資家も多いのではないでしょうか。

豊嶋広氏
豊嶋広氏(写真=森口新太郎)

豊嶋 投資は細々とでもずっと続けることが大事といわれます。「知り合いが買っているから」という理由で、米株に投資した人も少なくないでしょう。

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ただ自分の大事なお金を投資する以上、自分で考えて決めて欲しい。そういう人が一人でも増やしたい。小さくていいので成功体験を得て、それを積み重ねていってもらいたい。

八木 高校の家庭科で投資信託について触れられるようになるなど、金融教育、投資教育が注目されています。ご家族で私たちの番組見てもらえたらいいなと思っていますね。

実は、20代前半の番組スタッフが、学生時代に番組を見てくれていたらしいんです。学生の視聴者がいるという点に、投資が若い人の間でも身近になってきていることを実感します。そう考えると、正確なだけでなく、分かりやすく情報を伝え続けることがとても重要だと、あらためて身が引き締まる思いです。

豊嶋 時代の変化というか、若い世代の投資についての考え方が変わってきていると感じたことがあります。ある米系証券のアナリストにスタジオでESG投資の話をしてもらったんですが、その人いわく、証券会社の入社面接で、環境や人権意識を社会に広めたいという若者がいるらしいんです。もちろん「お金を稼ぎたい!」という人もいるものの、Z世代ではそういう考え方が広がっている。時代は変わっているんです。

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──これからやりたいことはありますか?

豊嶋 コロナで企画が中断していますが、タウンミーティングはやりたいですね。基本的に一方向のテレビというメディアを補完すべく、視聴者、消費者の声を聞く機会をつくりたい。

八木 SNSももっと力を入れたいですね。経済番組って、自分のキャラクターを出す機会がとても少ないので、SNSで親しみを持っていただきたい。実は豊嶋さん、経済の話しかしない人じゃないですしね(笑)。

Twitterなどで、4月クールから始めた「デイリー市場ランキング」を流しています。データはミンカブさん(ミンカブ・ジ・インフォノイド <4436> )から提供してもらい、気になるテーマや業種、投資信託の運用の種類などにスポットを当て、どんな株や投信が動いているのか、投資指標から見て魅力度が高いものを探るランキングです。

経済・お金にからんだ漫画を紹介するコーナーもある

──SNSで番組の一部を配信するのは、視聴者としても見たいところだけ見られていいですね。

マンガで学ぶコーナー
(画像=(画像=BSテレ東))

八木 我々の番組はニュースだけでなく特集や企業トップのインタビューもあるので、後日見ていただいても参考にしていただけるコンテンツがたくさんあります。早起きできなくてもSNSや、動画配信サービス「ネットもテレ東」で見ていただきたい。

豊嶋 そういう意味では「マンガで学ぶシリーズ」なんかは面白いと思います。日経にマネー編集チーム副チームリーダーの大口克人さんという漫画に詳しい方がいて、経済やお金にからんだ漫画を紹介しています。

八木 私も漫画が好きということもあるんですが、経済関係とか言いながら、『カイジ』とか紹介しています(笑)。投資家として、勝負に挑む時の人間の心理とか、お金の本質とはといった話がありますから。

八木ひとみ氏
八木ひとみ氏(撮影=森口新太郎)

ほかには『こづかい万歳』(『定額制夫の「こづかい万歳」〜月額2万数千円の金欠ライフ〜』。毎月2万千円のこづかいでやりくりする漫画家・吉本浩二(46歳)が描く、ほぼノンフィクションこづかいマンガ)とか、ドラマにもなった『正直不動産』なんかを話題になる前に紹介しました。

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バラエティ番組のようにとまではいかないですが、とっつきやすいコンテンツも実はたくさんあります。漫画家のインタビューで、放送では出せなかった部分を配信もしていたりするので、ご覧になっていただきたいですね。

──ニュース番組でカイジ紹介したら、お茶の間が「ざわ…」としそうですね(笑)。ありがとうございました。

インタビュー前編を読む

取材/文・濱田 優(dメニューマネー編集長)
編集・dメニューマネー編集部
写真・森口新太郎

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約130年前に発見され、夏目漱石も愛用していた薬!?研究員・開発担当者が実験付きで解説

2024/12/20 12:15

左:第一三共ヘルスケア 研究センター 固形グループ 瀬戸山陽奈右:第一三共ヘルスケア OTC推進部 開発グループ 横溝敦志ロキソニンやルル、ガスター10などを手掛ける第一三共ヘルスケアが、ふとした疑問にメディカル視点でお答えしながら製品開発にかける想いを語る動画シリーズ「Medi Theater」。第二話のテーマは、第


左:第一三共ヘルスケア 研究センター 固形グループ 瀬戸山陽奈

右:第一三共ヘルスケア OTC推進部 開発グループ 横溝敦志


ロキソニンやルル、ガスター10などを手掛ける第一三共ヘルスケアが、ふとした疑問にメディカル視点でお答えしながら製品開発にかける想いを語る動画シリーズ「Medi Theater」。


第二話のテーマは、第一三共胃腸薬に含まれ糖質やタンパク質の優れた消化作用をもつ「タカヂアスターゼN1」。その元となる「タカヂアスターゼ」は三共株式会社の初代社長・高峰譲吉が開発しました。

約130年前に生まれた成分を現代の製薬に役立ててきた研究者たち。譲吉が残した成分は、私たちの生活にどんな影響を与えているのでしょうか。


夏目漱石の『吾輩は猫である』には、こんな1節が。『大飯を食った後でタカジヤスターゼを飲む。』

漱石自身もタカヂアスターゼという薬を愛用していたと言います。


横溝:このタカヂアスターゼを開発したのが、第一三共の前身にあたる三共株式会社の初代社長・高峰譲吉です。実はタカヂアスターゼの“タカ”は高峰の“タカ”なんです。



疑問に答えるのは、開発担当の横溝と研究担当の瀬戸山。(お便りは動画上の演出です)

<疑問1>

夏目漱石の『吾輩は猫である』を読んでいて、タカヂアスターゼという薬を知りました。これはどんな薬なのでしょうか。


横溝:タカヂアスターゼは、麹菌から発見された消化酵素です。食べ物に含まれるでんぷんを分解する働きがあるので、胃もたれの薬などに配合されています。実際に実験で働きを見てみましょう。

デンプンを水に溶かしヨウ素液で青く着色した二つのビーカーを使い実験を行います。


瀬戸山:このビーカーの片方にだけタカヂアスターゼを入れます。


瀬戸山:この試験液を人の体温に近い40度で10分間加熱すると…



〜10分後〜

瀬戸山:タカヂアスターゼを加えた方のみ色が消えています。つまりデンプンが分解されているということが分かります。


また、粘り気のあるデンプンの中にタカヂアスターゼを入れて混ぜると、粘り気がなくなりサラサラとした液体になることからも、タカヂアスターゼの優れたデンプンの分解力が分かります。


<疑問2>

胃腸が弱く、よく胃腸薬を服用しています。タカヂアスターゼは130年も前に発見された成分らしいですが、なぜ今でもずっと製品に使い続けているのでしょうか?


横溝:それはタカヂアスターゼが非常に有用な成分で、現代でも十分通用するポテンシャルがあるからです。今まで時代に合わせて改良されつつ、胃腸薬に使い続けられてきました。

とはいえ、約130年の間で食や生活のスタイルも変わりますので、タカヂアスターゼはでんぷんの消化力だけでなく、タンパク質の消化力も併せ持つ成分に改良されました。

また、胃腸薬に利用する時には働きを補う成分も配合して、常に時代に合わせた製品を開発しています。


第一三共ヘルスケアから発売している「新タカヂア錠」と「第一三共胃腸薬シリーズ」(第一三共胃腸薬グリーン錠は除く)には「タカヂアスターゼN1」が含まれています。その他にも脂肪を分解するリパーゼが含まれ、油っぽい食べ物の消化を助けます。


さらに「第一三共胃腸薬プラス」には「ラクボン」という乳酸菌も含まれるので、胃と腸の調子を同時に整えます。

ラクボンは胞子を形成する乳酸菌。胞子を形成しない一般の乳酸菌と比べ、熱や胃酸によるダメージを受けにくく、生きたまま腸に届いて効果を発揮することが特長です。


<疑問3>

タカヂアスターゼの発見だけでなく、アドレナリンの抽出にも成功し、素晴らしい功績を残した高峰譲吉。同じく製剤研究に携わる者として二人はどう捉えているのでしょうか。


横溝:高い志を持って新しい価値を作っていく。そういったところに感銘を受けました。


横溝:私は普段、製品の開発を担当しています。まずは市場や競合環境を踏まえて、どういった処方でどういった成分を配合していくかを考える。次に関係者と共に製剤化や承認申請などを行い、最後に包装やデザインを作り、製品として世の中に送り出す。こういった仕事をしています。


瀬戸山:私は医薬品の製剤研究を担当しています。


<疑問4>

就活を控えた院生です。自己実現と社会貢献の両方ができる就職先選びをしたいと思っています。今の会社での働きがいや、ここで働いていて良かったと思う瞬間を教えてください。


横溝:製品の企画段階からお客様の元に届けるまで、一貫して携わることができる点が魅力だと考えています。やはり、自分が企画した製品が実際にお客様の手に届いて、お喜びの声をいただいた時に働きがいを実感します。


瀬戸山:製品開発に自分の手を動かして携わって、モノができていくことを感じられるのが仕事をしていて面白いと思うところです。

味付け(薬の苦み等を香料等でマスキングする製剤的な工夫)があるような薬に携わることが多いので、「薬を飲むことが苦手」「粉薬は味が嫌だ」など、そういった人にも飲んでもらえるようなものづくりができたらと思っています。


第一三共ヘルスケアのコーポレートスローガンは「Fit for You 健やかなライフスタイルをつくるパートナーへ」。

たった一度の人生。1秒だって、あなたにとっては大切な瞬間。

大切な瞬間を、誰もが自分らしく健やかに過ごせますように。

私たちはこれまで培ってきた研究開発力を活かし、未来を切り拓いていきます。



スッキリ解決!胃もたれのギモン


<第一三共ヘルスケア株式会社について>

第一三共ヘルスケアは、第一三共グループ(※)の企業理念にある「多様な医療ニーズに応える医薬品を提供する」という考えのもと、生活者自ら選択し、購入できるOTC医薬品の事業を展開しています。

現在、OTC医薬品にとどまらず、機能性スキンケア・オーラルケア・食品へと事業領域を拡張し、コーポレートスローガン「Fit for You 健やかなライフスタイルをつくるパートナーへ」を掲げ、その実現に向けて取り組んでいます。

こうした事業を通じて、自分自身で健康を守り対処する「セルフケア」を推進し、誰もがより健康で美しくあり続けることのできる社会の実現に貢献します。

※ 第一三共グループは、イノベーティブ医薬品(新薬)・ワクチン・OTC医薬品の事業を展開しています。




このコンテンツは、第一三共ヘルスケア株式会社が取材・執筆・公開しています。

(2024年11月29日公開記事)

なぜスズキ「スイフト」は若者にも人気なのか? 海外市場でも強い理由を探った!【クルマの経済学】

2024/12/20 12:00

新型スイフトの国内での人気ボディカラーは、1位がピュアホワイトパール、2位がフロンティアブルーパールメタリック(写真)、3位がスターシルバーメタリック。写真=スズキなぜスイフトはグローバルで支持される?2023年12月、新型スズキ・スイフトが発売された。スズキの資料によれば新型は4代目にあたり、初代は2004年に発売と

新型スイフトの国内での人気ボディカラーは、1位がピュアホワイトパール、2位がフロンティアブルーパールメタリック(写真)、3位がスターシルバーメタリック。写真=スズキ

なぜスイフトはグローバルで支持される?

2023年12月、新型スズキ・スイフトが発売された。スズキの資料によれば新型は4代目にあたり、初代は2004年に発売とある。しかし実際にはスイフトという名の車は2000年に発売されている。
ただし、このモデルは現在のスイフトとはイメージの異なるややSUVテイストのモデルで、海外ではイグニスという名で販売されていた。イグニスは一旦消滅するものの、その後小型SUVとして日本でもイグニスの名で販売された。つまり日本における初代スイフトは初代イグニスなのだが、グローバル視点では2004年発売のスイフトが初代スイフトということになる。
スズキは日本では軽自動車がメインのため、登録車のスイフトはそれほど目立った存在ではないかもしれないが、グローバルでみればスズキの屋台骨ともいえるメジャーな車種なのである。生産台数は2004年から現在までで900万台に達している。日本でも年間2.5万台ほどが売れており(スイフトスポーツ含む)、Bセグメント車としてはマツダ2とほぼ同等の販売台数である。
しかし世界では年平均45万台も売れているわけで、日本での販売はあくまで一部というわけだ。スイフトは日本を含めて170の国と地域にて販売されているが、販売台数が多いのはインド、ヨーロッパだ(現在、スズキはアメリカと中国では四輪車の販売はしていない)。

スズキの新型Z12E型エンジンは特別なメカニズムを使うことなく軽量化と効率アップを徹底的に追求している。

このような特徴を持つスイフトだから、この4代目の新型も当然グローバルモデルとして開発されている。基本的にどの国も同じスタイル、同じエンジンで販売されるのが前提である。走行性能が重要視されるヨーロッパ、耐久性やコストが重視されるインド、ファッション性も重要な日本とすべての市場のニーズを満足させないといけないという、非常に難しい車種でもある。また時代の要請から、CO2の削減(=燃費の低減)も重要課題である。
この新型スイフト、販売は好調に推移しており、日本では2024年1-6月で前年比32%増となっている。しかもこれはスイフトの販売台数の約3割を占めるスイフトスポーツはまだ旧型のままという段階での数字である。
新型スイフトの販売動向で特徴的なのは、Bセグメントハッチバックとしては異例なことに若年層の購入比率が高いということだ。現在、日本のBセグメントハッチバック車のユーザー層は50代以上がメインだが、スイフトは40代が平均と明確に若く、20~30代の若年層も3割を占めるという。現在、若年層はSUVがメインとなっているのだが、スイフトに限っては小型ハッチバックであっても支持されているのである。

スイフトのMTモデルに需要あり!

またトランスミッションはオートマチック(AT)だけでなくマニュアル(MT)も選べるのも特徴だ。スイフトはグローバルモデルなので、今でもMT需要が多い地域のためにMTモデルは必要不可欠なのである。ヨーロッパでは今でも7割がMT車ということだ。ちなみにトヨタ・ヤリスとホンダ・フィット(ヨーロッパではJAZZという名称で売られている)は環境性能重視のためヨーロッパではハイブリッドのみとなっており、MT需要の多いヨーロッパでもMTは販売されていない。
日本では新型スイフト購入者の約1割がMTを選んでいるという。スイフトのスポーツモデルであるスイフトスポーツはまだモデルチェンジしていないが、現行モデルではなんと約6割がMTを選んでいるらしい。現在、日本のMT比率は1%少々らしいので、この数字は驚異的である。日本で売られているMT車の多くはこのスイフトとマツダ・ロードスター(7割以上がMT)の2モデルで占められるのではないだろうか。

2025年2月に生産を終了する現行モデルの「スイフトスポーツ」。購入者のトランスミッション比率は6段MTが約6割、6段ATが約4割だという。写真は特別仕様車「ZC33S Final Edition」。

なぜスイフト購入者は若年層が多く、MT比率も高いのだろうか。私の20代後半の息子もクルマの購入を検討しているのだが、有力候補のひとつがスイフトだという。息子は私の影響からか、MTにこだわりがあるのでMTが選べることが必要条件なので当然といえば当然なのだが。
この理由を探るために、新型スイフトを4日間にわたって借り出し、じっくり試乗することにした。もちろん借りたのはMTモデルである(グレードは中間グレードのハイブリッドMX、ボディカラーはフレイムオレンジパール)。

今回試乗で借りた一台。エクステリアはスイフトらしさを残しつつ先進的なイメージも感じられるデザイン。新旧スイフトでユーザー構成を比較すると、先代モデルは女性ユーザーが3割弱だったのに対して、新型は3割強となり、女性ユーザーが増加しているという。

スイフトを選ぶ人は運転が好き?

走り出してまず感じることは、身のこなしが軽いということである。パワーがあるわけではないが、走りが軽快でコーナリングがとても楽しい。カタログを見ると車重はなんと920kg、軽さが売りの私のND型ロードスターより100kgも軽いのである。ヤリスは980kg、マツダ2は1040kg(共にガソリンのMT車)なので、MTを選べる競合車と比較してもかなり軽い。車重は軽くても安定感はあり、ステアリングフィールなども欧州車と遜色のないレベルである。この走りであればヨーロッパでの評価も高いことも理解できる。私の息子も試乗し、久しぶりのMT車の運転で車の運転の愉しさを再認識したようだったが、単にMTだっただけでなくスイフトであったこともその印象を強めることになったと思う。
これでスイフトが選ばれる理由がほぼ明確になったと思う。スイフトを選ぶ人は運転が好きな人だということだ。この軽快感は他車では味わうことのできない、唯一無二のものなのである。

久しぶりにマニュアル車の運転を楽しむ筆者の息子(20代)。

初代から続くスイフトらしいスタイリング

スイフトが運転好きの若者に選ばれる理由は他にもある。まずはスタイリングだ。選択理由としてスタイリングを上げる人も多いらしい。新型スイフトは初代スイフトから続く、一見してスイフトとわかる鏡餅スタイルのデザインアイデンティティを維持している。デザイナーはスイフトらしさを守りつつ新しさ、先進感を感じさせることに苦慮したという。
たしかに、シンプルでありながら欧州車に通じるような個性があって、積極的に選びたいと思わせるエクステリアデザインだと思う。ボディカラーも魅力的なものがラインナップされている。また新型はインテリアも2トーンとなってクオリティも向上しているように感じる。

藤沢~青山~お台場~藤沢というルートでの燃費データ。24.8km/Lという素晴らしい結果に。

さらに、試乗して驚いたのが燃費である。私の住む藤沢から青山~お台場を経由して藤沢まで戻るルートで24.8km/Lという燃費をマークしたのである。新型スイフトはマイルドハイブリッドという簡便な、ゆえに安価で軽量なハイブリッドシステムを採用しているが、それ以上に新型エンジンの効率の高さと軽さが効果を発揮しているようだ。新型のZ12E型エンジンは特別なメカニズムを使うことなく軽量化と効率アップを徹底的に追求したものである。またボディの空力性能にもこだわったということで、エンジン下や床下に空気抵抗を減じるための整流板が設置されている。この総合効果で、簡便なマイルドハイブリッドにもかかわらずフルハイブリッドに匹敵する燃費を実現しているのだ。
スイフトという車は従来の車の良さ、愉しさを維持した上で最高レベルの環境性能も持った車なのだ。しかも試乗したMTモデルの価格は192万2800円と、軽の上級モデルと大差ない価格で買えるのである。
スイフト、運転好きの方は一度試乗してみることを強くお勧めしたい。

スイフトの全長は3860mmと、Bセグメントの中でもコンパクトなサイズも魅力のひとつ。

SPECIFICATIONS
スズキ スイフト ハイブリッドMX|Suzuki Swift Hybrid MX
ボディサイズ:全長3860×全幅1695×全高1500mm
ホイールベース:2450mm
車両重量:920kg
駆動方式:2WD(FF)
エンジン:水冷4サイクル直列3気筒
総排気量:1197cc
エンジン最高出力:60kw(82PS)/5700rpm
エンジン最大トルク:108Nm(11kg・m)/4500rpm
モーター最高出力:2.3kW(3.1PS)/1100rpm
モーター最大トルク:60Nm(6.1kg・m)/100rpm
トランスミッション:5段MT
価格:192万2800円

【BMWの最新クラッチレス機構「ASA」を試す!】巨艦R1300GSアドベンチャーを万能にアシストする、秀逸な自動変速を実感

2024/12/20 12:00

自動クラッチ制御に足変速の「M」シフト+完全自動変速「D」シフトを盛り込んだASA R1300GSアドベンチャーの特徴は30L燃料タンク、大型ウインドスクリーンや専用の積載装備、ガードや外装類だが、もう一つの大きなトピックが完全自動クラッチ機構「ASA」のオプション採用 レーシングブルーメタリックのR130

自動クラッチ制御に足変速の「M」シフト+完全自動変速「D」シフトを盛り込んだASA

R1300GSアドベンチャーの特徴は30L燃料タンク、大型ウインドスクリーンや専用の積載装備、ガードや外装類だが、もう一つの大きなトピックが完全自動クラッチ機構「ASA」のオプション採用
レーシングブルーメタリックのR1300GSアドベンチャー・ツーリングASA(Automated Shift Assistant)。日本仕様には、サスペンションを短い設定とした「アダプティブ車高制御コンフォート」を採用

2002年に登場のR1150GSアドベンチャー以来「アドベンチャー」シリーズは、パッセンジャーや大容量の荷物に対応する装備と長距離用の大容量タンクを採用して継続されてきた。

そして昨秋登場の新型R1300GSから約1年が経ったこのほど、R1300アドベンチャーが日本に上陸。30Lタンクによる航続距離は、普通に使えば600kmを超える頼もしさで、長旅の荷物もびくともせずに積める。ただし、日本でツーリングに使うなら航続距離も積載性能もSTDの1300GSで不満はないはずで、日本人の標準的な体格のライダーだと、日常の取り回し面も含めてSTDのほうが安心感は高い。なのにGSアドベンチャーが一定の支持を集めるのは、ソコである。ボリュームのある車格ゆえの、存在感なのだ。

すごい迫力の車体なのに、けっこうイケてしまう優越感のようなものがGSアドベンチャーならではの魅力で、同シリーズは万能性能の高さも常に磨いてきた。そして今回も快適性や利便性を進化させてきたが、大きなトピックがクラッチレス機構のASA(オートメイテッド・シフト・アシスタント)装備の仕様が登場したこと。多くの記事ですでに詳解済みゆえ、細かい説明は必要ないだろうが、同機構の特徴は簡単に言って以下のようになる。

●クラッチ操作不要のため、レバー類は非装備(そのため大型自動二輪AT限定免許でも運転可能)。

●クラッチの自動制御で、発進・停止時の「つなぐ・切る」を行ってくれる。

●フットシフトでのマニュアルモード6段変速が可能(=「M」シフトモード)。また車速が下がって停止する際には、1速まで自動で下がってくれる。

●自動変速のATモード(「D」シフトモード)も装備。また同モードはパワーモードセレクト(エコ/レイン/ロード/ダイナミック/エンデューロ)に合わせて自動変速を実施。

以上のことを踏まえて、走り出してみる。

R1300GSアドベンチャーの水平対向2気筒

■エンジン下に配置されたトランスミッションや新たなカムシャフト駆動の配置でコンパクト化を推進した新エンジンは1300GSと同様。プライマリーからファイナルまでギヤレシオはGSと同数値で、最高出力も同様の145ps/7750rpmを発揮。注目のASAはエンジンケース内部に組み込まれる。

エンジン内に組み込まれたクラッチ自動制御&変速機構の「ASA」

■図の左上にある円筒形の部分がクラッチアクチュエータで、その横の機械変換用減速ギヤや長いクラッチプッシュロッドを介してクラッチを作動させる。一方クラッチアクチュエータ下部にある円筒形の部分がシフトアクチュエータで、こちらはシフトレバー/ギヤを介してシフトドラムとつながっている。それぞれ独立したアクチュエータがあることで、ASAでは自動変速のDシフトモード、足操作でマニュアル変速するMシフトモードが可能となる。

MシフトでもDシフトでも滑らか、既存のライダーが違和感を覚えない秀逸な変速制御で操れるR1300GSアドベンチャー

某日の試乗ではクラッチレス機構を持つCRF1100Lアフリカツイン・アドベンチャースポーツES DCT(左)とも比較試乗。その様子は機会があれば紹介したい

キーレスエントリーを採用したGSシリーズのイグニッションオンは、左グリップにあるボタンを押すと電源が立ち上がり、その後セルボタンを押して始動。目覚めた新型ボクサーツインは1300GSと同様だが、マニュアル変速の「M」で行くのか、AT変速の「D」で行くのかという切り替えボタン選択はASAならではの「儀式」だろう。Mを選び、足でシフトを1速に入れる。さほどショックもなく、標準のマニュアルシフトと同様な感触でギヤが入り、そこからスロットルを開けていけば、クラッチが適切に滑りながら徐々にミートして車体が前に進む。

STDのGSよりも19kgほど重く、ボリュームもある車体ながら、その違和感のない走り出しでまずは緊張感がほぐれていく。そしてスイッチとして機能しているフットシフトもタイムラグはなく変速し、クラッチを使わない以外は通常の変速操作に過ぎない。トルク変動の大きな1~3速でも、熟練の乗り手のマニュアル操作と大差なく、滑らかな変速を味わえる。またスロットル操作のマイルドな開け方のときも、ワイドオープンなときでも変速ショックの少なさは同様で、乗り手が違和感を覚える状況はほぼない。

渋滞にハマり、トロトロと走っては止まるを繰り返す場面でも、乗り手が車両のクセに慣れるような必要がなく、あくまでスロットルとブレーキの操作に集中していればいい。GSアドベンチャーのボリュームゆえに操作系での気遣いが減るのは有り難いが、走り出して間もなく、そのボリュームにもまったく緊張していないことに気づいた。新たなGSアドベンチャーは、STDの1300GSと同じく、アダプティブ車高制御が採用されていて停止時と低速走行時は30mm車高が下がり(発進時は50km/h以上で車高アップ、減速時は25km/h以下で車高ダウン)、身長173cmのライダーなら両足裏の半分が接する高さで、片足接地ならほぼ足裏をべったり接地できるからだ。

加えて、新型でのコンパクト化と低重心化も効いているのだろう、先代1250GSアドベンチャーよりも車体に凝縮感があり、重量物が分散していない印象。自動車高調整の恩恵も大きいが、STDの1300GSでも実現していたように、アドベンチャーでもコンパクト化を果たしているのだ。

高速でのGSアドベンチャーは、クラッチレス機構の恩恵に浴する場面はあまりなく、大船に揺られているようなクルージング性能で突き進む。120km/h制限の高速区間ならばトップ6速のメーター読み100km/hで約3300rpm、120km/hで約4000rpmでエンジンは回り、そこから上へ回していく回転の余裕はたっぷりある。一次/二次減速や1~6速の変速比も含めてSTDの1300GSと同じなので動力性能も似た印象だが、専用化する必要もないだろう。そして高速走行で実感したのは、アドベンチャーならではの風当たりの穏やかさだ。

試乗日は寒さが身に染み始めた11月下旬だったが、頭から胸、腰に至るまで、アドベンチャーは風当たりが少ないのだ。横幅を拡大したウインドスクリーンや、弁当箱のように張り出したサイドパネルが貢献しているようで、腰下から足元まで(元々ボクサーツインは前方にある左右シリンダーの恩恵で足元に当たる直接風は少ない)、風から守ってくれる。STDのにはないアドベンチャーのボリュームは迫力のみならず、高速ステージでの移動の快適さにも貢献しているのだ。

写真は欧州仕様のGSアドベンチャーのハンドルまわり。ハンドル幅などはGSと同等ながら幅広い大容量タンクが存在感を主張。ただし、またがったときのホールド感は良好で威圧される感じはない
左グリップに集中した操作系スイッチ

■BMWの操作系で象徴的な機能の左端マルチコントローラーリングのほか、上からクルーズコントロール、2段目:右がハザードランプ、左が機能リスト、3段目:右がマルチロッカースイッチ、左がメニューロッカースイッチ、その下がウインカー、一番下がホーン。一番右(ハンドル内側)にあるボタンがASA用のAT/MTモード切り替え。

右グリップの操作スイッチは、上からステアリングロック集中ロックシステム兼用のイグニッションボタン、走行モード切り替えボタン、キルスイッチ兼用セルボタン

ライダーの意に沿う、オートマチック変速の「D」シフトは、ワインディングでも楽しい

Dシフトモードでも、違和感ない変速で攻める気にさせるワインディング

高速から下道に降りて、ワインディングへ。ここからはマニュアルモード変速の「M」シフトの出番だと思って進んでいくが、実はATモードの「D」シフトが実にいい仕事をしてくれるのを実感できた。Mシフトは言わば、発進・停止時もクラッチ操作が不要の、全回転域で使えるクイックシフターのようなもので、フライ・バイ・ワイヤでオペレートされるスロットルは自動制御で滑らかなシフトアップをアシストする(変速時に乗り手がスロットルをわずかに緩める操作は不要)。そして減速時のシフトダウンでは、後輪ロックをしない程度にエンジン回転を合わせてブリッピング(回転をあおる操作)を自動で行ってくれる。

そうした細かい制御の恩恵に浴しつつ、乗り手は変速操作を行えばいい。街中の低中速域で違和感のない性能を見せてくれたASAはここでも好印象で、想像どおりにフレキシブルだったが、それよりも感心したのはDシフトだった。

Dシフトは、エコ・レイン・ロード・ダイナミック・エンデューロという5つの主要なライディングモードの特性に合わせて自動変速を行う。これは他社のクラッチレス機構用ATモードも同様ながら、BMWのASAはより緻密な制御を見せる。特に感心したのはダイナミックモードでのワインディングで、加速時には、最も速度の乗る段数へときめ細かにシフトアップ。おそらく乗り手が「そんなに引っ張らなくてもいいのに……」とか「シフトアップタイミング早いなぁ」とか感じる間もなく滑らかに自動変速していく。

そしてシフトダウン時は、緩い減速ではゆったりと少ない段数が切り替わり、高速からコーナー手前でのハードブレーキングでは、短いブリッピングを挟みつつ瞬時に4→3→2と自動でシフトダウン。そしてタイトコーナーからの脱出では、ストレスもなく適切なギヤから立ち上がっていく。ATモードでのワインディングでは、乗り手の意にハマらないシフトダウンやアップがありがちだと思っていたのだが、この違和感のなさは未経験。さらに乗り込んで行けば、乗り手の意に沿わない自動変速は現れるかもしれないが、ASAは現状では特に不満を感じられない自動変速のマナーを持っているように思えた。

ASAを引っ提げ、クラッチレス機構にもしっかりと参入してきたBMW。その最初の導入モデルをGSアドベンチャーにしたのは、いいポイントを突いていると思う。長い距離を走れる一方で、疲れのたまってきた帰路にはクラッチ操作をサボって楽をしたい気分にもなるだろう。ましてや取り回しには気を遣う大きなサイズのモデルゆえ、イージライディングの恩恵は大きいはずだからだ。

そうした中で、BMWは通常のマニュアルスポーツ車に比肩して違和感のないマニュアルモードのほか、かなり万能なATモードも実現した。そうして既存のライダーにストレスのない手法として、足での操作を残した。それがBMWの考えるイージークラッチレスでの現状の最適解だと考えたからだろうが、個人的にはこれにも共感できる。既存のライダーが戸惑わない操作感と挙動マナーをしっかりキープし、なおかつ新しいことを提案する。BMWのASAは、R1300GS/同アドベンチャー自体と同様に、万能かつ秀逸にライダーを補助する機構に仕上がっていたのだ。

R1300GSアドベンチャーに採用の6.5インチTFTカラーディスプレイ

■走行時の通常表示パターン。中央に速度、周囲にエンジン回転を表示。速度の右にクルーズコントロール表示、一番右端にAT/MTのモードとギヤ段数を表示(写真はドライブ=ATモード1段の状態)。走行モードは上端右に表示(写真はROADモード)。MTモードに切り替えた場合は(写真下)、1Mのように先に段数、後にマニュアルのMが表示される。

Mシフトモード時のギヤポジション表示
マニュアルモードでの変速用ペダル。アクチュエータにつながるためスイッチ的な役割ながら、自然なシフトタッチのような感触を実現している
R1300GSシリーズを踏襲する独特なヘッドライドデザイン

■STDのGSよりサイズの大きめなウインドシールドは防風性も高く、電動で85mm高低調整が可能。X字のポジションランプが付くLEDヘッドライトは1300GSシリーズを踏襲するデザイン。ウインカーはハンドガードにビルトインされ、フォグランプは角ボックス型サイドパネルにビルトインされるタイプ。サイドパネル内部はラジエターから後方外側に排気熱を放出する通路となっている。

意外にホールド感のよい大容量30Lの燃料タンク

■大容量30Lタンクは大ボリュームながら、ニーグリップ部は絞り込まれてホールド感は良好。タンク後端上部の黒フック部は、専用タンクバッグの取付けバー。タンク前方横のパネル表面には純正アクセサリーバッグ用フックを装備。上部は小物固定用のラックにもなる。

EVOパラレバーサスを採用する後輪ショックユニット

■ゴールドのクロススポークホイールはチューブレスタイヤに対応。試乗車にはミシュランのアナキー・アドベンチャーを標準装着。サスペンションはBMW定番の前:EVO-テレレバー、後:EVOパラレバーの組み合わせで、アルミキャストのシングルスイングアームにドライブシャフトが内蔵される。サスストロークは前210mm/後220mmを確保。

前後セパレートタイプのシートは、快適性も良好

■GSアドベンチャー・ツーリングの日本仕様はアダプティブ車高制御コンフォートが標準採用され、シート高は低速・停止時に30mm下がる。そのほか、前側シートはシート裏ステー位置で20mm高さ調整可能なため、シート高数値はローシート時=820~850、ハイシート時840~870mmとなる。

ウインカー/ストップ&テールランプ兼用の灯火ユニット

■ストップ&テールランプ、ウインカーを兼用するリヤランプ。従来のテールランプ位置にセットされる後方衝突警告(RECW)の検知レーダーはファクトリーオプション扱い。アクティブ・クルーズ・コントロール(ACC)、前方衝突警告(FCW)なども同様にオプション設定となる。

大型の専用エンジンガードは、取っ手が左右に付属するタイプ

■大型のエンジンプロテクションガードは、左右端にハンドルバーを持つアドベンチャー専用タイプ。この取っ手が、転倒時など引き起こし時のアシストグリップとなるほか、転倒時の傾きのストッパー役にもなるものの、横幅が広がるためすり抜け時などでは注意が必要。

長距離ライドに向く、ライディングポジション

■ボリューム満点でシート高も相応に高いGSアドベンチャーだが、上体はアップライトな姿勢で、長距離走行も快適にこなせる乗車姿勢。また、アダプティブ車高制御により停止時に30mm車高が下がる恩恵で、身長173cm・体重76kgのライダーの両足接地では足裏の半分ほどが浮く程度。重量はあるが、車体を支えるには十分に力を入れられる。

アダプティブ車高調整の恩恵で、1250アドベンチャーよりもはるかに向上した足着き性

BMW R1300GSアドベンチャー ツーリングASA主要諸元

■エンジン 空水冷4ストローク水平対向2気筒DOHC4バルブ ボア・ストローク106.5×73mm 総排気量1300cc 圧縮比13.3 燃料供給装置:フューエルインジェクション 点火方式フルトランジスタ 始動方式セル

■性能 最高出力107kW(145ps)/7750rpm 最大トルク149Nm(15.1kgm)/6500rpm 燃費20.4km/L(WMTC値)

■変速機 6段リターン 変速比 1速2.438 2速1.714 3速1.296 4速1.059 5速0.906 6速0.794 一次減速比1.479 二次減速比2.910

■寸法・重量 全長2280 全幅1012 全高1540 軸距1534 シート高820/840-850/870※アダプティブ車高制御comfort装備車両(各mm) キャスター26.2° トレール118.8mm  タイヤF120/70R19 R170/60R17 車両重量269kg

■容量 燃料タンク30L エンジンオイル5.0L

■車体色 レーシングレッド/レーシングブルーメタリック/ブラックストームメタリック/アウレリウスグリーンメタリックマット

■価格 343万2000円~

R1300GSアドベンチャー欧州仕様:レーシングレッド

report●モーサイ編集部・阪本一史 photo●岡 拓/BMW