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一般社団法人全国コミュニティ財団協会御中

(一社)全国コミュニティ財団協会が起こした「虚偽の会計報告」事件に関し、

適切な説明責任の遂行と信頼回復に資する対応を求める公開要望書

2024 年 4 月 6 日

市民セクター全体の信頼性向上をいっそう進めて

いきたいと考える有志一同

※メンバーは後掲

(連絡先)forcommunityfund@gmail.com

要旨

私たちは、この度の(一社)全国コミュニティ財団協会(以下「貴協会」という)が引き起こ

した、(公財)日本財団助成事業における「虚偽の会計報告」事件(以下「当事件」と呼ぶ)は、

全国のコミュニティ財団、助成財団セクター、ひいては市民セクター全体の信頼性に関わる

重大な事案であると認識しています。その観点から、以下の5点に関し、真摯に事実に基づ

いた説明責任と対応を果たされること、そして市民セクター全体の健全な発展という観点

を踏まえた信頼性回復の措置を求めるものです。

1. 第三者委員会による当事件の事実と責任の検証と公表、および信頼回復措置等が

講じられるまで、指導的事業の一時停止を求めます。

2. 当事件発生当時の事実関係の解明と検証、および、その当時の役員・組織の対応の

事実検証と、その適正さおよび責任に関する考えの明確化を求めます。

3. 当事件が問題化した後の貴協会の組織対応にも問題があると考えています。組織対

応の事実関係の解明と検証、および、現在の役員・組織の対応の在り方に関する事

実検証と、その適正さおよび責任に関する考えの明確化を求めます。

4. 当事件の処理がつくまで、貴協会の役員が中心的役割を務める関係団体において

は、当該役員は責任をもって他団体を指導するような事業の一時停止などの適切な

対応をとることと、当事件に関する見解を表明するように働きかけることを求めま

す。

5. 当事件を生み出した背景、とりわけ虚偽の会計報告までして事業拡大を求めた要因

に対する検証を求めます。

【前文】

私たちは、今回の貴協会の「虚偽の会計報告」事件※(以下「当事件」という)は、とても深刻

な事態であると深く憂慮しています。

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この事件は、貴協会と日本財団との2者間の問題にとどまらず、全国のコミュニティ財団、

助成財団セクター全体、および市民セクター全体に甚大な悪影響を及ぼす「事件」であると認

識しているためです。

2016〜18 年度当時の不正行為はもちろん、2022年 6 月 29 日に日本財団より問題が

提起された後も、貴協会の理事・監事の不作為、適切でない説明などの不適切な対応が続き、

それが貴協会および理事・監事の信頼を著しく毀損しています。

問題は、一貴協会に留まりません。貴協会は、全国のコミュニティ財団に対し、指導的な立場

にあり、ガバナンスやコンプライアンスを、関係するコミュニティ財団に求めてきています。そ

のような立場にある者が、「虚偽の会計報告」をし、その事実を長期に渡り認めてこなかった

ことは、全国のコミュニティ財団、助成財団、市民セクター全体の信頼性を大きく毀損する結

果になると、私たちは危惧しています。

国民の財産である休眠預金から数億円という巨額の資金を受け、率先して適切なコンプラ

イアンスやガバナンスを果たすべき立場でもあるにもかかわらず、現在の貴協会および理事・

監事の不適切な対応は、休眠預金等活用制度(以下、「休眠預金制度」という)の信頼をさえ大

きく損ねることとなっています。

また、今回の「虚偽の会計報告」に関わっている理事・監事(発生当時および現在)は、それ

ぞれ、市民セクターの信頼性を高めることを標榜する活動を行う団体や、巨額な休眠預金を

始めとする公的資金や大きな寄付を集め、かつそれを配分したりする際に、ガバナンスやコン

プライアンスを配分・助成先に求めるコミュニティ財団等で、主要な役職に就いています。当事

件とその後の不適切な対応は、それら関係団体の信頼も大きく毀損することとなっています。

さらに、今回のことは、貴協会の不正だけが独立して存在するものではありません。NPO 等

に資金提供をしようとする団体(コミュニティ財団など)がその実力を超えた多額の資金を得

ようとしたこと、その際に必要とされる最低限のガバナンスや倫理観・責任感が欠如したまま

急激な規模拡大を志向したことが背景にあると考えられます。さらにより大きな構造として、

そのような脆弱な団体の倫理観・責任感やガバナンスの実態、事業遂行能力などが問われな

いまま数億円という巨額の資金が提供され続け、かつ当該団体が資金分配をし続けていると

いう状況そのものが、極めて大きな問題を孕んでいると言わざるをえません。

私たちはこのような問題意識から、昨年 11 月以来、貴協会の役員・会員に対し、自浄作用を

期待して、非公式レベルで累次にわたり自発的な情報開示と責任ある対応を促してきました。

しかし11月以来の貴協会の不十分な対応は、貴協会の自浄能力にはもはや期待できないこ

とを示していると考えざるを得ません。一方、今回、第三者委員会を設置し、当事件の事実解

明に乗り出されたことは、前向きの前進であると評価しています。それゆえ、この取り組みが

いっそう適正なものとなるように願いを込め、以下の通り、貴協会および第三者委員会に対

し質問及び要望をいたします。

※ここで「虚偽の会計報告」事件と呼ぶのは、貴協会に提出され、貴協会が公表された「報告書」(令和 6

年 2 月 12 日近藤陽介弁護士作成)に「虚偽の会計書類を作成し、日本財団に虚偽の報告をした」と述べ

られ、貴協会がそれを「事実であると認めた」と記述があることによっています。

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【要望および質問事項】

貴協会および第三者委員会におかれては、全国のコミュニティ財団、助成財団セクター、ひ

いては市民セクター全体の信頼性向上という観点から、当事件の説明責任と信頼性回復に向

けた責任をしっかりと果たしていただきたいと願っています。それゆえ、以下の要望および質

問事項に対し、適正な対応をしていただきたく、公開にて要望と質問事項を提示するもので

す。

1. 第三者委員会による当事件の事実と責任の検証と公表、および信頼回復措置等が講

じられるまで、指導的事業の一時停止を求めます。

1 今回、貴協会が第三者委員会を設置し、当事件の事実と責任の検証を始められたこ

とは、高く評価し、歓迎いたします。

2 貴協会と第三者委員会は、当事件の重大さに鑑み、この文書に記された要望・質問事

項に、真摯かつ十分で適切な回答を公開してください。

3 当事件の規模と深刻さ(一担当者による着服等ではなく経営陣自身による意図的か

つ組織的な「虚偽の会計報告」である疑念が捨てきれないこと)に鑑み、必要にして十

分な調査をしてください。

4 事実や責任の検証がされ、また信頼性回復の措置が適切に取られるまで、貴協会は、

休眠預金などの大きな公的資金を扱える立場や、他団体を指導できる立場にあると

は考えられず、公的資金を扱う事業や、他団体を指導するような事業は一時控えてく

ださい。

2. 当事件発生当時の事実関係の解明と検証、および、その当時の役員・組織の対応の事

実検証と、その適正さおよび責任に関する考えの明確化を求めます。

1 当事件発生時(2016 年度~2018 年度)の当事件に係る事実と責任の所在を、誰が、

いつ、何を、どういう理由や意図で行ったのかを、論理的整合性がある形で明確にし

てください。

2 上記1の点に関して、とりわけ以下の点がはっきり分かるように、証拠書類と一緒に

開示してください。

(ア) 日本財団の監査で「不適切な会計」と指摘され、貴協会が公表した「報告書」

(令和 6 年 2 月 12 日近藤陽介弁護士作成、以下「報告書」という)に「虚偽の会

計書類を作成し、日本財団に虚偽の報告をした」と述べられた会計処理とは、実

際にはどんな会計処理だったのかを、時系列に沿って、誰が、いつ、何を、どうい

う理由や意図で行ったのか、責任の所在は誰にあるのかを、会計帳簿、契約書、

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会計報告、日本財団への報告、理事会での議論、会員への報告などの証拠書類

とともに明確にしてください。

(イ) 架空計上された計 3,450 万円の人件費・業務委託費の内訳。相手先、それ

ぞれの件数、金額、総額などを開示してください。

(ウ) 人件費、業務委託費のいずれにおいても、相手方に「支払った」とされた金額

は、全く資金移動がないまま領収証等が作成されていたのか、あるいは領収証

等の証憑書類がないまま経理処理をしていたのかといった、経理処理の実際を

明らかにしてください。

(エ) 上記(イ)、(ウ)で、一部は実際に支払いがあった場合、領収証はどういう金額

になっていたかを明らかにしてください。

(オ) 人件費、業務委託費のいずれにおいても、相手方に「支払った」とされた金額

は、全額が実際に支払われないまま(受取寄付金として?)還流していたのか。そ

れとも実際に支払いはあり、その一部が還流(支払額の過大計上)していたのか、

を明らかにしてください。「報告書」では、業務委託費に関して、「過大計上になっ

ている。具体的な支出はしておらず、業務委託費相当額を当該委託先から寄付と

して受け取ったとして処理しているものの、寄付したことの根拠となる契約書が

ない。」とされており、実際に、委託先から寄付があったのか、なかったのかが明

瞭ではありません。一方で、その後の文章で「当協会と支払先の間で、具体的な

金銭の授受は一切ないこと」となっています。すると寄付がなかったにもかかわ

らず、寄付があったと架空計上していたと推察されますが、それで正しいのでし

ょうか。また、委託事業はあったわけで、一定の委託費は支払われていたと思わ

れるので、この「報告書」の「一切ない」という表現も適正かどうかが疑問です。そ

の点も明らかにしてください。

(カ) 不適切な会計処理によって、会計帳簿上多額の未払金(人件費、業務委託費)

と未収金(受取寄付金)が計上されている可能性があります。それらは計上され

ていたのか否か、また計上されていた場合、それはどのように解消されたか、を

お聞かせください。未払金・未収金の解消については、すべての取引を具体的に、

証拠書類とともに示してください。

(キ) この「報告書」では、2p「(1)人件費について」で、「定款では役員は無報酬と

定められている」と指摘しています。この人件費は、役員に支払われた形となっ

ていたのかと推察されますが、そうであれば定款違反の疑いが濃いと思われま

す。それに対し、当時の理事・監事はどう考えていたのか? 監事の責任はどう考

えているのか、お聞かせください。

(ク) 2割の自己負担分を調達するために架空の費用計上をしたとされています

が、受取寄付金は誰からのものとして収益計上していたか、その日付、名義、件

数、金額を明らかにしてください。

(ケ) 人件費として支払った場合は、法定福利費や所得税の源泉徴収等の義務が

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発生しますが、それらは適正に処理(計上)されていたのか、そもそもそれを計上

する意思はあったのか、もともと架空計上することが分かっていたので、その処

理は必要ではないと判断していたのか、を明らかにしてください。

(コ) 業務委託費の取引先は理事団体・会員団体ですが、その取引先は今回の架空

経理を認識していたかどうか。また、実際の金額と異なる(虚偽の)領収証発行な

どの実務的な関与はなかったかどうかを明らかにしてください。

(サ) また、委託先団体はどのような会計処理や会計報告をしていたのか? 取引

先の会計処理は適正に行われているのか? とりわけ、取引先(支出先)の法人・

個人において、これら「費用」と「収益」(貴協会から見ての)は適正に処理されて

いるのか? 各取引先が発行した領収証は貴協会側の帳簿及び総勘定元帳と一

致しているか、などを明らかにしてください。委託先団体には公益財団法人も多

く含まれていますから、万一委託先団体においても虚偽ないし不適切な会計処

理があれば、「経理的基礎」が重要な公益認定基準の1つである公益法人として

(公益認定法第 5 条第 2 号)、公益認定法上の問題が生じる可能性もあります。

(シ) 人件費、業務委託費以外でも疑問のある会計処理はないか?を確認してくだ

さい。

(ス) 当事件の経理の関与者。本件処理を指示した者、承認した者は誰か。また当

時の理事監事の全員が、このような「虚偽の会計報告」処理は承知していたの

か?特定の役員のみだったのか、特定の役員であるならそれは誰かを明らかに

してください。

(セ) 会計を含む事務局委託先である(特活)岡山 NPO センターでは誰が本件の

実務責任者だったか、本会計操作が行われていることを知っていたのか、もし知

らなかったのであれば、なぜ虚偽の会計報告に気付けなかったのかを明らかに

してください。また、同法人代表理事である石原達也氏は当事件の当時、貴協会

の常務理事・事務局長でもありました(現在も理事)。同氏の本会計操作への関与

の有無・内容を明らかにしてください。貴協会から同法人への事務局業務委託契

約は利益相反取引でもありますから、その契約が適正に結ばれたのかも明らか

にしてください。さらに、同法人は「事務支援」を事業の柱とする責任ある中間支

援組織でもあり、仮に本会計操作が同法人の組織的な関与のもと行われていた

のであれば、同法人全体の信用、また同法人が事務局を務め全国の中間支援組

織が参加する「全国 NPO 事務支援カンファレンス」の信用にも関わる事態にな

ります。石原氏以外の理事・監事や幹部職員が本会計操作を知っていたのかどう

か、仮に知っていたならなぜ許容ないし黙認していたのかも、明らかにしてくだ

さい。

(ソ) 当事件は、一回限りの事件ではなく、2016 年度から 2018 年度という 3 か

年に渡り継続して続けられた「虚偽の会計報告」事件です。なぜ、3 年間このよう

な事態が継続されたのか? それが可能になった背景をご説明ください。

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3 当事件は、最初から意図的に行われた「会計偽装」、さらには厳しい言い方をすると

「助成金詐取」と言われても仕方ないと考えますが、意図的な会計偽装ではないと言

える根拠はあるのか? 証拠書類などの根拠とともに明確にしてください。また、意

図的ではなく、「過失」であると主張するなら、どうしてこのような過失が生まれたの

か? 誰がどういう過失をしたのか? どのような「過失」だから、「虚偽の会計報告」

がなされることができたのか? なぜ 3 年間も続いたのか? 理解でき、納得できる

証拠とともに説明してください。

4 そもそも、なぜ自己資金がないにもかかわらず、2割自己負担が必要な助成事業に申

請したのか? もともと、自己資金をこの「虚偽の会計報告」処理で行うことを前提と

した計画的な行為ではなかったのか? 理事や監事は何を考えていたのか? 申請時

の手持ち自己資金額、どうやって自己資金を獲得しようとしていたのか? また具体

的にどう実行したのかなどを明らかにし、計画的な行為であるのか、それともそうで

はないというなら、それ証明する事実を証拠書類とともに開示してください。

5 この 2 割の自己資金問題に関しては、たとえ実際に、人件費や委託先に支払いを行

い、それを寄付という形で還流する行為を、資金移動を伴って行っていたとしても、2

割の自己資金が必要という助成プログラムの趣旨に反する行為であると考えます。こ

のような不適切と見なされる資金移動で、自己資金問題をクリアしようとすること自

体が、助成する団体として、また多くの助成団体を指導する立場にある団体として適

切な行為ではないと、なぜ考えなかったのか? あるいはそれは適切な行為だと考え

ていたのか? 当時の理事および監事の考えをお伺いさせてください。また、現在の

理事・監事はどのように考えているかもお聞かせください。

6 当時の理事会が承知して、この「虚偽の会計報告」を行ったのであれば、これは組織的

な行為と理解されますが、それで間違いないでしょうか? 間違いであるならその理

由を明示してください。

7 私たちは、このような「虚偽の会計報告」は、ガバナンスがしっかりしていれば起こり

えないと考えています。現時点で、明らかになった事実関係から、法人としての正常

なガバナンスが貴協会では機能していない疑いが濃厚であるため、過去の総会・理事

会の開催状況、監査の実施状況、理事及び監事の出席状況や発言、決議等の理事・監

事それぞれの責任遂行状況を明らかにしてください。そして、ガバナンスの問題や責

任がどこにあったのかを明らかにしてください。

8 貴協会が 2024 年 3 月 1 日付けで公表した『「2016〜2018 年度の理事」からの

お詫び』では、当事件に責任のある者として、2016 年~2018 年の理事である深尾

昌峰氏、鈴木祐司氏、石原達也氏、小阪亘氏、有井安仁氏、山田健一郎氏、志村はるみ

氏の 7 名が名前を連ねています。当事件を起こした者は、この 7 名という理解でい

いのか? この 7 名の当事件への関与はどのようなものだったのか? 他の理事はど

ういう関わりをしていたのか? また監事の名前がないのはなぜか? 監事の責任を

問わない理由は何か? これらを明らかにしてください。