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無名のベンチャーで年間200名を採用した「スーパーひとり人事」の仕事術

僕らのようなベンチャーにとって、人事・採用はかなり難易度が高いものです。

なぜかというと、

・会社の知名度が低いなかで、優秀な人に「この会社に入りたい!」と思ってもらわなければならない
・成長にともなう組織の急拡大にも対応しなければならない

このような条件のもとで、採用と組織に向き合う必要があるからです。

難易度が高いぶん、採用と組織がうまくいっているかどうかで、成長スピードに大きな差がつきます。今回はそんなベンチャーの人事・採用について、僕らなりの知見をまとめてみました!

たったひとりで年間200名を採用

プレックスはこの1年で200名以上の採用をおこない、事業も組織もなんとか順調に成長しています。

なぜここまで急拡大できているのか?

正直、いちばん大きいのは「人事担当がめっちゃ優秀だから」だと思っています。

200名もの採用は、実はたったひとりの人事担当が主導して実現してくれたのです。

ただ「メンバーが優秀だからです!」ではぜんぜん参考にならないよなあ……と思い、今回は彼女にいろいろ話を聞いて、人事・採用で成果を出す秘訣を教えてもらいました。(本当はあまりバラしたくないのですが……)

さっそく紹介していきます!

30分の面接で、候補者さんの心をつかむ

彼女がプレックスの人事担当、渡邉花梨さんです。みんなからは「花梨さん」と呼ばれています。

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いつも髪色がファンキーな花梨さん

彼女の仕事を見ていてすごいと思うのは、たった30分の面接で、候補者さんの心をグッと掴むことができる点です。

ネームバリューやイメージで勝負しづらいベンチャーにとって、面接で魅力を感じてもらうことはとても重要です。

花梨さんは、年間200人の採用数に対して、ほぼすべての1次面接に直接入っています。そのため面接時間は30分と短いのですが、それでも面接を終えた候補者の方がみんな花梨さんを好きになり、会社に好印象をもってくれる。

彼女が初回で心を掴んでいるからこそ、200人という採用数が実現できているのです。

あえてオープンポジションで採用

特に中途採用の場合、ほとんどの会社では最初から募集ポジションを決めて、それに合う人を採用していると思います。

しかし、僕らの場合は、あえてオープンポジションで採用しています。1次面接で候補者さんの特性や相性を見極めたうえで、適切なポジションにパスしている。面接の質が高いからこそ、受け入れの間口を広くすることができるのです。

たとえば今度、うちに新しく入社するメンバーがいます。パリコレのモデルを3年ほどやっていた、異色の経歴の方です。

彼はもともと人材紹介事業のキャリアパートナーとして応募してくれていたのですが、花梨さんとの面接がきっかけで人事の仕事に興味を持ってくれて、人事担当として入社することになりました。

彼だけでなく、花梨さんの面接がきっかけで入社意欲がグッと高まる方や、隠れた才能が開花する方はけっこういます。

なぜ、候補者さんの心を掴む、質の高い面接ができるのか?

彼女に聞くと、大切なのは「その人が本当にがんばってきたポイント」をクリティカルに質問することなのだそうです。

クリティカルな質問で強みを見抜く

「クリティカルな質問」とはどういうことか?

たとえば、前述した元パリコレモデルの候補者さん。

彼の履歴書には「モデル業(個人事業主)3年、不動産会社の営業部長1年半」と書いてありました。パリコレの話は、履歴書のなかではほとんど触れられていなかったのです。

おそらく一般的な会社の面接では、営業職時代のことを中心に聞くと思います。モデル業よりも営業の経験のほうが、入社後の業務に直結しそうだからです。

でも今回は、あえてモデル時代の話を中心に聞いたそうです。

「個人でモデルを3年続けているって、あまり普通のキャリアではないですよね。きっと何かしらの意志と戦略をもって努力しているはず。だからモデル時代の話を掘り下げたほうが、彼の強みを深く知ることができると思いました」と彼女はいいます。

話を聞いてみると、その方は幼少期からモデルを目指していたわけではなく、大学卒業直前にモデルを志して、たった3年でパリコレまで行っていたことがわかったんです。

じゃあどうやってパリコレに出たかというと、まず売れているモデルの一覧をバーっと大量に見て「自分のビジュアルがウケる国ってどこなんだろう?」というのを探したそうです。そこからその国の写真の撮り方や、化粧の仕方などを研究して、それに合わせたポートフォリオの写真を作って、事務所に送りまくった。

自分のマーケティングや営業をかなり戦略的にやった結果、パリコレにまで辿り着いていたんです。これは相当すごいなと思い、弊社からも「ぜひ入社してほしいです」とお伝えしました。

履歴書からストーリーを想像する

履歴書には基本的に、無機質な情報しか書いてありません。

もし履歴書の経歴だけをみていたら「営業歴は1年半か……」という認識で終わっていたかもしれません。面接でモデル時代の話を深掘りしたおかげで、隠れた強みに気づくことができました。

花梨さんは履歴書を見るとき、いつも「ストーリー」を想像しているそうです。経歴の情報から「このへんが大変だったんだろうな」「このへんが難しいポイントだろうな」と想像する。そのうえで質問をしているんです。

それが候補者さんにもすごく響いて「そうなんです!そこが本当に大変で……!」というリアクションをいただけることが多いそうです。「この会社はちゃんと人柄を見てくれている」「頑張りをわかってくれている」と感じてもらえる。

だから結果的に、入社意欲も高まっているのだと思います。

経歴だけではわからない、隠れた逸材を採用する

うちに入社してくれるメンバーは、パッと見の経歴だけでは優秀さがわかりにくい方も多いんです。社歴を何社も重ねていたり、わかりやすい有名大学や大企業出身ではなかったりする。

彼らのなかにはちゃんと努力や思いがあります。でも、他社ではそこを汲んでもらえず、書類の時点で大量にNGを食らったり、一次選考に進んでも定型的な質問をされて、パッとしないままNGを出されたりしている人も多いです。

そういう経験をしているからこそ、花梨さんの「人柄を見る」スタンスが強く刺さるのかなと思います。

高卒で野球選手をやっていた人。警察官として交通違反の取り締まりをしていた人。41歳までずっと販売代行の仕事をしていた人。吉本で7年間芸人をやっていた人……。本当にいろんな背景のメンバーがいますが、みんな入社後に大活躍してくれています。

僕らは、まだ成長途中のベンチャーですし、有名な会社でもありません。

それでも、成果を出せる優秀なメンバーに集まってもらえているのは、経歴だけではわからない「隠れた逸材」を採用できているからなんです。

1人1人の顔が浮かぶから、施策がちゃんとハマる

花梨さんが来てから、組織面もかなり変わりました。

それまでのプレックスの組織は、誤解を恐れずに言えば「なんにもない」状態でした。大変お恥ずかしいのですが、経営陣がみんなマーケター出身のロジカル人間すぎて、事業に直結すること以外をやる人がほぼいなかったんです。

ミッションやバリューはあったものの、あまり浸透しておらず。メンバーとの定期的な面談や、全社集会などもやっていませんでした。

そこから3年で、ざっと以下のような施策を花梨さん主導で実施してくれました。

・採用管理システムの改善
・タレント名鑑の作成
・座席表や組織図の作成
・バリューの刷新
・有志チームによるバリュー浸透プロジェクト
・半期に一度の全社総会
・表彰制度
・初の新卒採用、内定式、入社式
・新卒研修の設計
・社内サーベイの導入
・社内サーベイに紐づいた社員面談
・メンバーのリカレッジ(再教育)

こうして並べると「わりと普通じゃん」と思われるかもしれません。

しかし、花梨さんがすごいのは、これらの施策がまったく上滑りしていないこと。

「また会社がなんか始めたよ、こっちは業務で忙しいのに……」みたいな反応が生まれないんです。最適なタイミングで導入され、ポジティブに受け入れられ、メンバー主導で社内に浸透している。

それができるのは、施策1つ1つに、人の顔が浮かぶからなんですよね。

いまいるメンバーの大半は、花梨さんが自分で採用した人たちです。採用後もすごく気にかけて関係性を築いています。だから「この人たち、こういうのにモチベーション上がるよな」「これは伝え方に気をつけないと、嫌がる人多いだろうな」というのが、ちゃんと手触り感をもってわかるんです。

メンバーが増えて、経営の方向性が伝わりにくくなりそうなタイミングで「バリュー刷新」のプロジェクトを始めたり。エンジニアなどの「影の功労者」が日の目を浴びるようにと、半期に一回の「バリュー表彰」を取り入れたり。

すべて、その時々の組織の温度感をみて提案してくれています。

よくありがちな「経営者の思いつきで現場の温度感と合わない施策を打って、冷めた空気になる……」みたいなことも起こらないので、とても助かっています。

採用を通して、人事がメンバーの特性を深く理解し、そのうえでインナーの施策を考えてくれている。これは本当に大きいです。

再来期には1000人を超える予定で採用をすすめていますが、このやり方を拡張する形で運営していけば、いい組織をつくりながら成長していけると思っています!

人事に向いているのは「エモくてドライ」な人

このような「人事の仕事」に向いているのは、どんな人なのでしょうか?

まず一つは「他人のために動きたい」というエネルギーが強い人だと思います。

以前、オフィスに「みんながよく休憩しにいく非常階段」があったのですが、花梨さんはそこをずっと見ていて、話したい人が休憩に行った瞬間に自分も行く、というのを1日に何往復もしていたそうです。

そのぐらいまっすぐメンバーと向き合っているからこそ、みんな花梨さんに心を開いて、なんでも話してくれるのだと思います。

自分のためというより、他人のために何かをしたい。人を喜ばせたい。守るべき人を守りたい。それが自分の喜びになる。そういう他者軸のエネルギーが大きい人でないと、なかなか務まらないんじゃないかなと思います。

ただ、他人のために動けるなら、誰でも人事に向いているわけではありません。

難しいのは、感情と合理のバランスをとることです。

人事をやっていると「すごくいい人だし、採用できて嬉しかったのに、2週間で辞めちゃった……」みたいなことも起こります。そこで「悲しい」「なんでだろう」と思った瞬間に、仕事がとてもつらくなってしまうんですよね。

他人の気持ちに敏感で、人のために動けること。
一方で、他人が思い通りにならなかったときの痛みには鈍感であること。

この、一見矛盾する2つのマインドを両立していることが、人事をやるうえではとても重要です。

いい組織とは、輝ける人が辞めない組織である

彼女は人事として「輝ける人が辞めない組織」をつくる、というのを大前提において考えているそうです。

ちょっとドライに聞こえるかもしれませんが、会社をやる以上「離職率0%」なんてことはありえません。それはむしろ健全ではないでしょう。

人それぞれ、価値観は多様です。そして、会社にもそれぞれの価値観や、目指す世界があります。「個人の価値観」と「会社の価値観」があるていど一致していると、人はすごく輝けるんですよね。

一方で、みんなにうっすら優しく「なんでもいいよ」という感じで、会社としての価値観や目指すものがよくわからない状態だと、やっぱりうまくいきません。「優柔不断な彼氏」みたいな感じです。

指針がないとみんな迷ってしまい、けっきょく個人の価値観のぶつかり合いになったりして、全員にとって居心地が悪くなってしまう。

「全員に優しい組織」「誰も残らない組織」は、実はとても近いのです。

経営との密な連携が重要

多様な人を受け入れて、そのうえで情に流されず判断することが求められる。

だからこそ人事は、経営としっかり結びついていることが重要です。

会社として目指す方向性はどんなものか。働き方や、組織の空気感をどうしていきたいか。いま事業がどんな状況で、どういう人が欲しいか。そういった戦略を経営陣と人事で共有して、組織に反映していく。

人事のもとには、日々いろんな要望や情報が上がってきます。

他者への思いが強い人ほど、そのすべてに応えようとして苦しくなってしまいがちです。そういうときの判断軸として「経営戦略に沿っているか」を考えるようにすると、優柔不断な組織にならずに済むはずです。

たとえばプレックスでは、全体で一律のルールを作ったりすることは極力避けています。「タバコ休憩は休憩時間にカウントします/しません」みたいに、細かい統制をかけようと思えばかけられるんです。でも、会社として「トップダウンで全体を統率する組織」は目指していないので、あえてやりません。

週に2〜3回は経営陣と人事でミーティングをして、こうした価値観や戦略をつねに共有するようにしています。

「自分の仕事で会社を変えられる」という実感

プレックスで人事をやっていて、いちばん楽しいのは「会社を変えられる実感」が持てることだと花梨さんは言っていました。

実は人事になったばかりのとき、彼女はずっと迷っていたんです。

それは、会社にどれだけ貢献できているのか、全然わからなかったからでした。

前職では営業をやっていて、数字ですぐに成果が見えたのでわかりやすかった。でも人事の仕事って、採用してもそれだけで正解じゃない。その先の活躍が必要だし、採用した人が活躍したからといって、別に自分のおかげではなくて、その人が頑張ったからです。

「じゃあ、自分の貢献って一体なんなんだろう??」

と、半年ぐらいスーパー迷子になっていたんです。

でも入社から1年がたったとき、会社の売上が、期初にたてていた計画の「1.5倍」になりました

採用人数を増やしたことに加えて、採用のターゲットを変えて動いたことの結果が出たんですよね。このときにやっと初めて「さすがにこれは貢献できてるだろ!」と思えたのだそうです。

売上はもちろんメンバー1人1人の力だけど、その人たちを採用したのはたしかに自分だ。「自分の仕事って、会社を変えられるんだ」と。

こういう実感を強く持てるのは、ベンチャーならではなのかなと思います。

「人事」というと一般的には、バックオフィスっぽいイメージがあると思います。こんなに売上をちゃんと見て、経営にコミットしている人事の形は珍しいかもしれません。

経営戦略から理解したうえで、採用・組織づくりまで一気通貫でやる。めちゃくちゃ大変ですが、だからこそ、自分の施策に責任を持てるし、その結果もちゃんと実感できる。

そうすると、仕事がすごくおもしろくなるんですよね。

ということで、ベンチャーが逆境のなかで人事・採用を成功させるためには……

▶︎面接で「隠れた逸材」を見抜く。
そのために、履歴書を情報ではなく「ストーリー」で見る。
▶︎多様な人を受け入れたうえで、情に流されず判断する。
そのためにも、人事と経営の連携は必須。会社のことを深く理解し、経営戦略を判断軸にする。

このあたりが重要なポイントなのかなと思います!

少しでも参考になるところがあれば幸いです。

**

最後に、プレックスでは人事メンバーを募集しています!
今回紹介した花梨さんのチームで、事業成長を支えてくれる方に来ていただきたいと思っています。「経営にコミットする攻めの人事」に魅力を感じてくださった方は、ぜひお気軽にご連絡ください!


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PLEX CEO(plex.co.jp)/インフラ産業の課題を解決するため2018年に起業/事業の仮説検証・マーケティング・組織づくりについて発信/採用プラットフォームとSaaSとM&A仲介を運営/ PLEX←エスエムエス←上智大学卒/日本を動かす仕組みを一緒に作りましょう!
無名のベンチャーで年間200名を採用した「スーパーひとり人事」の仕事術|黒崎 俊 / プレックス代表取締役
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