「なぜトイレが流れないのか」を気にしない子どもたち。闇バイトに入りやすい環境を考える。
「シャボン玉 飛んだ~ 屋根まで飛んだ~」
1920年代の日本の童謡。メロディが脳内に浮かぶ方も多いと思います。
週末、小学生の子どもと遊ぶボランティアにでかけているのですが、10年ほど前から、東京の子ども達の中で「屋根を見たことがない」子どもが増えてきた。
高層マンション群の中で生活する子どもにとって、屋根はオーロラか。
日常生活で屋根を見ることがなく、「屋根」というものを理解するために遠足に連れてくことさえある。
トイレを流さない子どもも増えた。自動洗浄トイレで育った子どもたちは、トイレを流すことを知らない。
「なんで流さないの?」と聞くと、「なんでウンチ、ここにいるの?」といった具合。
「私のウンチも、あなたのウンチの上にするのが良いかな?」と聞くと、「たぶん違う、私がトイレに来たときはウンチなかったから」。そんな会話を年に何度か、することがある。
中には、トイレを流す「ボタン」ならわかるが、「レバー」になると流せなくなる子もいる。
そりゃそうよね、彼らが生きてきた人生の中で、屋根は存在しないし、トイレはウンチを勝手に流してくれる。
闇バイトを見抜けない若者がたくさんいる。
闇バイトの求人情報を見抜けるか。ディップの調査によると、約8割近い高校生が見抜けなかったという。
東京都は、特殊詐欺加害防止 特設サイトを設けて、闇バイトに関する求人のクイズも掲載している。
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↑ こ、コレが見抜けないのか...?
目の前で起きたことを認識する。以上。
今の10-20代、デジタルネイティブで、環境意識が高く、性別/文化/人種に対する多様性を重視することができる若者が多いように思います。
一方で、すぐに結果が得られる状況に慣れているため、複雑な問題や、長期的な取り組みに対する抵抗感(忍耐力の不足)があるように、個人的に感じています。
先ほどの、トイレを流さない子ども達。
彼らの多くは、トイレが流れないことを相談・報告しに来ることは、あまりありません。でも彼らは、流れていないことを認識はしている。目の前で起きたことを認識してはいるが、解決するために考えたり努力することは怠る傾向が強い。
目の前の。表面に見えていることだけを認識する彼らにとって、先ほどの闇バイトの求人はどのように見えているのか。
- 時給よりも、1件5万円と書いている方がわかりやすくて良い
- DMで連絡できるなら安心
- 「ホワイト案件」と書いてあるなら安心できる
ほぉ...。
そして先輩方なら首を傾げるような、下記の事象も、若者が育ってきた生活環境からすると、まったく不思議に感じないのかも知れない。
- 申込/エントリーがSNSのDM
DMなら非公開だし安心!と感じるんだそうで。
申込サイトから書き込むことを、面倒くさく感じる人もいるんだとか...。 - 異様な高収入
SNS上でインフルエンサーたちの生活ばかり見ていると、
高収入がめずらしいことではないようで...。 - 個人情報の提示
ネット経由での諸々の契約、確かに個人情報の提示もアプリ経由。
「免許証の画像を送ってね!」に対するハードルは低い。 - アプリの新規インストール
アプリをインストールすることに抵抗感がない年代は、
「こっちのアプリの方が良いよ!」と言われて、
すぐインストール作業に移ることができる。
(企業のみなさんもすぐアプリ作りたがりますよね...) - 荷物用ロッカーを使った荷物の授受
闇バイトで利用するための小物や、現金の授受に荷物用ロッカーが
使われることがあるようですが、荷物の受け取りロッカーが一般的に
なっている今、そこに対して不思議に感じる若者はいない...そりゃそうね。。
彼らがなぜ、そのような思考になるのか。
私自身、疑問に感じたときは、その背景を考える癖を付けようと思う。
なんか、どんどん溝が深くなっていく気がするから。