ビットコイン「税率100%超」も 相続・売却に注意
金融お役立ちかわら版
2024年12月上旬、ビットコイン価格が初めて10万ドルを超えた。莫大な利益を手にする人も出ていることから、暗号資産(仮想通貨)の課税の仕組みに耳目が集まっている。ビットコインなど仮想通貨の売却益は「雑所得」に区分され、給与や家賃収入などと合算して「総合課税」される。総合課税の所得税は累進課税で、所得が多いほど最高税率が高くなる仕組み。5〜45%の所得税と10%の住民税がかかり、例えば課税される所得金額が4000万円以上だと、最高税率は計55%と高い。
これを株式や投資信託のように、他の所得と分けて課税する「申告分離課税」とするよう、業界団体はかねて要望してきた。株や投信の売却益や配当・分配金は基本、申告分離課税で、15%の所得税(及び復興特別所得税)と5%の住民税がかかる。
価格高騰が激しい仮想通貨は、保有者が亡くなり相続した人が売却すると、相続した人に合計で100%を超える税率の税金がかかる可能性が出てくる。仮に10年前の14年12月上旬にビットコインを100BTC(約460万円分)買うと、24年12月4日時点で約14億3700万円の価値になっていた。ここで保有者が亡くなり、子1人が相続する場合を考えると、累進課税である相続税の税率が最高55%に達する。
さらに子が受け継いだビットコインを相続時の価格で売却すると、子の取得価格は約460万円とされ、課税対象の利益は約14億3200万円になる。所得税と住民税は計55%で、相続税と合わせて110%にもなる。税額は3つの税を合わせて約14億8000万円となり、相続した額を超えてしまう。
相続税の税率が55%に達するのは、法定相続分の相続財産が6億円を超える場合だ。ただ、法定相続分の相続財産が3億円超6億円以下の場合でも、相続税の最高税率は50%だ。取得時から爆発的に値上がりし3億円を超えたビットコインを相続し売却すれば、所得税・住民税と合わせた税率が100%を超える。相続財産が2億円超3億円以下でも、相続税の税率は最高45%。相続し売却した場合、単純計算で相続税・所得税・住民税の税率が合計100%となる。
仮想通貨の売却益が少額でも、総合課税なので税率が株式などより高くなるケースは少なくない。総合課税の対象となる所得金額が330万円以上695万円未満だと、所得税の最高税率が20%、住民税が10%と、申告分離課税の計20%より高くなる。給与収入や家賃収入などがあれば、売却益との合計で330万円を超える人はそれほど珍しくないとみられる。
税理士の柴原一さんは「新登場の資産はまず雑所得に分類される」と話す。外国為替証拠金取引(FX)も当初は総合課税の雑所得だったが、後に「先物取引に係る雑所得」として申告分離課税になった。仮想通貨も、もし申告分離課税の対象になれば、相続税との合計税率が100%を超えることはなくなる。
注意したいのは、ビットコインなど仮想通貨を別の種類の仮想通貨と交換した時点で、売却益が発生したと見なされ、課税対象になることだ。現金化しないため「利益は実現していない」と考えがちだが、課税の仕組みでは、他の物と交換した時点で「使用して利益を実現した」という扱いになる。
【最新記事】
(大賀智子)
著者 : 日経マネー
出版 : 日経BP(2024/11/21)
価格 : 930円(税込み)
この書籍を購入する(ヘルプ): Amazon.co.jp 楽天ブックス
※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。
この投稿は現在非表示に設定されています
(更新)- 竹川美奈子ファイナンシャル・ジャーナリスト、LIFE MAP,LLC代表ひとこと解説
気軽にビットコインなどの仮想通貨を買う人もふえていますが、問題は売却時。現在、仮想通貨は申告分離課税の対象になっていません。売却益は"雑所得"に区分され、給与や家賃収入などと合算して総合課税されます。このことを知らない人もいるので要注意。 記事にあるように、総合課税の所得税は累進課税で、所得が多いほど税率が高くなることは理解しておきましょう。また「利益については、事業所得等の各種所得の基因となる行為に付随して生じる場合を除き、原則として所得税の確定申告が必要」です。 ◆国税庁「暗号資産等に関する税務上の取扱い及び計算書について」 https://www.nta.go.jp/publication/pamph/shotoku/kakuteishinkokukankei/kasoutuka/
この投稿は現在非表示に設定されています
(更新)