短文型SNS「mixi2」ひっそり開始でも話題の理由 トレンドとレガシーを融合した招待制SNSに注目集まる

2024/12/17 12:00
ミクシーを逆さまから読み“149.3文字”(実際には150文字)投稿できる短文投稿型SNSが登場(写真:ミクシィ)
目次

かつては日本のSNSを代表するサービスだったmixiが、新たなSNSサービスに挑戦している。12月16日、iPhone / Android向けアプリとして提供が開始された「mixi2」は、プレスリリースもなく、ひっそり立ち上げられたのだが、X(旧Twitter)などを通じて招待コードが共有され、瞬く間にネットのバズとなった。

広告の下に記事が続きます

“149.3文字”制限の短文投稿型SNS

mixi2は149.3文字(ミクシィの逆読みにちなんでいると思われるが、実際には150字まで入力できることが確認されている)という投稿制限を設けた短文投稿型のSNSだ。基本的なUIはXに似た設計を踏襲しているが、テキストベースのコミュニケーションをより豊かにする工夫が随所に取り入れている。

アプリの見た目は、Xと非常に似ている(写真:ミクシィ)

文字の大きさを変えたり、震わせたり、点滅させたりできる「エモテキ」機能は、投稿に感情や強調を加えるのに効果的だ。たとえば、嬉しい出来事を報告する際は文字を大きくして喜びを表現したり、驚きの気持ちを文字を震わせることで視覚的に伝えられる。

また、投稿に対する反応として、さまざまな絵文字でリアクションを示せる機能も実装されている。

広告の下に記事が続きます

2/4PAGES

こうした機能は、SNS「Misskey」やiPhoneの「iMessage」などにも実装されており、テキストだけでは伝わりにくい感情やニュアンスを表現できる仕組みだ。

文章で感情を表現できる「エモテキ」や、絵文字で反応するリアクション機能が用意されている(ミクシィ提供)

「今を共有でき、すぐ集える」をコンセプトに掲げるmixi2は、ユニークな展開方法を選んでいる。同社は「友人知人など身近で安心できる人同士で繋がり、じっくりと心地良い関係を構築して人づてで少しずつ広がってほしい」という考えから、意図的に報道発表を控えたそうだ。招待制を採用しながらも、招待コードの共有回数には制限は設けられていない。

これは2つの狙いがあると考えられる。1つは、サービス立ち上げ初期のアクセス集中を緩和する効果だ。もう1つは、SNSを通じたバイラル的な拡散効果を期待したものだろう。実際、XやBlueskyでは招待コードを共有するユーザーが多く見られた。

広告の下に記事が続きます

アルゴリズム推薦との新しい距離感

アルゴリズムによる投稿推薦が当たり前となり、見知らぬ人の投稿(そして広告)が次々と表示される現在のSNS。mixi2はそんな流れに一石を投じるかのような選択をしている。

サービスの中核となるホーム画面では、“フォロー中”をデフォルトのタイムラインに設定している。これは現代のSNSでは珍しい選択だ。多くのSNSがアルゴリズムによる“おすすめ”を前面に押し出す中、ユーザー自身が選択した情報源を優先する姿勢を示している。

広告の下に記事が続きます

3/4PAGES

もちろん、新しい出会いを提供する“発見”タイムラインも用意されているが、それはあくまでもユーザーが能動的に切り替えて利用する仕様となっている。このようなデザインから、ユーザーの選択を重視しながらプラットフォームとしての発展性も確保するという、バランスの取れたアプローチが見て取れる。

広告の下に記事が続きます

「mixi」から継承したもの、しなかったもの

名称に「2」を冠しているものの、mixi2は従来のmixiとは、まったく別のサービスとして設計されている。従来のmixiは日記を書いて読み合うような、ゆったりとした時間の流れるSNSだった。対してmixi2は「今この瞬間」を共有することを大切にしている。これはSNSの使われ方が大きく変化した現代だからこその選択と言えるだろう。

一方で、mixiの強みであった“コミュニティ”の考え方は現代的な形で受け継がれている。mixi2のコミュニティ機能では、相互フォローの関係にある人々を招待したり、承認制のグループを作成したりできる。さらに、アニメやスポーツ中継の同時視聴といったオンラインでの集まりから、キャンプなどのオフライン企画まで、幅広い活動を手軽に計画できるイベント機能と組み合わせることで、共通の関心事を持つ人々の交流をより活発にする仕組みを提供している。

コミュニティ機能(左)とイベント機能

広告の下に記事が続きます

4/4PAGES

興味深いのは、かつてのmixiの代名詞的機能であった“足あと”を実装していない点だ。誰が自分のプロフィールを見たのかが分かる「足あと」機能は2000年代のSNS文化を象徴する機能だった。しかし、プライバシーに対する意識が高まった現代において、他者の行動を可視化する機能は必ずしも歓迎されない。この機能の非搭載は、現代のユーザーのプライバシー意識に寄り添った判断と言えるだろう(マッシュアップとして、リアクションボタンを長押しすると“足跡マーク”を付けられる隠し機能はある)。

広告の下に記事が続きます

つながりを育てるSNSへ

mixi2の登場は、SNSを取り巻く環境の大きな変化を反映している。イーローン・マスクがツイッター社を買収し、Xへの改名され、さまざまな改変がされていく過程でユーザー離れが進み、MetaのThreadsやBlueskyといった新興SNSが台頭する中、mixiもまた新たな選択肢を提示してきた形だ。

アルゴリズム推薦に依存せず、ユーザー自身の選択を重視する設計を採用し、さらにプライバシーへの配慮、従来のmixiから受け継いだコミュニティ機能の再解釈と、トレンドとレガシーをうまく融合した。

SNSの成否を決めるのは、最終的にはそこに集まるユーザーとコミュニティの質だろう。「今を共有でき、すぐ集える」というコンセプトのもと、どのような交流の場が形成されていくのか。アルゴリズムではなく人の縁を大切にしたつながりの中で、どんなコミュニティが育っていくのか。その答えは、これから集まってくるユーザー自身が示していくことになる。

石井 徹 モバイル・ITライター

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

いしい とおる / Toru Ishii

1990年生まれ。神奈川県出身。専修大学法学部卒業。携帯電話専門媒体で記者としてのキャリアをスタート。フリーランス転身後、スマートフォン、AI、自動運転など最新テクノロジーの動向を幅広く取材している。Xアカウント:@ishiit_aroka

この著者の記事一覧はこちら
この記事をシェア・ブックマーク
ブックマーク

記事をマイページに保存できます。
無料会員登録はこちら はこちら

関連記事
注目の特集
新着あり
今さら聞けない金利の話
今さら聞けない金利の話
日本銀行が17年ぶりに利上げし「金利ある世界」が現れた。メガバンクが利ザヤ拡大で儲ける一方、住宅ローンを抱える個人は金利負担に頭を悩ます。誰が得して、誰が損するのか。
新着あり
日銀 “利上げ”転換とその先
日銀 “利上げ”転換とその先
3月19日、日本銀行が大規模金融緩和を解除するなど金融政策を大幅に見直した。日銀の思惑とは? そしてマーケットや日本経済への影響はどうなるのか。
新着あり
国産ゲーム 生存戦略
国産ゲーム 生存戦略
開発費の高騰、国内市場の成熟化に直面する日系ゲームメーカー。どう勝ち筋を描くのか。
新着あり
2025年 大予測 先行版
2025年 大予測 先行版
まもなくやってくる2025年はどんな年になるのか。大きく揺れ動く世界の政治・経済情勢から、国内外の主要業界の動向、注目企業の先行きなど、幅広いテーマで2025年の展望を解説していく。
総合商社『次の一手』
総合商社『次の一手』
競争環境がめまぐるしく変化するスーパー・コンビニ事業。消費者との接点としての重要性が増す中で、総合商社はどのように向き合っていくのか。最前線を取材した。
ひと烈風録/森山 裕
ひと烈風録/森山 裕
少数与党に陥った自民党。舵を取るのが幹事長の森山裕氏だ。「緩やかな多党政治」をいかに束ねていくのか。本特集では、森山氏本人や周辺への取材を通して、その政治力の知られざる源泉に迫った。
特集一覧はこちら
有料会員限定記事
おすすめ記事
人気記事
ビジネス
過去1時間のアクセスランキング
1
三菱UFJ「貸金庫事件」で実在した"黒革の手帖" 2024年12月18日北山 桂
2
「30歳年収が高い企業ランキング」全国トップ500 2024年12月17日東洋経済オンライン編集部
3
短文型SNS「mixi2」ひっそり開始でも話題の理由 2024年12月17日石井 徹
4
中華まん「1日最大40万個生産」工場の驚きの内部 2024年12月18日丹羽 桃子
5
実は売上減少の「養命酒」が狙う"起死回生"の秘策 2024年12月18日笹間 聖子
6
三菱UFJ銀行「貸金庫事件」が開けたパンドラの箱 2024年12月13日北山 桂
7
1位は4000億超!広告宣伝費が多いトップ300社 2024年12月16日田中 久貴
8
実はジリ貧「養命酒」が密かに抱えてきた"課題" 2024年12月18日笹間 聖子
9
生焼けハンバーグ騒動を生んだ外食業界の"病巣" 2024年12月17日大関 まなみ
10
「モスチキン」クリスマスの"新定番"になれたワケ 2024年12月17日鬼頭 勇大
過去1時間のアクセスランキング
» 11位〜30位はこちら
ビジネス
過去24時間のアクセスランキング
1
「30歳年収が高い企業ランキング」全国トップ500 2024年12月17日東洋経済オンライン編集部
2
生焼けハンバーグ騒動を生んだ外食業界の"病巣" 2024年12月17日大関 まなみ
3
短文型SNS「mixi2」ひっそり開始でも話題の理由 2024年12月17日石井 徹
4
三菱UFJ「貸金庫事件」で実在した"黒革の手帖" 2024年12月18日北山 桂
5
「モスチキン」クリスマスの"新定番"になれたワケ 2024年12月17日鬼頭 勇大
過去24時間のアクセスランキング
» 6位〜30位はこちら
ビジネス
週間アクセスランキング
1
「30歳年収が高い企業ランキング」全国トップ500 2024年12月17日東洋経済オンライン編集部
2
三菱UFJ銀行「貸金庫事件」が開けたパンドラの箱 2024年12月13日北山 桂
3
あなたの街のイトーヨーカドーが閉店した必然 2024年12月15日中井 彰人
4
「2050年の人口ピラミッド」全国比較で驚きの格差 2024年12月12日東洋経済『都市データパック』編集部
5
実写化に物議【推しの子】ドラマが意外と好評な訳 2024年12月12日白川 穂先
週間アクセスランキング
» 6位〜30位はこちら
ビジネス
月間アクセスランキング
1
「週3日働き年収2000万」オジサンのニッチな仕事 2024年12月4日高橋 勅徳
2
「30歳年収が高い企業ランキング」全国トップ500 2024年12月17日東洋経済オンライン編集部
3
ドーミーイン系4つ星ホテル「3300円朝食」に驚愕 2024年11月23日大木奈 ハル子
4
プロント「タコさんウインナー」に"討伐隊"出る訳 2024年12月10日鬼頭 勇大
5
ガスト「1990円高級フレンチ」の値段より凄い箇所 2024年11月26日大関 まなみ
月間アクセスランキング
» 6位〜30位はこちら
ビジネス
Facebookシェアランキング
1
三菱UFJ銀行「貸金庫事件」が開けたパンドラの箱 295北山 桂
2
1位は4000億超!広告宣伝費が多いトップ300社 169田中 久貴
3
「訪日客バブルなき横浜」でホテル開業ラッシュ 131星出 遼平
4
短文型SNS「mixi2」ひっそり開始でも話題の理由 122石井 徹
5
中山美穂さんの近親者に突撃するマスコミの病理 74城戸 譲
Facebookシェアランキング
» 6位〜30位はこちら