【脱原発論はいいけれど…】山本太郎氏は被曝の恐怖と自分の政治主張を結びつけるな 誤った情報は福島を傷つける

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2013.11.13

 山本太郎参議院議員が10月31日の園遊会で、天皇陛下に手紙を直接渡して、大騒動となった。本人によれば、手紙は「子供たちの被ばくが進み、健康被害が出る。実情を知ってほしい」という内容だ。

 あらゆる立場の人が彼を批判した。社会問題の解決は国会議員の仕事なのに、関係のない皇室を巻き込んだ。これは目立ちたいパフォーマンスにしか思えない。参院は8日、議長名で厳重注意と皇室行事参加を認めない処分を決めた。山本氏は、処分後に「猛省している」と陳謝した。

 俳優だった山本氏は福島第1原発事故の後に、「反原発」を主張してさまざまな騒動を起こした。今年夏の参院選では東京選挙区で約67万票を集めて当選した。多くの人に支持されたことは尊重するが、彼の主張と行動、特に健康情報の扱いは問題がある。

 今回の手紙騒動を含めて、山本氏は「被ばくで健康被害が起こる」と繰り返す。健康情報は正確に、慎重に発信しないと、パニックや風評被害の源になる。事故後に多くの放射能デマが社会を混乱させ、人々の心を傷つけたことを思い出してほしい。

 誰もが原発事故当時、放射能による健康被害を警戒した。放射線を大量に浴びると発ガンが増える。幸いなことに事故の影響は限定的だった。専門家はそろって「健康被害は起きる可能性はほとんどない」と現状を分析し、日本政府も国連科学委員会も「がん患者の増加は考えられない」との報告をまとめた。現時点で、福島県や東日本の大半で、事故の影響による追加被ばく量は、影響がないと推定される年数ミリシーベルト以下だ。

 ところが、山本氏は安心を得られる情報を受け付けず、皇室を含めて他の人に「危険だ」という意見を押し付ける。3歳の女の子と暮らす福島市在住の母親に感想を聞いた。

 「私たちは情報を集め、健康被害はないと判断した上で、故郷に住んでいます。山本さんが『子供が危険』と誤った情報を流すことは故郷への悪口で、とても不愉快です」

 周囲も同種の感想ばかりという。山本氏の行動は人の心を傷つけている面があるようだ。

 山本氏が代表格だが、放射能をめぐる誤った情報を周囲に拡散する人がいる。そして、その恐怖感と自分の「反原発」の政治主張を結びつける。そうした行為は、今すぐやめてほしい。それよりも放射能の正確な情報を学び、福島の人々の声を聞いたらどうか。

 他者に迷惑をかけない「脱原発」や「子供を守れ」の主張なら、違う考えの人も交えながら、子供の健康とエネルギーをめぐる建設的な議論ができるはずだ。

 ■石井孝明(いしい・たかあき) 経済・環境ジャーナリスト。1971年、東京都生まれ。慶応大学経済学部卒。時事通信記者、経済誌記者を経て、フリーに。エネルギー、温暖化、環境問題の取材・執筆活動を行う。アゴラ研究所運営のエネルギー情報サイト「GEPR」の編集を担当。著書に「京都議定書は実現できるのか」(平凡社)、「気分のエコでは救えない」(日刊工業新聞)など。

 

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