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県立中部病院(うるま市)が未払いの診療費の回収業務で、乳幼児のときに受診したとみられる診療費を、保護者ではなく成人した本人に請求していることが15日までに分かった。
親と交流がない若者らにも「法的手段の及ぶこともあります」との請求が届き、戸惑いの声が上がる。琉球新報の取材を受けた同病院は「親への請求が必要なケースを精査する」と改善に乗り出した。
県内在住の女性(23)は9月、東京の法律事務所から請求書が届いた。2001年、生後1カ月での入院費の一部として9864円と遅延損害金の支払いを請求された。2歳から里親に育てられ、実親を知らない女性は「払えない金額ではない。でも、なぜ子どもに請求するのか。親の責任でないのか」と話す。
県内の20代の男性は請求書に続き「法的手続予告書」が10月に届いた。小学生だった05年の入院費の一部20万6395円と遅延損害金を支払わなければ「民事訴訟を提起する場合がある」との記述に驚いた。母子家庭で育ち、今は母親と交流がない。「最初は振り込め詐欺かと思った。こんな金額は払えない」
2人とも身近な人に相談し、書面で時効の事実を主張する「消滅時効の援用」の手続きをしてもらえた。
債務の発生当時の時効は3年(現在は5年)。ただし手続きしないと請求を受け続ける。
同病院は未回収の診療費が1985年以降で約6億7千万円に上る。本年度は22年までの発生分の回収業務を法律事務所に委託した。ほかの県立病院と同様、年齢にかかわらず受診した当人に請求。保護者の責任の後始末を子どもに強いることが標準になっている。
同病院は「公平を保つため、未払いがある場合はいつでも患者に請求する」とする一方、「未成年時の受診について配慮が必要だった。今後、親への請求が必要なケースを精査する」と改善の方針を明らかにした。
(宮沢之祐)
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