2022年は「画像生成AI」の年という美術史年表を考えてみた。
2022年9月9日
⬜︎「画像生成AI」について美術史に追記する案を考えてみました!
みなさん!「画像生成AI」ブームが来てますよ!!
今回のブームの一番すごいところは、誰でも 簡単に「画像生成AI」が使えるようになったところではないでしょうか。
『画像生成AIってなんですか??』
という疑問もあると思いますが、簡単にいうと「言葉を入れるとAIが画像を生成する」というやつなんですが、ホントはそれだけじゃないんですが、だいたいそんな感じだと思ってください。
この原稿9月7日に書いてるんですが、こうやって日にちを書いておかないと、アップされた時に
「話題が古いよ!」
と突っ込まれそうなくらい起きてることのスピードが速すぎます。9月7日の時点で読んでも既に古いかもです。前回8月のコラムにも画像生成AIについて書きましたが、アップされてから今日までの間に「Stable Diffusion」が出てきたり、「mimic」が登場して批判されてすぐに停止になったり「DALL-E 2」にoutpainting機能がついたり、Google「DreamBooth」が出てきたりと、他にも色々とにかく次から次へと出てきて、とにかく話題に事欠きません。
『「Stable Diffusion」「mimic」「DALL-E 2にoutpainting機能」Google「DreamBooth」て、なんですか??』
という質問には僕も正確には答えることはできませんが、これらも画像生成AIだと思ってください。それらが沢山出てきましたよ!ということです。とにかく今すごいことになってますよ、ということです。
僕は、完全に人工知能の門外漢なので、今回書くことに正確じゃないところも出てくると思いますが、美術史的に、もし新しい美術史が編纂されるならば、「2022年」は必ずやこの「画像生成AI」について記述されることは間違いないでしょう。断言できます。
ただ、急に今年、「画像生成AI」が生まれたわけではないので、数年前からの記述が必要です。素人なりに自分の知ってることで年表を作ってみました。「画像生成AI」以外についても、関連があると思ったことを入れてあります(異論反論はあると思いますが)。自分の頭の整理用であります。下記のような年表を大雑把に作ってみました。
上の年表は、始まりが2015年からになってますが、画像生成AIについてだけの美術史ということではありません。あくまでも、通常の美術史につけ加える案です。画像生成AIだけの美術史というものがあるなら、人工知能の始まりから書かないといけないはずなので、これはそれとは違います。
ほんとは、画像生成AIについても2015年より前から何かあるとは思うのですが、自分の知ってる範囲で書きました。全体的に多分抜けが色々あると思います。GAN(Generative adversarial networks) というものも自分がよくわかってないので省きました。
あと、入れるかどうか悩んだのが、
・江戸時代 からくり人形「文字書き人形」
・1959年「自動デッサン機」Jean Tinguely (ジャン・ティンゲリー)
・1985年 つくば万博 松下館の似顔絵ロボット
これらのようなものも、同じ流れで考えるべきかどうかという問題です。
江戸時代のからくり人形は極端なケースなので省きました。
1959年 JeanTinguely((1925~1991 )の「自動デッサン機」は、もう既に美術史に載っている美術作品で、今回の追記する案にはあたらないので、省くことにします。自動デッサン機は、本当にデッサンをするわけではなく、抽象的な絵を描く機械です。ここで重要なのは、「自動デッサン機」が作品だということです。この考え方だと、「画像生成AI」が作品だというふうにも言えますが、これ以上書くとややこしくなるので省略。
1985年の松下電器の似顔絵ロボット、これは年表に入れたほうが良い気もしますが、書くと話がややこしくなるので、今回のコラムでは省略します!すみません。
以下、年表のトピックについて、ひとつひとつ解説というか、感想を書いていきます。リンクと引用が多くて大変読みにくいですが、読んでいただけると幸いです。
<2015年>
●Google 「Deep Dream」
僕がAIの作品として初めて強く意識したのが、この「Deep Dream」(ディープドリーム)です。取り込んだ写真の画像を、目玉だらけの不思議な絵に変化させた画像が、インターネットで話題になっているのを見て、『これが「Deep Dream」の画風なんだ〜おもしれ〜』と思ったものでした。今となっては、人間が「Deep Dream」風に描くというのもあるかもしれません(たぶん、もうあると思いますが)。正確な意味で、これを画像生成AIやAIと言って良いのか、専門家じゃないのでわかりません。
ディープドリームについてwikipediaからの引用
『___ディープドリームは、 GoogleのエンジニアであるAlexander Mordvintsevによって作成されたコンピュータービジョンプログラムである。このソフトウェアは、畳み込みニューラルネットワークを使用し、アルゴリズムのパレイドリアを介して画像の中にパターンを検出および強化し、意図的に過剰処理することで、夢のような幻覚的な画像を生成する。___』___
参考、引用したリンク↓
wikipediリンク
https://en.wikipedia.org/wiki/DeepDream
GoogleAIブログのリンク「Deep Dream」について書いてあります。
https://ai.googleblog.com/2015/06/inceptionism-going-deeper-into-neural.html
<2016年>
●人工知能が描いた「レンブラントの新作」
「レンブラントの新作」これがどういうものか、Wiredの2016年4月1日の記事から引用します。
↓
__『17世紀の画家、レンブラントの「新作」がオランダでつくられた。ディープラーニングで作品の特徴を分析し、3Dプリンターを使って“レンブラントらしさ”を再現。人工知能が、人間の才能と技術を模倣することに成功した。』____
__『このプロジェクトは、オランダを本拠とする総合金融機関INGグループが出資したもの。オランダのマウリッツハイス美術館とレンブラントハイス美術館のチームが、デルフト工科大学、マイクロソフトと協力して制作した。__』
______
とにかく、このニュースを見たときは、本当に驚きました。「レンブラントの新作」に対する僕の感想ですが、『故人の新作をシミュレーションする』というようなコンセプトの作品は、現代美術ではまあまあ、あります。それは、美術の価値に対する一種の思考実験なのですが、ある意味、机上の空論の側面があります。それは、シミュレーションとはいえ、描いた人間がいるからです。
ところが、この「レンブラントの新作」は人工知能によって空論じゃない現実になってしまった、という感じです。僕はこれは、このプロジェクト自体がひとつの作品だな、と思ってます。
引用したWiredのリンク
Wired「人工知能が描いた『レンブラントの新作』」
https://wired.jp/2016/04/14/new-rembrandt-painting/
The Next Rembrandt 「レンブラントの新作」のメイキング動画
https://www.youtube.com/watch?v=IuygOYZ1Ngo
「レンブラントの新作」を作ったプロジェクト「The Next Rembrandt」のHP
https://www.nextrembrandt.com
_______
●人工知能美学芸術研究会(AI美芸研)発足
2016年の時点で「人工知能美学芸術研究会」を美術家の中ザワヒデキさんが発足されているのはなかなか動きが早い、先見の明があるな〜と感心しました。美術家からこのような動きがあったことは、美術史に入れないといけないと思い、入れました。ちなみに僕は会に入ってはいませんよ!!
「人工知能美学芸術研究会」活動に興味のある方はホームページをチェックしてみてください。↓↓↓↓
「人工知能美学芸術研究会」HP
https://www.aibigeiken.com
<2018年>
●深層学習によって「蛇の回転錯視」の知覚再現に成功
「深層学習によって『蛇の回転錯視』の知覚再現に成功」前回のコラムで紹介させて頂いた、基礎生物学研究所准教授の渡辺英治さんの研究です。
これは画像生成AIではありませんが、絶対、美術史に入れるべきだと思ってます。僕的には「AIに錯視を見せる」という発想と行為が、現代美術作品だと思ってます。(※あくまでも僕個人の考えです。AIに錯視を見せるというのも、厳密には意味が違います。)
今回の画像生成AIの普及を写真機の発明に例えている人が結構いました。それ自体は間違ってはいないのですが、そこで考えたのが、写真機と人工知能の違いは何か?ということです(AI搭載の写真機は除く)。前述したJeanTinguelyの「自動デッサン機」だって、絵を生成するという意味では生成しますが、絵を見ることはできないのです。
じゃあ、似顔絵ロボットは人間の顔を見て描くので、見ることをしているのか?現在のカメラの顔認識や笑顔認識の機能は?どうなの?とか、色々考えます。画像を生成するだけではなく、画像を認識するという側面が重要だと思ってます。さらに、画像生成AIでは言葉を入力して画像生成するので、言葉と画像の関係も認識して思考して画像生成しています(認識や思考という表現が正しいかどうかわかりません。単なる演算かもしれません)。
つまり、インプットとアウトプットの間にあるモノが「思考」しているかどうかということの違いだということです。この「思考」の部分に焦点をあてた作品として、「深層学習によって『蛇の回転錯視』の知覚再現に成功」を美術史に記述しないといけないと私は思うわけです!
参考リンク
基礎生物学研究所HP
「深層学習によって『蛇の回転錯視』の知覚再現に成功」
http://www.nibb.ac.jp/press/2018/03/20-2.html
_______________________________
● OpenAI GPT(Generative Pre-trained Transformer )
OpenAI GPTは、自然言語モデルで画像生成AIではないですが、関係が深いので入れました。画像生成AIが言葉を入力して画像生成するので重要です。
自然言語モデルといえば、小説の自動生成も今すごいことになってます!こんなニュースもありました。↓
__
「文学賞『星新一賞』で“AIと作った小説”が初入選 人間以外の作品が応募の4%に増加」
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2202/18/news137.html
そして、このサイトではAIが小説を書いてくれます!
↓↓↓↓
「AIのべりすと」のHP
https://ai-novel.com
AIのべりすと Wikipediaから引用
『__AIのべりすと(えーあいのべりすと)は、AI(人工知能)による文章・小説作成アプリケーションソフトウェアである。___』__
https://ja.wikipedia.org/wiki/AIのべりすと
という感じで、小説の自動生成AIもありますよ、ということです!
ちなみに、音楽の自動生成AIもすごいことになってますが、省きます!
●「AIが“描いた”作品、約4800万円で落札。予想落札価格の43倍」
美術手帖の2018年10月26日の記事から引用です!
___『_クリスティーズで25日に行われたオークションに、AI(人工知能)が“描いた”作品が世界で初めて出品。予想落札価格の43倍となる43万2500ドル(約4800万円)で落札された。』___
___『《Edmond De Belamy(エドモンド・ベラミーの肖像)》と題されたこの作品は、パリを拠点とするアーティストや研究者らのグループ「Obvious」が開発したAIによって生み出されたもの。____』
このニュースも「レンブラントの新作」同様に驚きました。アーサー・ダントーが言うところの「アートワールド」のシステムの一部であるマーケットで、高額で落札されたということが、意味のある出来事だと思います。ただ、これは「人工知能が描いた初期の作品」という歴史的な価値の側面が強いかなと思ってます。つまり、「人工知能が描いてるから良い!」ということになります。「人間が描いてないからダメだ」という価値とは逆です。
この作品も、「レンブラントの新作」と同じで、AIの作品ではなく、この描かせたグループ「Obvious」の作った作品、もしくはこのプロジェクト自体が「作品」というのが、僕の考えです。しかし、AIで制作した作品は、AIに指示した人が作者だという考えだと、人間が人間に指示して描かせた場合はどうなるのか?という話になってきます。
この辺は、原作付き漫画が
『「原作者:〇〇」「作画:〇〇」』
とクレジットするように、
『「指示:人間」「作画:AI」』
とか
『「指示:人間」「作画:人間」』
というようなクレジットを入れるようになるかもしれません。
引用した美術手帖の記事のリンク
https://bijutsutecho.com/magazine/news/market/18719
______
<2019年>
●OpenAI「 GPTー2」
GPTのバージョンアップしたやつです!
______
<2020年 >
●OpenAI 「 GPT-3」
GPT2よりさらにバージョンアップしたやつです!
<2021年 >
● OpenAI「 DALL-E」
画像生成AI、DALL-E2のひとつ前のバージョンです!
DALL-E2のリンク
https://openai.com/dall-e-2/
_______
●「眼杯」がついた脳オルガノイド
●脳オルガノイドがゲームをプレイ、AIよりも早く操作を学習
「脳オルガノイド」ですが、画像生成AIでもないし、人工知能では無いですが、参考に入れました。「脳オルガノイド」の「脳」としての機能に関しては、「過大評価しすぎだ」という意見を目にしたり聞いたりして、その意見が信憑性が高いと思ったのですが、念の為入れました。その理由として、人工知能との比較で考えた場合に、人間以外のもので比較できるものがあった方が良いと思ったからです。この辺は完全に僕の個人的な考えです。
Wikipediaより引用
『___脳オルガノイド(英: Cerebral organoid)とは、ヒト幹細胞を利用して作製した、脳に似た構造の小型の組織体であり、より完全な形で脳を研究できるようにする新しい研究手法である____』
参考記事リンク 『眼がついた人工脳が作製される』
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2021/08/post-97005.php
参考記事リンク 『人工培養した「ミニ脳」でゲームをプレイ、AIよりも早く操作を学習』
https://www.zaikei.co.jp/article/20211228/653925.html
Wikipedia「脳オルガノイド」のリンク
https://ja.wikipedia.org/wiki/脳オルガノイド
<2022年>
●画像生成AIが沢山出てきたよ〜〜
冒頭で、画像生成AIは言葉を入れると画像を生成すると書きましたが、言葉だけではなく、ラフスケッチをリアルで写実的な絵にしたり、自分の描いた絵を学習させて、違う絵を生成したり、読み込ませた絵のフレームの外側を描いてくれたりと、色々できます!
下記にいろんな自動生成AIと参考リンクを貼りました。
↓
● OpenAI 「DALL-E 2」
https://openai.com/dall-e-2/
● 「craiyon」
https://www.craiyon.com/
● Google 「Imagen」
https://imagen.research.google/?fbclid=IwAR3fpPq9mJxHd7C7ovNyg_4cuXCxyp7i3R7as3IKYaKg8d_CSBli-s0axe4
● Microsoft「NUWA-infinity」
https://nuwa-infinity.microsoft.com/#/
●「MidJourney」
https://www.midjourney.com/home/
●「Stable Diffusion」
https://github.com/CompVis/stable-diffusion
●Google 「DreamBooth」
https://dreambooth.github.io/
その他にも色々な画像生成AIがあります。今めちゃくちゃ増えてます。
__________
以上が年表の個人的な解説です。
本当は、インターネットやデジタルカメラ、スマホにカメラがついていることや、そのアプリのことや、インスタグラム、YouTube等のSNS等の影響、ブロックチェーン、NFTなども絡めて論じた方が良いのですが、今回は省略します。
今、LINEでも画像生成AIができます。もしLINEのアカウントをお持ちの方がいて興味のある方は、試してみてください。
「お絵描きばりぐっどくん 」
https://page.line.me/877ieiqs
このアカウントを友達登録してトーク画面で言葉を送ると画像を生成してくれます。このお絵描きばりぐっどくんは、「Stable Diffusion」を使っています。
僕も早速やってみました。
上の画像は、「美術史の中の人工知能」という言葉をLINEで送って生成された画像です。ものすごく生成のスピードが速くてびっくりします。僕はこの絵が大変気に入りましたが、友人に見せたら、あまり反応が良くありませんでした。
そこで思ったのが、これは言葉を入力した人が見るから面白いのであって、入力してない人には面白くないかもということです。入力したら画像が出るゲーム、そんなゲームをしていることが快感かも?と思ったりもしました。もともと自分が手で描いた絵は、客観的に見るのは難しいです。
しかし、これは完全にAIが描いたのにもかかわらず、言葉を入力したことが原因で生成された画像を客観的に見られないということが起きているのかどうか、興味深いのですが、まだ自分でも結論が出ていません。
色々書きましたが、僕は制作にこの画像生成AIを活用していくつもりですが、今のところしばらくは、画像生成AIに美術作家の役割が取って代わることはないと思います。その理由は、僕は制作活動をやりたいからやってるだけだからです。
例えば、「会社で上司に理不尽なことで怒られて腹がたつ」という感情をAIは代わってくれないです。まあ人間も代わってくれませんが。「いや、AIにも感情が実装されるよ」という可能性もありますが、それはあくまでもAIの感情で、僕の感情ではないからです。
腹が立ったということを表現するのに、AIを活用することはあるかもしれません。受け手としては、人工知能が自発的に考えた作品を受容することはあると思います。作者の考えなど関係ないという考え方もあります。もしくは、作者が嘘をついている可能性があるかもしれません。
しかし、作り手としたら、僕が書きたいことをAIは考えることはできないのです。Aiが考えたものはAIの考えです。いやしかし、僕の考えを学習させて、僕の考えを再現させて僕の代わりに嫌な上司に怒られてくれるかもしれません。
しかし、その時、僕は
「あいつ(AI)、俺の代わりに怒られてかわいそうだな」
という感情が湧くと思うので、やはりこれは難しいと思います。
つまり、作り手の作りたいという欲求には、代わりがきかないということです。ただ、繰り返しになりますが、見る人には関係ないということです。
とにかく、これからしばらく、画像生成AIの動向から目が離せませんぞ!!
(おしまい)
___
補足)
参考にしたリンク
OpenAI のサイト
↓
https://openai.com/about/
OpenAI の開発順に並んでるインデックスのページ
↓
https://openai.com/blog/
__
僕が以前書いた画像生成AIについてのコラムです。読んでくださると幸いです。
↓↓
6月3日『アンドロイドは斉と公平太の夢を見るか?OpenAI「DALL・E2」の衝撃!!』
https://plus.chunichi.co.jp/blog/saitou/article/591/10655/
8月22日「アンドロイドはターボ式着火ライターの夢を見るか?」
https://plus.chunichi.co.jp/blog/saitou/article/591/10752/