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芸術は漠然だ!~斉と公平太のムダに考えすぎ~

自作について語る!7万5000年前のパクリ!

2022年3月28日

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1998年個展の展示風景(ナガミネプロジェクツ 東京)


今回は自作について書いていきます。
「おまえの作品の話なんて聞きたくないよ!!」
という、ごもっともな意見もあるとは思いますが、完全に無視して話を進めさせていただきます。

上の画像は今から24年前の平成10年、西暦1998年、私が25歳のときに個展で発表した作品です。この黄色の物体は何かということですが、まあなんというか「菱形」なわけですが、これが自分なりにその当時考えた「最小限の形」なのです。といっても、ミニマルアートを目指していたわけではありません。場と無関係に作品として認識できる最小限の形ということです。

これはあくまでも僕個人の認識の問題であって、一般に適応できるものではありません。
発表した時はやはり、
「ミニマルアートのパクリだ」
とか、
「これは道路標示の引用に見える、そのような引用の構造は既にあるものなのでパクリだ」
と酷評されました。
僕としては道路標示の引用と誤解されないよう黄色く塗ったり立体にしたりしたのですが、あまり効果がなかったようです(冗談で黄色だと風水的に縁起がいいからというような、アホな理由づけをしたりもしました。若気のいたりです)。

僕はその後もこの「菱形の作品」を試行錯誤してきました。

2007〜2017年の間に作った菱形の作品


ちなみに、上記画像の右上にある菱形が二つつながったものは、企業のマークで同じ形のものがあることがわかり、商標の侵害になるといけないので、その後は作っていません。それ以降は、三つ以上つなげるようにしています。複数つなげたのは道路標示と区別するためです。

何故「菱形」が最小と思ったのか?

点「」「

横棒「

縦棒「I

斜めの棒線「/

の方が、手数的に菱形よりも少ないのですが、これだと作品だと認識しづらいのではないか?と思ったのです。ギャラリーや美術館の空間に置けば、どんなものでも自動的に作品になってしまうということは別にしてです。

さらに、僕の個人的な感覚としてですが、同じ棒線でも横棒「」や縦棒「I」より、斜めの棒線「/」の方が作品として認識しやすいと考えています。

何故、斜めの棒線「/」が認識しやすいと感じるのかといえば、四角いキャンバスに描いた絵を飾るときに水平器を使って壁に設置します。仮に傾いていたら、鑑賞するときの邪魔になります。もしわざとやってるとしたら、そこに意図がある、意味があるということになります。水平垂直は邪魔にならないのです。斜めの線のほうが主張が強いのです。

ただ、単なる斜めの棒線「/」だけだとやはり作品だと認識しづらいので、斜め線を組みわせた「く」「へ」「V」が作品としての最小だと思ったりもしました。実際に「くへV」という作品を作ろうと、途中まで作業したこともありました。

しかし、文字と混同するといけないのと、(「X」も同じ理由により却下)

道路標識


この上の画像のような交通標識と混同するといけないので、菱形が良いということになったのです。

森の中で開催されてグループ展に出品した作品、野外展示 2012年と2013年


上の画像のように、十字の形「」や横棒「」を森の中に展示して試したこともあります。

これも「十」は十字架と誤解されるので失敗でした。横棒「ー」もはやはり森の中では認識しづらいので失敗しています(この森の中での展示は、非常に貴重な経験でした)。

例えばの話なのですが、森に生えている木の枝を折って森の中に無造作に置いたものは、折った本人以外は人為的に折って置いたものだとはなかなか気がつかないはずです(見分ける方法はあるとは思いますが)。しかし、美術館やギャラリーの真ん中に、折った木の枝を置いたら、これは人為的に置いたものだ、作品だと思うはずです。

僕は美術館やギャラリーの外でも作品と認識できるものを目指しているので、このことをクリアしたいと思っているのです。そこで、数年前から僕が参考にしているものがあります。それは、洞窟から出土した約7万5000年前の線刻のあるオーカーの塊です!この下の本の表紙の写真がそれです!

「人類がたどってきた道」(海部陽介著)2005年


さらに、著作権を侵害しないように紙粘土で作ったのが下の画像です。本物の写真とは違い、肉みたいになってしまいましたが、だいたいこんな感じです、だいたいです。

紙粘土で作った「約7万5000年前の線刻のあるオーカー」模型


いつも著作権を侵害しないように、コラム用の図版を紙粘土で作ってますが、似てないのは単純に作るのが下手なのもありますが、あんまり本物ソックリにしすぎても、無断で写真を使用していると誤解されると嫌なので、適度に下手に作ってます。

紙粘土で作ると手間がかかるので、絵で描いた方が自分的には楽なのですが、画像をトレパクしたと誤解されて炎上すると嫌なので、紙粘土で作ってます。

本物の写真が見たい人は、「ブロンボス洞窟」「オーカー」「線刻」と検索してみてください。2005年に開催された愛・地球博でも展示されていたようですが、ご覧になられた方、いますでしょうか?

検索がメンドくさい人は、下のリンクを見てください。
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https://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/20141219/429324/?img=ph7.jpg&P=2
ナショナル ジオグラフィック日本版 2015年1月号
『2000年にブロンボス洞窟で発掘された7万5000年前のオーカー片。幾何学模様が刻まれている。』

下の画像も筆者が紙粘土で作った古代遺物の模型です。線を誇張して作ってます。

筆者が紙粘土で作った古代遺物の模型


これらも下のリンクで本当の画像が見られます。
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◉BBC
『「最古の絵」はまるでハッシュタグ 南アフリカで』
2018年9月13日
『約7万3000年前に小さい石に描かれたハッシュタグのようなものが、
南アフリカで発見された。研究者は、これまでに発見された人類の絵で最古のものと発表した。』
ブロンボス洞窟
https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-45505211

◉ナショナル ジオグラフィック日本版
『ネアンデルタール人の彫刻作品か、ドイツの洞窟で発見』
2021.07.07
アインホルン洞窟 約5万年前以上
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/photo/stories/21/070700037/

◉ナショナル ジオグラフィック日本版
『ネアンデルタール人による彫刻を発見か』
ゴーラム洞窟 約3万9000年以上前
2014.09.02
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/news/14/9672/

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これらの遺物を紹介する記事には「ハッシュタグ」「斜交平行模様」という言葉が使われていたりします。これは僕が恣意的に斜めの線のものを集めているので、学術的には何の意味もありません。

ただ、斜め線を組み合わせた模様の遺物が存在するということは事実です。石に描かれた作品の天地をどうやって判断しているのか?それによって斜めの線かどうか判断が変わってくるのでは?という疑問もありますが、紹介している書籍やサイトが斜めの線と判断しているということと、自分もそう見えるということで斜めだと判断しています。

現代人の僕が見て古代の遺物が作品に見える、仮にその判断が間違えだとしても、なぜそう思ってしまうのか?なぜ作品に見えてしまうのか?というところに、焦点をあてて考えています。

まあ、ともかく僕は約7万5000年前のオーカー片の菱形が連続するような線刻、(菱形ではなく「X」が連続しているようにも見えますが)、この斜交平行模様を参考に作品を作っているわけです。

だから、作品を見て
「これパクリだろ!こんな感じの抽象作品、1950年代にもうあるだろ!怒!」

と言われた時に、

「いえ、パクリはパクリでも、7万5000年前のオーカーの線刻のパクリです!」と答えるようにしています。

遺物の写真の無断使用はダメです、写真を撮影した人の権利があります、博物館の許可が必要です!しかし、模様の形自体の絵を描くことは、オーカーの線刻の作者が7万5000年前の人なので著作権的に大丈夫です!

さらに僕は2014年に

『50万年前の貝殻にヒトが付けた、刻み模様』の存在を知りました。

紙粘土で筆者が作った「50万年前の貝殻にヒトが付けた、刻み模様」の模型


この上の画像も著作権を侵害しないように写真を見て作ったのですが、この図には大きな間違いがあります。写真を見たとき、僕は刻み模様がジグザグの模様に見えたのですが、本当は下の画像のような模様でした。

「50万年前の貝殻にヒトが付けた、刻み模様」の筆者による画像の模写


これはトレパクではなく画像を見て模写してます。ジグザグというより「M」くらいでした。

本当の画像は下記のリンクを見てください。
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WIRED
『人類最古の「落書き」か:50万年前の貝殻にヒトが付けた「刻み模様」』
2014.12.14
https://wired.jp/2014/12/14/ancient-doodle-hints-that-homo-erectus-was-smarter-than-we-thought/
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ですが、まあ、最初に写真を見た時のジグザグ模様に見えたその印象を優先して、下記画像のような作品を作ってます。これも斜めの線の組み合わせと言えます。

50万年前の貝殻の刻み模様を真似た作品、2017年制作


この作品も
「これパクリだろ!こんな感じの作品、1950年代にもうあるだろ!怒!」
と言われた時に

「いえ、パクリはパクリでも、50万年前の貝殻の刻み模様のパクリです」

と答えるようにしています。

まあ、見る人にとって作者が何を思って作っているかは関係ないので、

「何たわごと言ってるんすか」

って話でしょう。

以上が斉と公平太の自作を語るでした!


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■補足

コラムの中で紹介できませんでしたが、下記のような遺物もあります。参考までに
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ナショナル ジオグラフィック日本版 2015年1月号

『幾何学模様が彫られたダチョウの卵の殻。クリップドリフト岩陰遺跡では、6万5000~5万9000年前のこうした破片が、100個以上見つかった。』
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/20141219/429324/?img=ph6.jpg&P=2

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今回「対称形」についても書こうと思っていたのですが、文中に入れることができませんでした。「対称形」というのも重要な要素なので、そのうち書こう思っております。

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参考文献
◉『人類がたどってきた道 : '文化の多様化'の起源を探る』
著者:海部陽介
発行所 :日本放送出版協会
発行日: 2005年4月25日 第1刷発行

◉『1冊で学位 芸術史~大学で学ぶ知識がこの1冊で身につく』
著者:ジョン フィンレー(John Finlay)
監訳者:上野 正道
訳者: 名取祥子
発行所:株式会社ニュートンプレス
発行日:2021年12月15日

◉『NHKスペシャル 人類誕生』
編著者:NHKスペシャル「人類誕生」制作班
監修者:馬場 悠男
発行所 : 株式会社 学研プラス
発行日: ‎ 2018年8月21日 第1版第1刷

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