間違えてる「フランツ・カール・ミュラー・リヤー」の肖像写真
2021年6月1日
◇間違えてる「フランツ・カール・ミュラー・リヤー」の肖像写真
ミュラー・リヤー錯視の作者フランツ・カール・ミュラー・リヤーさん(1857〜1916)という人がいます。ドイツ人の心理学者であり社会学者でもあります。
上記画像はGoogleの画像検索で
「フランツ・カール・ミュラー・リヤー」
と、検索した結果のスクリーンショットです。(2021年5月14日時点での検索結果)
左側の図形は「ミュラー・リヤー錯視」
そして右側の古そうな写真、この人がミュラー・リヤーさんと思いきや、別の人、ちょっと名前が似てるフランツ・ミュラーさんの顔写真なのです。
上記画像は
「Franz Müller」(フランツ・ミュラー)
と、画像検索した結果のスクリーンショットです。(2021年5月14日の時点での検索結果)
つまり
「フランツ・ミュラー」と
「フランツ・カール・ミュラー・リヤー」は別人ですが、
「フランツ・カール・ミュラー・リヤー」と検索すると
「フランツ・ミュラー」の肖像写真が出てきてしまうのです。(2021年5月14日検索の時点で)
◇「フランツ・ミュラー」を「フランツ・カール・ミュラー・リヤー」と間違えている。
なぜこのようなことになるのかというと、これは「フランツ・ミュラー」の肖像写真に「フランツ・カール・ミュラー・リヤー」と表記して紹介しているサイトがあるからなのです。
________
<早稲田大学 早田宰 研究室
(2014年04月01日)
社会デザインの基礎理論-社会開発の系譜から->
http://socialdesignlab.sblo.jp/article/92230046.html
_____________
この上記のサイトの情報が現在、日本語の検索結果に反映されてしまっているようです。(このコラムがアップされた後、気がついて訂正されるかもしれません)
もちろん「ネット情報なんて信用ならん!」という方もいるでしょう。
逆に海外のサイトが「フランツ・カール・ミュラー・リヤー」の肖像写真を間違えて、「フランツ・ミュラー」のところに貼っているということもあるかもしれません。
しかし「Franz Müller」で検索した結果を色々見る限りでは、やはり「早稲田大学 早田宰 研究室」が間違えている可能性が高いです。
「フランツ・ミュラーさんなにものよ?!」
◇フランツ・ミュラー(1840ー1864)殺人で捕まった男
フランツ・ミュラーのWikipediaの英語版を翻訳すると
_____
『ドイツ人の仕立て屋でトーマス・ブリッグスの殺人で捕まった男である。』___
__『殺人罪で死刑にされた』__と書いてあります。本人は無罪を主張したとも書いてあるので、冤罪の可能性もあるかもです。
ということでミュラー・リヤーと本当に関係のない人でした。
「人の間違いを指摘して嫌な奴だな!お前は!」と思われるかもしれません。しかし、僕は間違いを指摘したかったわけではありません。今回このことを書いたのには別の理由があります。
◇大切なのは顔ではなく心
それは『人間にとって大切なのは「顔」じゃない「心」だ』ということを言いたかったからです。これは冗談や皮肉ではなく本気でそう思っています。
つまり、フランツ・カール・ミュラー・リヤーを社会学者として紹介する内容のサイトなので、
『社会学者としての業績が重要で、どんな「顔」だったのかは、さして重要ではない』
ということが、顔写真の間違いが放置されている理由なのでは?ということです。ただ、もし自分が殺人犯の顔写真を間違えて使われていたら嫌なので、訂正はして欲しいです。
◇「フランツ・カール・ミュラー・リヤーの評伝を書く」という作品
僕は2016年頃から「フランツ・カール・ミュラー・リヤーの評伝を書く」という作品を制作するためにいろいろ調べてきました。制作の動機は色々あるのですが、その中の一つに「作品」と「作者」は関係あるのか?という問題があります。
「ミュラー・リヤー錯視」自体は有名で、その名前を知らなくても大概の人が見たことがある図なのではないでしょうか?錯視について書かれた本には必ずと言っていいほど、その図が掲載されています。「錯視の代表」のような錯視です。それなのに、その作者のことはあまり知られていないように思います。
錯視や心理学以外、例えば哲学の本、M.メルロー・ポンティの「知覚の現象学」の中にも「ミュラー・リヤー錯視」の図が掲載されてます。
美術雑誌、2001年の7月の美術手帖の[特集]「オプ・アートの快感」で
___「学習教材でお馴染みのミューラ・リャーの錯視」___(p59より引用 原文ママ)
と紹介されています。
(これは今から20年前の記事で、書いている椹木野衣さんが1962年生まれ、僕は1972年生まれで、「学習教材でお馴染みの」という説明を理解できるのですが、今でも学習教材に登場しているのか、2021年現在の若い人に通じるのかはわかりません。)
この美術手帖に「ミュラー・リヤーの錯視」がミュラー・リヤーの作品であることは、記述はされていません。
その理由は
「錯視の前に作者の名前がついてるから説明すると重複してしまう」
「ミュラー・リヤーの作ったミュラー・リヤーの錯視だとややこしいから」
とか
「作者を紹介する必要がないほど図形として一般化しているから」だと考えられます。
僕はフランツ・カール・ミュラー・リヤーが、どういう人物か知りたくなり、ドイツ語のできる方に関連サイトを色々翻訳してもらいました。するとドイツ語の伝記があることがわかりました。いつかその本を入手して翻訳したり、新型コロナが終息したあかつきにはドイツに行って取材もしたいと思ってます。
この作品は企画コンペに10以上応募して全て落選してます。ということでお金が無いので、なかなか思うように制作が進まないのですが、いつか完成させて、堀田善衛の「ゴヤ」のような作品にしたいと思ってます。
___
翻訳協力:
今回、英語版、ドイツ語版のwikiや関連サイトの翻訳をドイツに留学経験のある、アート招きネコーディネーター笠木日南子さんにお願いして翻訳していただきました。
(「アート招きネコーディネーター」は笠木さんの職業名です。)
_____
◇参考文献、引用したサイトのリンク
●フランツ・カール・ミュラー・リヤー
Wikipedia
(英語版) https://en.wikipedia.org/wiki/Franz_Carl_M%C3%BCller-Lyer
(ドイツ語版) https://de.wikipedia.org/wiki/Franz_M%C3%BCller-Lyer
ドイツ人の伝記という百科事典をデータ化したページ
Deutsche Biographie
https://www.deutsche-biographie.de/sfz66913.html
____
●フランツ・ミュラー
Wikipedia
(英語版)https://en.wikipedia.org/wiki/Franz_M%C3%BCller
(ドイツ語版)https://de.wikipedia.org/wiki/Franz_M%C3%BCller_(M%C3%B6rder)
◇参考文献 文中で紹介、引用した本の詳細
●「知覚の現象学 1」(全2巻) 著:M.メルロー・ポンティ
竹内芳郎・小木貞孝 共訳
みすず書房 1967年11月30日第1刷発行 1975年1月20日第10刷発行
(原著は1945年公刊)
序論 古典的偏見と減少への還帰
I <感覚>なるもの 2 性質としての<感覚> 31~34p
の34pに「ミュラー・リアーの錯視」の図が掲載されています。
____
●「美術手帖」2001年7月号
[特集]「オプ・アートの快感」 美術出版
「オプ・トランスの真実」58~64p
文:椹木野衣
この中の59pからの文から引用
59pに「ミュラー・リヤー錯視」の図が掲載さています。
____
●「婚姻の諸形式」ミュラー・リヤー著 木下史郎 訳 岩波書店
資料として購入したミュラー・リヤーの著書で日本語に訳されてる本です。