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芸術は漠然だ!~斉と公平太のムダに考えすぎ~

スナック菓子バリバリ伝説!おやつは芸術だ!

2021年3月8日

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あみじゃがの構造の模型(筆者製作)


(前回からの続き)
前回記事『恵方巻きをスナック菓子で作ってみた!』


本来美術批評(?)を行う本コラムで何故「あみじゃがで作った恵方巻き」を紹介したのか、説明していきます。

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東京などに仕事で出張した帰りに、よくホームのキオスクで宝缶チューハイと円筒形の箱に入ったチップスターを購入して新幹線車内で食べるのですが、この時、僕はチップスターを5枚重ねて口の中に入れて食べます。

チップスター5枚重ね


そして、一箱食べきって、口の中が思い切り塩っぱくなったのちに、一気にチューハイを飲み干して、ボーとした状態になって帰るということをしていました。仕事で疲れてもう何も考えたくないとき、この方法で頭を休ませていました。

で、何故、このようなアホな食べ方をするかというと、5枚重なったのを噛む時の食感が好きなのです。一枚でパリパリじゃなくて、バリバリ、いや、ザクザク感という方が正確かもしれません。

ただこの食べ方の欠点は、消費スピードが早い、すぐになくなるという点です。僕がいつもキオスクで購入していたのは筒の長身が短めのチップスターで、中身を数えてみたら31枚でした。だから6回口に運んだら完食してしまうのです。

「なんとか5枚重ねないで、あの食感を楽しむ方法はないものかのう~」とかねがね思っておりました。

そんな時、この「あみじゃが」 という商品に出会ったのです。

東ハトのスナック菓子「あみじゃが」


昔、波型にカットされたポテトチップスが登場した時も衝撃でしたが、それ以上の衝撃でした。

「これ1枚でもバリバリする!いや、ザクザクする!」

平面から立体へ!

「あみじゃが」とセブンイレブンバージョン(右)


この商品、発売されてから10年経つそうですが、一昨年くらい前に初めて存在を知りました。近所のスーパーには売ってなかったからです。売ってる店と売ってない店があります。

この「あみじゃが」は東ハトのお菓子です。本コラム、中日新聞という媒体なので、一企業の宣伝になるようなことは避けたいので、一応同じ形で他社の製品がないかと探してみて、「あったあったセブンイレブンにあったセブンイレブンのマークの入ったのがあった」と思ったのですが、裏を見たら「東ハト」と書いてありました。この商品は東ハトしかないようです。専門家じゃないのでOEM商品やPB商品のことはよくわかりません。ということで、これはステマ(ステルスマーケティング)ではないことをここでお断りさせていただきます。

話を元に戻します。

構造をわかりやくするため「あみじゃが」の模型を作ってみました(下記画像)

このあみじゃがを初めて食べたとき「これは食べる建築だ!」と思ったのです。

構造として、骨組みとしての面と面が垂直に結合しているあみじゃがに建築を感じたのです。お菓子として、初のプリツカー賞を差し上げたいくらいです。

ただ、「食べる建築」が比喩だとしても、食べるということは破壊することなので、不謹慎という声もあるかと思います。

よって、ここでは「食べる構造物」と表現したいと思います。

下記の画像のように、スナック菓子にもいろいろあります。これらも全て立体的な構造物と言えるでしょう。

エアリアルのパッケージには「4層」と構造が表記されています。

この、スナックの構造は「味」そのものではありません。構造には味はありませんので。しかし、「美味しさ」に影響があると考えられます。

「このりんご、ショリショリして美味いしなー」とか、逆に「甘いけど食感がジャリジャリしてるな〜」というような経験はないでしょうか?

食べた時の「美味しさ」は、味以外のいろいろな要素が複雑に組み合わさったものなのです。

これらのことを大雑把に図にしてみました。(学術的には、なんの意味もない図なので本気にしないように!)

「味」と「味以外」の図


まず、(A)「味」(B)「味以外」というふうに分けてみます。

食べ物の硬さ、噛む時の音が響く感じ、噛んだ時の抵抗感、熱さ冷たさの温度などなど、これらは「味以外」とします。(専門書などを読むと、辛さは痛覚だと書いてありますが、その辺りの説明は割愛させていただきます。また栄養があるものを食べて元気になった!というようなことも、関係なくはないですが、話がややこしくなるので、省略します)

さらに(B)「味以外」を2つに分けて

(C)「口と鼻から入るもの」(食感、温度、匂い)

(D)「口と鼻から入らないもの」(情報)

としてみます。

食感や温度は口の中に入れる食べ物そのものに含まれる要素なので「口と鼻から入るもの」に該当します。

食べ物の見た目はどうでしょうか?見た目も食べ物自体の要素ですが、口からではなく視覚から入る情報と言えます。よって「口や鼻から入らないもの」です。

視覚が味覚に与える影響の例をあげると、下記のようなものがあります。

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『食品はクロスモーダル錯覚の宝庫である ._____
高速道路のトンネルに入ったらパーキングで買ったイチゴ味のかき氷が緑色になってメロン味になった」という錯覚は、朝日放送探偵ナイトスクープで有名になった』(2006/08/11放送「トンネルで味が変る!?」 )__引用元「質感の科学」(朝倉書店)の第2章 質感の知覚  2.3 多感覚の接点としての質感 [著:西田眞也 藤崎和香] a.質感感覚属性の多感覚知覚 p60より引用

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この例のように、視覚も味に影響するのです。

つぎに
(D)「口や鼻から入らないもの」をさらに分けると

先の例の色などの
(E)「食べ物自体が物質的に持っている情報(視覚的な色や形)」

(F)「食べ物自体が物質的に持っている以外の情報」
という風に分けることができます。

さらにこの(F)

(G)「食べ物自体が物質的に持っている情報以外の情報(名前、パッケージ、値段)

(H)「食べる人の記憶、体調、空腹具合、食べる場所」
と分けられます。

(G)の値段等の味への影響の例を本から引用しますと

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『__「値札効果」というのは、たとえば数百円の安ワインでも、数千円の高価な値札をつけて味見させると、本当においしく感じられる効果を指す。これには脳の前頭部にある眼窩前頭皮質が関与することがわかってきた。_』(引用元 『ブラックボックス化する現代』 著:下條信輔 日本評論社)

(「眼窩前頭皮質」は「がんかぜんとうひしつ」と読みます。僕は読めませんでした)
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これも経験的にありそうな話です。

そして(H)「食べる人の記憶」の例としては、またまた探偵ナイトスクープに良い例がありました。
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朝日放送探偵ナイトスクープ2012年6月15日放送 爆笑!小ネタ集『プリンのつもりで食べると卵豆腐はマズイ?』___ほぼプリンに似せた卵豆腐を作ってもらい街の人にプリンとして食べてもらったところ、まずいとの声が連発。卵豆腐であることを明かすと、美味しいと言って食べていたが、____ナイトスクープ公式HPより引用
https://www.asahi.co.jp/knight-scoop/archive.html?datetime=20120600

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これは放送をリアルタイムで観ていました。この場合、見た目というか、食べるものが事前に何かを知っているかどうかという、情報が味に影響するということです。

僕も実際に経験がありまして、あんまんだと思って食べたら肉まんだった時、肉まんだと気がつくまで凄く不味いと感じました。肉まんだと気がついたら突然美味しくなりました。これは記憶が作用していると思います。

他にも、CMで爽やかな若者がジュースを飲んでいる青春の一コマを映し「この商品を飲めば自分も同じ物語の中に入れる」と錯覚させる手法なども、同様の例と言えるでしょう。

●みんなで食うと美味しいね。嫌な上司と食べたから高級料理も不味く感じる(誰と食べるか)
●キャンプで食べると美味いね(食べる場所)
●昔、食べた味を思い出したよ〜(記憶)

その他、空腹時と満腹時では味も違うとか、ミラクルフルーツを食べた後等、色々あると思います。


「で、結局、何が言いたいのよ!あんたは!あみじゃが恵方巻きの説明になってないじゃないか!」

と言われそうですが、自分でも何が書きたいのか、わからなくなってきましたが、無理やり説明いたしますと、

「あみじゃが恵方巻き」は、あみじゃがを並べて円筒形にすることによって「構造」を強調し、それを「恵方巻き」という物語が包み込んでいる食べ物なのです!

つまり、美術作品を鑑賞するときも、「視覚情報の中に様々な視覚情報以外の要素が含まれている」という、それが言いたいがための、比喩としての「あみじゃが恵方巻き」です!

「その説明じゃ〜わからないよ〜」

という方に、さらに説明するならば、例えば、目の前にリンゴらしきものが描いてある絵が展示してあるとする。そのタイトルは「赤い梨の模型」となっていたとする。すると、「りんごだと思ったけど、梨の模型を赤く塗ったものを描いたんだ〜」と思うでしょう。さらに、キャプションに、描いた作者はリンゴの農家で絵の具にリンゴジャムを混ぜて描いている。しかも、額に使われている木はリンゴの木を使用していると書いてあったらどうでしょうか。これはどこまでを作品として鑑賞すれば良いのでしょうか?

「そんな例えいらねーよ!ますますわからねーよ!」

自分でも何を書いてるかわからなくなってきたので、ここで終わりにします!

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補足(1)

訂正!
私、今回のコラムに関連して、過去のコラムの内容について訂正いたします。
連載2回目の「究極の新カレー「カレーライスカレー」ブーム到来の予感!?」の中で
「味覚は言葉に左右されにくい感覚だと私は思っている。」「容器に砂糖と書かれているからといって塩を甘く感じたりはしないのである。」と、書きましたが、今は考えが変わりました。

「味覚もすごく言葉に影響されるぞ!」というのが現在の考えでございます!申し訳ありませんでした。

究極の新カレー「カレーライスカレー」ブーム到来の予感!?
https://plus.chunichi.co.jp/blog/saitou/article/591/6645/


補足(2)

「あみじゃが」右はセブンイレブンバージョン


「あみじゃが」の東ハトとセブンイレブンで販売しているものは、成形に違う金型を使用しているようです。どちらも東ハトが製造してるものなので、中身が同じでパッケージが違うだけなのかと思いきや、味も違いますし形や大きさも違いました。上の画像を見てもらうとわかりますが、セブンイレブンの方がマス目の数が少ないです。これは違う金型を使っていると思われます。

補足(3)

おやつカンパニー「ベビースターどデカイ ラーメン」


立体構造を持ったスナック菓子の画像で紹介した、おやつカンパニーの「ベビースターどデカイ ラーメン」を見るたびに「ロイ・リキテンスタインのブラッシュストロークじゃんこれ!」と思っていました。

https://lichtensteinfoundation.org/


このことについては、今回のコラム内では書ききれなかったので、また違う機会に書こうと思っております。

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コラム内で引用した参考文献の詳細

●『ブラックボックス化する現代 変容する潜在認知』 
著:下條信輔 日本評論社 
2017年6月30日 第1版第1刷発行 

●「質感の科学 ー知覚・認知メカニズムと分析・表現の技術ー」
編者:小松英彦
2017年6月30日 初版第1刷
朝倉書店
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参考、引用させて頂いた書籍の著者の皆様に感謝と敬意を表します。

本コラム用に資料として購入したお菓子


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