2019年!毛の生えた恐竜ブーム!超到来!
2019年8月9日
◆2013年 オールバックのティラノサウルス
いまから6年前、科学雑誌「ニュートン2013年9月号」で、ティラノサウルスには毛が生えていた、という記事を目にした。
表紙には、下のようにオールバック風の髪型のティラノサウルスが!
「じゃあ、いままでのティラノサウルスはいったいなんだったんだ、、」と思ったものだ。
それから時は過ぎー
2019年 空前の毛の生えた恐竜ブーム到来!!
空前の毛の生えた恐竜ブームが超到来している。
「デタラメゆーなよ!」と言われそうであるが嘘だと思うなら、このNHKのホームページをみよ!
「恐竜超世界」という番組、語りは大人気の上白石萌音さん!! ここにも「毛の生えたティラノサウルス」が載っている!
https://www.nhk.or.jp/special/dino/schedule.html
そして「恐竜超図鑑」(2019年7月7日(日) [Eテレ] 午後7時25分~7時30分)という番組に至っては、頭の毛が青色のティラノサウルスが登場する。
____________
生徒
「先生!ティラノサウルス君が髪伸ばして青く染めてます!うちの校則丸坊主じゃないんですか?!」
教師
「じつは最近、校則が変わったのじゃよ、、」
____________
そんな恐竜高校の会話が僕の頭の中で聞こえてきた。(注:番組はそんな内容ではありません)
さらにこれを見よ!!
恐竜パスタ!
「毛のないティラノはもう古い!」と言わんばかりに!パッケージに全身に毛の生えたティラノサウルスが!
このように過去に事実と思われていた仮説が、最新研究で変わってくることがある。
◆図鑑の中の恐竜のイメージ
恐竜図鑑を見てみよう。作品の資料として古代生物の本をいろいろ購入しているのだが、図鑑に描かれる恐竜というのは同じ恐竜でも図鑑によってかなり違ってくる。
「何をあたり前なことを!」と笑われそうである。それは図版を描く人が違ってくれば違うということも勿論あるが、それ以上に色や形などが違うのだ。
僕の持っている図鑑や本は古いものなので、この「毛の生えたティラノサウルス」は載っていない。だが、ネットなどを見ると、最新の恐竜図鑑ではこの「毛の生えたティラノサウルス」が載っているものもあるようだ。
この下の画像の中の一冊、2015年の「生命大躍進」には「毛の生えたティラノサウルス」が載っている。
自分の持っている本に限って言えば、この「生命大躍進」と上記の2013年の雑誌「ニュートン」のみである(2013年以降の本でも「毛の生えてないティラノサウルス」のものもある)。
これは、図鑑が発行されたその年の研究成果が反映されているからだと思う。いま現在の最新の研究成果によって過去の形が変わってくるのだ。
ティラノサウルスに毛が生えているビジュアルが、もっと昔に分かっていたら、特撮映画やドラマにでてくる怪獣の造形も今とは違うものになっていたかもしれない。あくまでも推測ではあるが。
◆恐竜は「トカゲ」じゃなくて「鳥」?
上の説明で僕は「毛が生えている」と書いたが、最近の本には「恐竜は鳥の祖先」と書いてある。だから本当は「毛」ではなく「羽毛」だ。
ここで「恐竜は鳥の祖先」というのは、僕が子供の頃思っていた恐竜の印象とかなり違ってくる。恐竜は「巨大トカゲ」だと思っていた。それは、当時の毛の生えてない恐竜の図版から受けるイメージもあるが、それだけではない。
まずこちらを見て頂きたい。家にある『学研の図鑑 爬虫・両性類(1973年初版 1989年新訂版第4刷発行)』、図鑑の外箱の表にはエリマキトカゲの写真が!
この図鑑の爬虫類の項目の最初の方のページ(p10,11)に「爬虫類の時代 2億3000万年前~6500年前」という見出しで8体の恐竜と1体翼竜のイラストが掲載されている。
その中にはティラノサウルスも描かれている(もちろん毛なし)。これが僕が「恐竜は巨大トカゲ」という印象を持った原因の1つなわけだ。しかし実際は「鳥の祖先が恐竜」でも、恐竜が爬虫類(爬虫綱)であることには、かわりはないらしい。
「爬虫類」→「恐竜」→「鳥」
という進化の流れの枝の1つのようだ。
だが、これなら受けるイメージは「トカゲ」でも「鳥」でもどちらでも良い気がするが、冒頭に紹介したNHKの番組や、最近の恐竜図鑑に登場する羽毛の生えた恐竜を見ると「恐竜=鳥」のイメージが強くなってくる。
これは、学術的な進化の系統の話ではなく、あくまでも受ける印象、イメージの話ではあるが、現在の研究によって過去のイメージが変わり得ることを示す一例だろう。
このようなことに出合うと、過去というものは「現在から見た過去」を見ているんだということにあらためて気づかされるのである。
◆発掘場所と大陸移動
同じように「現在から過去を見ている」と思った例をもう1つ。
恐竜の名前には地名がついていることがあるのだが、これは化石が発見発掘された場所の地名だ。名前に反映されていなくても、化石の発見場所は重要だ。図鑑にも発見場所が書いてある。
「フクイサウルス」は、福井県で発見された恐竜だ。しかし、あたりまえだが、恐竜の生きている時代に、福井県はまだ存在していない。恐竜のいた時代、日本列島はまだ存在していないはず。こんなことを書くと難癖をつけてるみたいだが、そうではない。海外で発見された恐竜だって、発見された時の国や地名が発見場所として記録される。そして、もちろん恐竜の生きている時代にこれらの国や地名は存在しない。発見された時の地名を発見場所として記す、それ以外に方法がないからだ。
下の画像の「WONDA大昔の生きもの」という図鑑には年代別に、その当時の大陸配置の状態と現在の地名が記載されていて、とてもわかりやすくて便利だった。
「おまえアホか、何をあたりまえのこと言ってるのよ。大陸が移動することくらい誰でも知ってるよ!」
と怒られそうである。
しかし「日本の恐竜時代は、その当時の大陸配置では、このあたりだ」という思考のプロセスを1段階踏むということをしなければならない。このあたりまえのことが、僕はとても重要なことだと思っている。
最新研究によって恐竜の姿が変わってきたりすることも、この大陸移動のことも、今現在を基準に過去を考えるということである。この『「現在」から考えている』ということから抜け出すことはできない。なぜなら現在に生きているから。そして、現在というものも過去になる。それ自体は良いことでも悪いことでもないと思っている。が、現在から過去を考えているということに自覚的でなければ、本当の過去の姿は見えてこないのではないだろうか。
美術史でも、現在の地点から過去の作品を評価しているということに、自覚的でなければならないと思っている。
過去の作品をリアルタイムで作ったり、見ている当時の人の気持ちを現在の自分が完全に理解するのは、不可能かもしれないと疑ってみる。当時の解釈とは別の解釈で見ているということに、自覚的でなければならないと思っている。恐竜に毛が生えていることや、大陸が移動した距離を差し引いて鑑賞するような作業が、作品鑑賞にも必要なのかもしれない。
◆参考資料一覧とティラノサウルス毛の有無
(タイトル/著者、編、監修/発行所/出版年/ティラノサウルスの毛の有無)
「まんがなぞふしぎシリーズ(8) 生物45億年??」/著:団獅子丸/講談社 /1982(昭和57)年3月20日 第1刷発行/(ティラノサウルス毛なし)
「はっけんずかん[きょうりゅう]」/監修:国立科学博物館名誉館員(元地学研究部長)小畠郁生/学研/2000年12月20日 初版/(ティラノサウルスに毛なし)
「21世紀こども百科 恐竜館」/監修:真鍋真(国立科学博物館地学研究部古生物第三研究室主任研究官)/小学館 /2007年7月11日 初版第1刷発行/(ティラノサウルスの子供には羽毛があった可能性が高いとの記述あり。ティラノサウルスには毛なし)
「たたかう恐竜たち 別巻 恐竜あいういえお」/著:黒川みつひろ/小峰書店/2004年2月23日 第1刷発行 2012年第14刷発行/(ティラノサウスルスに毛なし)
「小学館図鑑・NEO(12) 大むかしの生物」/[監修]日本古生物学会/小学館/2004年12月20日 初版第1刷発行/(ティラノサウルスに毛なし)大豆インク使用
「講談社の動く図鑑MOVE 恐竜」/[監修]小林快次 真鍋真 /講談社/2011年7月14日 第1刷発行 2011年12月12日第4刷発行/(ティラノサウルスに毛なし,ティラノサウルスのなかまには毛がはえたものあり)
「ポプラディア大図鑑 WONDA 大昔の生きもの」/[監修]代表 小林快次 北海道大学総合博物館准教授 Ph.D /ポプラ社/2014年7月 第1刷/(ティラノサウルスに毛なし,同じページに掲載の[ティラノサウルス類]は毛あり)
「古生物大百科」/著:土屋健/学研教育出版/2015年7月10日 初版発行/(ティラノサウルス毛なし)
「NHKスペシャル 生命大躍進」/編:NHKスペシャル「生命大躍進」制作班/NHK出版/2015(平成27)年7月10日 第1刷発行 2015(平成27)年9月5日 第2刷発行/(ティラノサウルス毛あり、頭の毛赤色)
「生命38億年の秘密がわかる本」/編:地球科学研究俱楽部/学研プラス/2017年3月30日 第1刷発行/(ティラノサウルス毛なし)
「いきもの(6)きょうりゅう」/著:ヒサクニヒコ/JTBパブリッシング/2017年5月1日 初版印刷発行/(ティラノサウルス毛なし)