iOS 18で新しくなった点字画面入力

 iOS 8からは点字画面入力という機能が加わりました。六つの点で構成されている点字の特長を生かし、6本の指でタッチして文字入力する機能です。画面に表示されているキーボード上の文字を選ぶ必要はないので、慣れればストレス無くスピーディーに文字入力できる可能性があります。
 2024年9月17日にリリースされたiOS 18において、ようやく日本語がサポートされました。それまでは漢字を含めた文字変換はできませんでした。また、6点の同時押しには対応していませんでしたが、iOS 18になって認識してくれるようになりました。
 さらにiOS 18では「点字画面入力コマンドモード」という機能が追加されました。点字デバイスから制御できるコマンドの一部が利用できます。

 点字画面入力は文字入力以外の用途でも利用できます。
 テキストフィールドの外で文字を入力すると、その文字列を含む項目だけを絞り込み表示して、1本指の下スワイプか上スワイプで移動できます。ホーム画面では、複数ページにまたがっていても絞り込み表示してくれるので、アプリを探すのに活用できます。入力する文字は1文字だけでも複数でもかまいません。
 アプリを開く、実行するには2本指で右スワイプします。







■1 点字画面入力をするための準備


 点字画面入力のモードに切り替えるには二つの方法があります。従来はローター操作を利用していました。iOS 18では新しいジェスチャが追加されました。
 ローター操作で切り替えるためにはローター・カテゴリに「点字画面入力」を追加する必要があります。
 ジェスチャを利用するには、設定アプリ→「アクセシビリティ」→「VoiceOver」→「点字」→「点字画面入力」→「アクティベーションジェスチャを使用」のオン・オフ切り替えボタンをオンにします。

●「両端を2本指でダブルタップ」
 1本の指はステータスバーに近い箇所、もう1本の指は最下部に近い箇所で同時にトン・トンと画面を2回叩きます。
うまく動作しない場合は2本指のダブルタップだと認識されてしまいます。タップする位置に注意してください。

 点字画面入力できる状態では、VoiceOverの一般的なジェスチャは利用できません。終了するには、スクラブ、ピンチアウト、ピンチインのジェスチャのいずれかを行います。



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■2 ホールドモードとテーブルモード、iPhoneの持ち方について


 iPhoneで点字画面入力の状態にすると、横向き表示の画面に切り替わります。そして、二つのスタイルで点字入力することができます。
 机の上に置く場合はテーブルモード(Tabletop mode)です。写真撮影のように両手で抱えて持つ場合はホールドモード(Screen away mode)です。
 それぞれのモードは自動的に切り替わりますが、点字画面入力の向きがロックされていると切り替わりません。点字画面入力のモードでのみ使えるジェスチャ、3本指の下スワイプにより、画面の向きのロック・ロック解除ができます。

 テーブルモードにすると、机やひざの上で文字入力しやすくなります。左手で1-2-3の点を入力できます。
 ホールドモードとは、両手の親指と小指でiPhone本体を持ち、写真撮影するようなスタイルです。残りの6本の指で点字入力します。iPhone本体を横向きに、本体の背面を自分側に向けて、地面と垂直に持つと、左手で1-2-3の点を入力できます。
 昔の点字の達人は点字の本を読むときに、お腹に背表紙を宛てて本を縦に持って読んでいたそうです。iPhoneをお腹に宛ててホールドすると、安定した点字入力ができるかもしれません。

 指の置き方ですが、横に6本そろえてもよいですし、縦や斜めに3本ずつのスタイルでも入力できます。

(注意) 左手で1-2-3の点を入力できない場合は、本体の向きを左右逆にして試してみてください。自動の向き判別がうまく機能していないかもしれません。



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■3 点の位置を調整する、キャリブレーション


 持ち方を決めたら、今度は点の位置を調整、キャリブレーションします。タップしやすい点の位置をユーザが決めて、文字入力するわけです。
 まずは右の指3本を同時にタップして、すぐさま左の指3本で同時にタップします。先に4-5-6の点をタップして、次に1-2-3の点をタップするというわけです。
 点の調整が正常に行われたら、
「点の位置を調整しました」とアナウンスされます。

(注意) キャリブレーションがうまくいかない場合は、本体の向きを左右逆にして試してみてください。自動の向き判別が機能していないかもしれません。

 ちなみにiPadOSでのキャリブレーション方法は、6本指でダブルタップです。画面サイズの大きなiPadでは8点同時タッチに対応しています。
 もしiPadOSで点字表を8点式にしている場合、キャリブレーションは8本指のダブルタップで行います。


 点の位置を確認するための案内モードが用意されています。ジェスチャにより案内モードに入ります。

●「指の長押し」
 1本指で画面にタッチし続けていると、効果音につづいて、「案内モード」とアナウンスが聞こえます。画面につけたままの指をドラッグすると、設定された点の箇所に指がきたとき、点の番号を案内します。
 また、1本だけでなく2本から5本の指を同時にタッチし続けていても案内モードに入ります。



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■4 点字画面入力モードで利用できるジェスチャ


 「点字画面入力 Braille Screen Input」のモードでは、文字や数字を入力できるだけでなく、専用のジェスチャが利用できます。
 VoiceOverの操作練習の画面では、点字画面入力で利用可能なジェスチャを練習することができます。設定アプリを開いて、「アクセシビリティ」→「VoiceOver」→「VoiceOverの操作練習」と進みます。
 VoiceOverの操作練習の画面では、最上部に「一般」、「手書き」、「点字」の切り替えボタンが用意されています。
ここを選択状態にすることで、それぞれのジェスチャを練習することができるようになっています。
 練習モードから抜け出すには「完了」ボタンを実行します。


1. 1本指の右スワイプ
空白を挿入します。

2. 1本指の左スワイプ
1文字を削除します。キーボードのバックスペースキーと同じ働きです。

3. 1本指の上スワイプ、もしくは1本指の下スワイプ
テキストフィールド内で文字を入力しているときは、文字の候補を表示します。
ホーム画面では、アプリ間を移動します。文字入力すると、その文字を含むアプリを絞込み表示させて移動できます。

4. 2本指の左スワイプ
単語を削除します。

5. 2本指の右スワイプ
改行、もしくはリターンキーの実行。
ホーム画面では、アプリを開きます。

6. 2本指の上スワイプ
点字表を切り替えます。
 日本語と英語の文字入力を切り替えるには、あらかじめ切替できる点字表を追加しておく必要があります。
 設定アプリを開いて、「アクセシビリティ」→「VoiceOver」→「点字」→「点字表」の中で追加します。

7. 2本指の下スワイプ
すぐに翻訳。英語の場合は2級英語点字に訳します。
たとえば「p」をタイプした後で2本指の下スワイプを行うと、「people」と訳します。

8. 3本指の右スワイプ、もしくは3本指の左スワイプ
モードの切り替え。コマンドモードと文字入力モードを切り替えます。

9. 3本指の上スワイプ
クイックアクション

10. 3本指の下スワイプ
画面の向きをロック。ロックされていると、ホールドモードとテーブルモードは自動的に切り替わりません。

11. ●「1本指で押さえながら1本指で左にスワイプ」
前のテキストに移動します。入力した文字を確認できます。
 まず1本指を画面にタッチしたままにしておき、別の1本の指でスワイプします。

12. ●「1本指で押さえながら1本指で右にスワイプ」
次のテキストに移動します。

13. ●「1本指で押さえながら1本指で上にスワイプ」
次のテキスト選択モード。テキストの移動単位、選択単位を切り替えます。

14. ●「1本指で押さえながら1本指で下にスワイプ」
前のテキスト選択モード。テキストの移動単位、選択単位を切り替えます。

15. ●「1本指で押さえながら2本指で左にスワイプ」
前のテキストを選択。
 まず1本指を画面にタッチしたままにしておき、別の2本の指でスワイプします。

16. ●「1本指で押さえながら2本指で右にスワイプ」
次のテキストを選択。


この他にも、ローターやスクラブのジェスチャが利用できます。


■■一覧8 カスタマイズできる点字画面入力 (2024年9月17日 iOS 18): Voice_Of_i 見えなくても使えるスマートフォン(資料集)
https://voicei-gestures.seesaa.net/article/482639143.html?1726461835



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■5 点字画面入力コマンドモード


 点字デバイスを接続するとiOSを操作するためのコマンドを利用することができます。点字画面入力コマンドモードではそれと同じように、点字コマンドで操作できるようになります。たとえばホーム画面を開くには1-2-5の点を入力します。ただし、点字デバイスで利用できるコマンドのすべてが利用できるわけではありません。1-3の点を入力してヘルプモードに入ってから確認してみるとよいでしょう。

 点字画面入力コマンドモードに切り替えるには二つの方法があります。
点字画面入力の状態で3本指の右スワイプあるいは左スワイプを行います。
直接ジェスチャで切り替えることもできます。
●「両端を2本指でトリプルタップ」
 1本の指はステータスバーに近い箇所、もう1本の指は最下部に近い箇所で同時にトン・トン・トンと画面を3回叩きます。
うまく動作しない場合は2本指のダブルタップだと認識されてしまいます。タップする位置に注意してください。

 終了するには、スクラブ、ピンチアウト、ピンチインのジェスチャのいずれかを行います。

■■一覧3 点字デバイスからの制御コマンド一覧 (2024年9月17日 iOS 18) : Voice_Of_i 見えなくても使えるスマートフォン(資料集)
https://voicei-gestures.seesaa.net/article/482638466.html?1726478302
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■6 点字画面入力で日本語を入力してみよう


 iOS 18では日本語の文字変換ができるようになりました。しかもジェスチャ操作ですぐに点字画面入力を呼び出せるようになったので、かなり便利になりました。テキストフィールドが開くと同時に点字画面入力を開始するオプションも用意されています。
 オンスクリーン・キーボードによる文字入力が苦手な人、6点式の点字入力に慣れている人にとってはたいへん都合のよい文字入力方式です。



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■6-1 言語に応じた点字表を追加する

 ソフトウェア・キーボードが各言語ごとに用意されているように、点字を入力する上でもそれぞれの規則に従った点字表を選択する必要があります。
 設定アプリを開いて、「アクセシビリティ」→「VoiceOver」→「点字」→「点字表」と進み、任意の言語の箇所を開きます。
同じ日本語でも三つの点字表が選べるようになっています。
  • 日本語システム

  • ・日本語 NBSC

  • ・日本語 漢点字

 「日本語 漢点字」については出力のみに対応しており、文字入力はできません。点字ディスプレイで表示させるときに漢点字で読みたい人向けです。

 ここでは「日本語 NBSC」を選択しておきます。"@"などの記号を入力できるからです。
 さらに英語の中では「英語US 1級英語 システム」または「英語US 2級英語 システム」のどちらかを選んでおくことにします。英語点字の略字について詳しくない人は1級英語を選ぶとよいでしょう。



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■6-2 持ち方を決めて点の位置を調整

 まずはiPhone本体を机やひざの上におきます。これによりテーブルモードのスタイルで文字を入力できます。
 では、テキストフィールドを開いてジェスチャで点字画面入力を呼び出します。メモアプリなどで文字入力できる状態にしてから、
●「両端を2本指でダブルタップ」
1本の指はステータスバーに近い箇所、もう1本の指は最下部に近い箇所で同時にトン・トンと画面を2回叩きます。
 iPhone SEであれば、
「点字画面入力 横向き ホームボタンを左側に テーブルモード」とアナウンスされます。つまりホームボタンを左側にした状態で6点入力できるわけです。左手の人差し指が1の点、左中指が2の点、左薬指が3の点、右手の人差し指が4の点、右中指が5の点、右薬指が6の点になります。

 画面上には点の位置が数字で表示されていますが、必ずしもその場所を確実にタッチする必要はありません。キャリブレーションの操作をすることで好みの位置に点を置き換えることができるようになっています。
 まずは右の指3本を同時にタップして、すぐさま左の指3本で同時にタップします。先に4-5-6の点をタップして、次に1-2-3の点をタップするというわけです。
 点の調整が正常に行われたら、
「点の位置を調整しました」とアナウンスされます。
 もしキャリブレーションがうまくいかない場合は右手と左手をタップするのに時間がかかりすぎているのかもしれません。1本指ダブルタップのようなリズムで行ってみてください。また、iPhoneの左右が逆になっている可能性もあります。自動的に向きを判別してくれるのですが、テーブルモードの場合は機能してくれないこともあるようです。
 大きな画面サイズのiPhoneであれば6本の指を横並びにしてパーキンスブレーラーのスタイルでキャリブレーションするとよいでしょう。もし横並びが狭いと感じればV字や逆V字に斜めに置くこともできます。


 キャリブレーションが終わったら点字表を確認しておきましょう。
●「2本指の上スワイプ」
このジェスチャを繰り返すと選択された点字表を切り替えることができます。
「日本語 NBSC」と読み上げられたら日本語を文字入力できる状態です。



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■6-3 日本語を入力

 とりあえずは「あいうえお」とでも書いてみてください。文字を確定するには
●「2本指の右スワイプ」
です。
このジェスチャを文字が何も入力されていない状態で行うと改行します。

 次に文字変換させてみましょう。「「てんじ」と書いて、
●「1本指の上スワイプ、もしくは1本指の下スワイプ」
このジェスチャで候補文字を表示します。
確定したい場合は先ほどと同じく2本指の右スワイプです。

●「1本指の右スワイプ」
このジェスチャでも候補文字を表示します。
このジェスチャを文字が何も入力されていない状態で行うと空白を挿入します。


 削除するには次の二つのジェスチャを利用します。
●「1本指の左スワイプ」
1文字を削除します。キーボードのバックスペースキーと同じ働きです。
●「2本指の左スワイプ」
単語を削除します。

 数字の入力は数符である3-4-5-6の点に続けて入力します。
 記号の入力は、"@ アットマーク"の場合は5-6の点に続けて2-4-6の点です。注意としては、5-6の点で記号を入力したあとの文字は英語になってしまうかもしれません。その場合は5-6の点を入力したあとでその文字を削除します。5-6の点の代わりに3-6の点、3-4-5-6の点を一度入力した後で削除することでも同じ結果になりました。
 日本語の文字入力中で2-3-6の点を入力すると英語を入力するモードになります。そのモードを終了するには3-5-6の点です。

 点字画面入力のモードを終了するには、
スクラブ、ピンチアウト、ピンチインのジェスチャのいずれかを行います。



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■6-4 挿入ポイントの移動とテキスト選択

 入力した文字は挿入ポイントを移動することで確認できます。

●「1本指で押さえながら1本指で左にスワイプ」
前のテキストに移動します。入力した文字を確認できます。
 まず1本指を画面にタッチしたままにしておき、別の1本の指でスワイプします。たとえば左手の人差し指を画面にタッチし続けている間に右手の人差し指で左スワイプを繰り返します。最初にスワイプするタイミングが遅いと案内モードになるかもしれませんが、その状態でも問題はありません。

●「1本指で押さえながら1本指で右にスワイプ」
次のテキスト、つまり先ほどとは逆の方向に移動します。


 挿入ポイントの移動は文字、単語、行の単位で変更できます。
●「1本指で押さえながら1本指で上にスワイプ」
●「1本指で押さえながら1本指で下にスワイプ」
テキストの移動単位、範囲選択の単位を切り替えます。ローター・カテゴリの「文字、単語、行」と同じです。

 テキストの範囲選択をすることもできます。
●「1本指で押さえながら2本指で左にスワイプ」
前のテキストを選択。
 まず1本指を画面にタッチしたままにしておき、別の2本の指でスワイプします。たとえば左手の人差し指を画面にタッチし続けている間に右手の人差し指と中指で左スワイプを繰り返します。
 指定されたテキストの移動単位によって範囲選択する単位も変わります。

●「1本指で押さえながら2本指で右にスワイプ」__________目次の先頭へもどる__________

■7 英語の点字表での略字の入力


 点字表を「英語US 2級英語 システム」に切り替えてみましょう。略字を入力すること
ができます。英語の場合は文字入力した後に文字を確定する操作は必要ありません。単語と単語の間に空白を挿入することが多くなるので、1本指の右スワイプを多用することになりますね。

 さて、「about」という単語の略字は「ab」です。文字として「ab」の入力に続けて空白を挿入してみましょう。すると、「about 」が入力されます。ここで覚えておいた方がよいのは「about」の単語の後に空白が挿入されているということです。
 もう一つの略字の返還方法は文字の入力後に
●「2本指の下スワイプ」
このジェスチャにより、すぐに翻訳。英語の場合は2級英語点字に訳します。
「ab」の入力後にこのジェスチャを行うと「about」に変換されますが、空白は挿入されません。

 ちなみに英語の文字入力のあとで1本指の下スワイプか上スワイプを行うと、予測変換された単語が表示されます。



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■8 設定メニュー


 設定アプリを開いて、「アクセシビリティ」→「VoiceOver」→「点字」→「点字画面入力」と進むと、関連する設定項目を確認できます。

「アクティベーションジェスチャを使用」のオン・オフ切り替えボタン
オンにすると、ジェスチャ操作で点字画面入力を呼び出せます。

「テキスト編集時に自動的に開始」のオン・オフ切り替えボタン
オンにすると、文字入力できる状態では自動的に点字画面入力が始まります。

「閉じるまで有効なままにする」のオン・オフ切り替えボタン
オンにすると、手動で終了するまで点字画面入力の状態になります。
文字入力できない場面ではコマンドモードになります。

「点位置を反転」のオン・オフ切り替えボタン
オンにすると、1と3、4と6の点が入れ替わります。
左手の薬指が1の点、左手の人差し指が3の点、右手の薬指が4の点、右手の人差し指が6の点に入れ替わります。

「視覚テキストフィードバック」のオン・オフ切り替えボタン
オンにすると、入力した点字が画面上で確認できるように文字表示されます。

「タイプ入力フィードバック」
操作の確認を通知する方法を指定します。
  • ・サウンド オン・オフ切り替えボタン

  • ・触覚 オン・オフ切り替えボタン


「モードの通知」
コマンドモードと文字入力モードを切り替えたときに通知する方法を指定します。
  • ・読み上げてサウンド再生

  • ・読み上げる

  • ・サウンド再生


「点字表を選択」
使用する点字表を選択します。
これはジェスチャ操作でも変更できます。



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