率直に問う 日本はなぜ「戦闘機用エンジン」を国内開発できないのか?
防衛省は、将来の防空を担う航空自衛隊の次期戦闘機を英伊と共同で開発する方針を定めた。この決定は従来の米国機導入や国内開発とはまったく異なる路線だ。
日本の国情に見合った戦闘機を
では、推力15t超のエンジンを運転できるATFを保有しているのは、どこの国か。米国、ロシア、中国は言うに及ばないが、イギリス、フランスが十分な性能を有するATFを保有している。
日本で研究試作された先述のXF9エンジンは、次世代戦闘機用として希望が持てる存在だが、これを完成させるために外国の施設を使用するのは困難だ。
となれば、米国以外で、自前の開発環境を持つ国と手を組み、少しでも日本の国情に見合った戦闘機を共同開発するしかない。
問題は、共同開発において、どれだけ日本の自主性が守られるかだ。フランスやイギリスの防衛事情は日本とは大きく異なり、戦闘機に求める性能は同じではない。また、搭載する日本製兵器に合わせた設計や、それら独自兵器の情報をどう扱うかも、技術保全上の課題となるだろう。
先行きは決して楽観視できないが、この事業によって日本が得られる成果が、少しでも大きいことを願うばかりである。