 |
56年になって、ガンマもオフィチーネ・ガリレオのコンドールIIに遅れをとっていた分を取り戻すべく、フィルム巻上げをレバー式にして、同時にシャッターチャージもレバーに連動したセルフ・コッキング機構を組み込んだペルラII型を発売します。たかだかレバー巻上げにするだけにもかかわらず、ボディの角を丸くするのは、金型を一から作り直さねばならず、えらい大変なはずですよねー。でも、何でまたこんなことしたのか、不思議でしたが、それにはちゃーんと理由があったんですよ。 |
ペルラII型のレバーは面白いことに前から後ろに巻き上げるようになっていて、予備角はおよそ25度ほど引き出せるようになっています。で、一旦それを引き出すと、レバーは元に戻らなくなりますが、レバーの付け根にある小さな別のレバーを押すことで、予備角が解除され、元の位置に戻る仕組みになってまして、このカラクリを円盤部分に組み込んでいます。その円盤部分の上にはフィルムカウンターが乗っかっていて、巻き上げノブのようなつまみを回して調整します。 |
 |
 |
左はレバーの予備角を引き出した状態での背面画像。正面もそうなんですが、ファインダー枠の周りにちょっと段差を付けてちょっとオシャレになっていますでしょ。でも、イメージはちっとも変わらないんすよねぇ。では、なぜわざわざ金型を変えてまで角の丸いボディにしたのかと言うと、これはレバー巻き上げ機構を組み込むために採った策で、どうにも仕方なかったんでしょう。 |
軍艦部を外すと、レバーの下に大きなギアが入っていて、シャッターボタンの後ろの辺りにある小さなギアと噛み合っています。そこからさらに内側に歯車が入っていて、これがシャッターチャージ用のパーツを回転させます。レバーの下にある大きなギアは、直接巻き上げスプールを回すのではなく、一旦小さい方のギアに移った力を利用して歯数の異なるギアを駆動させて軸を回転させます。だから、レバーの巻き上げ角は200度程度なのに、軸は340度ほど回転します。 |
 |
 |
この歯車のおかげで端を従来の八角ボディにできず、丸くして逃げを作った訳なんですが、とても良くできてますよ。
そのレバー巻上げ機構のために、沈胴式の鏡胴は使えなくなって、立派なヘリコイドリングが入っていますが、従来のモデルの沈胴量は8mmではほとんど意味なしですので、わざわざガリレオ・コンドールIIのような機構を、無理して組み込まなかったのは正解でしょうね。
ペルラII型にも色々とグレードがあって、このベーシックなモデルではプロンターSシャッターが使われています。 |
ペルラIIを使ってみると、この“ひねくれ”巻上げレバーって思いの外使いやすいんですよ。人差し指はシャッターボタン上にあるので、中指でレバーの先端を引っ掛けて後ろに引くんですが、それが意外に無理のない位置にあって、結構迅速に巻き上げられます。ただし、巻き上げ量自体はかなり多いので、レバーが目の位置まで近付いちゃうために、やはりファインダーから一瞬目を離さざるを得ませんがね。
軍艦部を固定するネジは妙なカラクリが使われていて、一瞬普通のネジみたいな丸いものは細長い筒の先端で、雌ネジになっています。これを上から差し込んでおいて、下から普通のマイナスネジを噛み合わせて固定するんですが、その面倒くささの割にまず気付いてもらえない寂しい工夫です(笑。 |
 |