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4年住んだ村を離れたはなし

こんにちは、古川です。タイトルの通りです。

大学時代からある特定の村に行きまくり、大学卒業3年後に村に移住。その後会社を作り、結婚し、事業を約3つほど興し、村のいろんな委員や会長など任されていた私ですが、住環境を村以外の場所に移すことにしました。

なお、誤解を招くことを避けるために書きますが、現在の村での事業(キャンプ場の運営)は今後も続けます。転居先から村に通うことになります。また、会社の事務所は引き続き村内に置きます。ちなみに直近数年の経緯はこちらからどうぞ。

というわけで、約4年前にそれなりの意思を持って横浜から移り住んできた村から、なぜ離れることになったのか的なことを書いていきたいのですが。極力ネガティブキャンペーンにならないよう気をつけたまどろっこしい表現になります。毎度のごとく長くなりますが、興味のある方お付き合いください。

(※まあ本来、特定の人間や一家族がどこに移り住もうがどうでもいいことだよなと私自身思うのですが、1500人の村で会社興して10人くらい雇っていた人が引っ越すというのは村規模の世界だとそこそこの出来事のようなので書いています。)



1. 村のいいところ

引っ越してきた2020年当時、たしか人口は2000人弱だったかなと。今は1500人くらい。そんな高齢化率日本一の山奥の村に、当然「いいところ」があったので引っ越してきました。静かで、長閑で、川のせせらぎがずっと聞こえて、小鳥のさえずりで目が覚めて。

夜は星が綺麗で、夜中は遠くの飛行機の音が山々をこだまする音しか聞こえなくて、車通りも少なくて。信号もなければ渋滞もないし、同様にスーパーもコンビニもないんですが、その代わり近所の人から畑の野菜を分けてもらえて。みんな顔見知りみたいな場所。

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右下に見えるのは住んでいた家。旧世代iPhoneでも星がくっきり撮れる。

結婚前は家の鍵あけっぱなしだったし、車の鍵なんてハンドルから抜いたことがなかったし。都会と比べて人と人との距離感が近いことがたまに窮屈に感じることはあったけれども、至るところで住民の優しさを感じることができる、総じて温かい環境でした。

※明らかに余談ですが、旅先でその地域の田舎度合いをはかる指標として、「車で住民の横を通過したときに住民がこちらの車をガン見してくるか」というのがあります。よそ者の見慣れない車だと住民はすぐに気がつく(住民の車は大抵覚えている)ので、見てくるのです。住んでいた村はそういうところでした。笑



2. 生活スタイルの変化

会社の状況や変化はこれまで度々noteで紹介してきましたが、家庭の事情として2023年2月に子供が生まれたという大きな変化がありました。記事にするか、と思っていたらそれどころではなく書く機会がありませんでしたが、その話は次回以降で。

ということで、夫婦2人で山奥暮らしをするのと、一家3人で暮らすのとでは想像以上に変化が大きかったです。病院が遠い、スーパーが遠い、当然uber EATSもないし、慌ただしい生活を救う外食までのアクセスも遠い。歩道つきの比較的平らな道はほとんどなく、歩道もなく狭い坂道だらけで散歩もしづらい。まあ、山奥ってそんなもんです。

この環境下での子育ても、されている方されてきた方はたくさんいらっしゃいますし、不可能ということは決してないはずです。しかしながら、妻も私も(少なくとも村と比べると)はるかに都会っ子なもので、便利な暮らしのありがたみを知ってしまっています。ありがたみを知っていながら、あえて不便な暮らしを選びづらいというのが正直なところです。

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住んでいた地域の航空写真。ひたすら山。
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同縮尺での東京の航空写真。

※「田舎で子育てができないなんてことはない、みんなこれまでずっとこの地で子育てをしてきたんだ」論を言われることがたまにあるのですが。私たちがある程度都会の環境の恩恵を受けて育ってきた身であることを理解してもらえればと思いますね。価値観押し付けないでほしい〜

子育てが始まったことは村を離れた理由の1つにはなっていますし、わかりやすく説明するときには理由として使っていますが、理由はこれだけではありません。



3. 田舎あるある

皆さんは田舎のネガティブ要素について、どのようなものが想像つくでしょうか。よく移住失敗談みたいな投稿や動画で目にするのは、噂、排他的、村八分、しがらみ、地域の行事への参加義務などでしょうか。程度はさまざまですが、正直どれもあります。否定はしません。

住んでいた村のネガティブ要素例をもう少し具体的にすると…。悪い噂はすぐ広まるが、良い話はなかなか広まらない。移住当初は喜んで歓迎してくれるが、よそ者がちょっと地域内で権力を持ってしまうと排除する動きも出る。誰と誰が親戚だとか、昔トラブルがあって誰と誰は不仲だとか、そういう情報は聞こうとしなくても耳に入る。年数回の道路や河川の清掃、その他地域の集まりがたまにある。そんなところでしょうか。

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朝から道路清掃。当然だが道具や軽トラ等は個人の持ち出し。

噂はたしかに面倒ですが笑、まあこの地域はそんなもんなんだと納得できていましたし、乗り越えるハードルとしてはそれほど高いものではありませんでした。個人的には。というか、そんな狭い世界の小さい出来事を気にしていられるような暇は全くなかった、とも言えますね。

村から出ていけと言われたことも、会社を潰してやると言われたことも、新聞の一面の記事に載ったときは村の有力者に「調子乗りやがって」という態度を取られたこともありました。営業妨害をされたことがきっかけで、数百万円稼げるチャンスが吹き飛んだこともありました。これらのことって、別に田舎あるあるではないと思うんですが、田舎で地に足つけた活動するならあるあるかもしれませんね。

さすがに身体も心もノーダメージということはありませんでしたが、細かいこと気にするよりも目の前の従業員や事業、自分の家庭に精一杯なのでやはり気にする暇もありませんでしたね。もし地方移住して何かビジネスする予定の方は気をつけてください。笑



4. そして村を離れた

山奥の田舎に丸4年ほど暮らし、田舎のいいところもたくさん見つけましたが、嫌なところも同じくたくさん見つけました。これはどこに住んでも多かれ少なかれ同じだと思います。きっとタワマンに住んだらそのうち不満が溜まって「タワマンは嫌だ」というnote書く未来が見えます。そんなもんです。

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鹿

そして村を離れたのですが、〇〇が嫌だ!というような決定打となる理由は正直ありません。村を離れた理由を10文字で書くと「総合的に判断した結果」ですし、15文字で書くと「住み続ける理由がなくなったから」です。

式にすると、
「村のいいところ3pt-生活スタイルの変化2pt-田舎あるある2pt=-1pt」
です。

嫌なところだけだったら3-2=1でプラスだし、生活スタイルの変化だけでも3-2=1でプラスです。ですが、ふたつの負の側面が重なったのと、これ以上好きなところが増えなかったのでマイナスになってしまったという感じです。私は式で表したほうがわかりやすいんですが…逆にわかりにくいですか?笑

もう少し具体的な話をすると…。私がキャンプ場で忙しいお盆や連休は育児が一切できないので、妻子を東京へ預ける日がありました。そのあたりから派生したのか、「奥さんが東京から村に戻ってこず、東京に引っ越す予定」「そのためキャンプ場の経営からは既に撤退した」「次にキャンプ場を経営する人が決まりそうだ」などという噂が知らぬ間に広まっていたようです。当時は別に引っ越す予定なんてなかったし、キャンプ場はバリバリ毎週末満員だったんですけどね。そんなに居なくなってほしいのかな笑

噂は噂で否定すればいいのですが、確認されて否定するのもエネルギー要るし、噂を知っていてあえてその話題に触れないようなコミュニケーションをされるのも不自然で心地悪いんですよ。とまあ、そのような噂が流れるなか、ただでさえ平らな道の少ない村で、わざわざ散歩したいと思いますか。これって「田舎の嫌なところ」と「生活スタイルの変化」が掛け合わさっている事象ですね。

育児で疲れ気味のなか、わざわざ噂を気にしながら消耗する選択肢は取らないので…。少なくとも昼間に玄関の扉を開けるのは、なんとなく妻も私も心理的に重くなりました。その結果、散歩をしたいときには私の仕事がないときもしくは仕事後に、車で片道30分〜1時間以上移動し、散歩道やショッピングモールで散歩をするようになりました。(子が重めなため妻が一人で車乗せて長時間出かけるのもあまり現実的ではない)

これって散歩できる場所に引っ越してしまえば、私の仕事関係なくいつでも、すぐに散歩ができるんですよね。めちゃめちゃ魅力的じゃないですか?まあごく当たり前であってほしい環境なんですけど。たしかに村の家の家賃は月1万円台駐車場込でかなり魅力的なんですが、家賃数倍になってでも不便さも余計な噂も何も気にせず散歩ができる環境の方が欲しかったですね。

ここまで書いておわかりいただけたでしょうか。噂が想像以上に厄介であると同時に、田舎の住みづらさのひとつとして仕事とプライベートの境界がほとんどないという点があります。どんな商売をしてどんな生活をしていようが本人たち以外には全く関係ないはずなのに、その2つを住民の目と余計な噂が結びつけてしまうんですね。勝手な憶測がひとつの家族の勝手なストーリーとなって独り歩きします。タワマンじゃあり得ん。

と、まあここまで書きましたが、住んでいた地域の方々には本当によくしてもらって。忙しく夜帰ってきてみたらポストに野菜が引っかかっていたり、話し相手にもなってもらって、子のこともかわいがってもらって。本当に感謝しています。むしろ近所がこの人たちじゃなかったら、多分、もっと村暮らし早期離脱していたと思います、というくらい恵まれていました。

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住んでいた家。背景が一面の杉。大好きだった手前の車2台は手放しました。

このnoteを書くの、本当に難しいです。自分の決断を他人のせいにしたいわけではない。誰かのせいで、何かが嫌で、そんなこと一言も言いたくないんです。ですが、自分の意志のみではまだ住めたし村で育児は多少大変でも頑張ってできたのに、、という葛藤を少しでも言語化できればと思って書いています。

決して特定の誰かや組織を非難する気はなく、ただ、「小さい村」で「会社経営」と「子育て」を「よそ者」がするということが相性悪かっただけなのかな、と思います。そしてこの村で経営と子育てどちらを辞めるかという選択で、子育てを辞めたという話です。

(※あと、不毛な噂に囲まれた生活をしていると、自分の心が汚され、思考力も削ぎ落とされるような気がして…。自分の身を守るため、自分の魅力を失わないようにするため、の決断でもあります。少なくとも私はこの環境でパフォーマンス落ちました。)



5. こっそり引っ越した

10月中旬、村から引っ越すことを決め。10月下旬、物件を見つけて契約。(※9月末から10月上旬にかけて、所有している車をだいぶ整理しましたが、このときはいざ引っ越すとなったとき楽なようにと見越して減らしました。)11月下旬の入居日まで1ヶ月のタイムリミット。ちょうどあっちこっち動き回るようになった子供を抱えながらの荷造りはまともに進まず、仕事の合間にコツコツ荷造りを。そして、こっそり引っ越さなければならない理由がありました。

人数が少ない村だからか、「自分が相手にとって人生の主役であると思っている人」がかなりいるんですよね。つまり、「私は古川と仲が良いから古川のことはなんでも知っていて当然だ」と思っている人のことです。そして、古川の情報?を後から教えると、「〇〇さんには教えてるのになんで私には教えてくれなかったの」と言われるんです。この現象、村で初めて経験しました。

私自身、他人から人づてに友達が一年前に結婚していたみたいな話を聞くことがあります。それについて、「なんで事前に結婚報告してくれなかったんだ」とはならないです。そもそも知り合いがそれなりに多くて全ての情報を把握しきれないです。でも、田舎ってそういう世界なんです。結構驚いた価値観の違いです。

そんなことがあるため、余計な妬み恨みの発生源を抑えたく、極力「引っ越すらしい」という噂ではなく「引っ越した」という事実になってから伝えたかったので、村の人には引っ越すことを一切話していませんでした。

想定以上に荷物が多く、依頼していた引越し業者のキャパを超えてしまったことから、一部の荷物を事前に自前で運んだのですが。それも夜にハイエースを借り、子が寝た後の夜中に積み込んで、事務所のシャッター内にハイエースを隠すというとこまで無駄に徹底してやりました。

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わざわざスーパーロング車指定でレンタカー予約。荷物は車に、車は車庫にぴったり収まった。

そんなこんなで、家の前に某大手引っ越し業者のトラックが来たときが初めて引っ越しが噂でなく事実になった瞬間でした。引っ越しについては完全に前向きな気持ちではなかったのですが。噂が事実になった瞬間はとてもホッとして、いろんな肩の荷が一気におりた感じがしました。まあ、噂では東京に引っ越したことになってるみたいですが、東京じゃないんですけどね。

転居先もまた変な噂や妬みの原因になっては面倒なので、村の誰に聞かれても答えませんでした。それもこれまでの経緯から理解してもらえたら幸いです。別に隠し通したいわけではないので。変な噂や妬みはお互いにハッピーでないです。

いやー、それにしても9ヶ月児を抱えた引っ越し、大変でしたね。荷造りが始まった頃はやっと這いつくばって数センチ前進できたかどうかくらいだったのに、引っ越し前日くらいには前進は余裕、何ならまぐれでつかまり膝立ちみたいなことをするようになって。なかなか思うように進みませんでした。



6. まとめ

ここまでで6000字くらい書いているのですが、よくたかが引っ越し程度のライフイベントでこんなに書けるなと我ながら思います。ここまで読んでいただいた方ありがとうございました。

結構田舎や村の負の側面を多めに書いてしまいましたが、いろんな要因が重なって負の側面と触れる接点が多くなったようなものだと思いますし、そもそも価値観違うの当たり前なので村で出会った人たちの考え方を否定する気はないですし。でも、それくらい違うものなんだということを知ってもらえたらと思い書きました。

いま村では観光協会を立ち上げたり、次年度から新しい学校を開設したり、引き続き移住促進っぽいことに取り組んでいたりと、外の空気や価値観をさらに取り入れる段階に入っています。少しでも私が直面した課題感が参考になりますよう。そして他人事ではなく私もまだ仕事で村と関わる立場であるので、私自身も今後何かしらの形で活かせればと。この4年どっぷり村に浸かった経験を無駄にしないよう動ければと思います。

恒例の、まとめです。

・村を離れる理由の方が多くなったので引っ越した
・複数の要素が合わさってこれ以上住めなくなった
・噂は気にしないつもりでも時間と労力を割かれる
・自分も家族もメンタルが大事
・ベビー連れて引っ越しは本当に大変

と言ったところでしょうか。

「不毛な噂に振り回される人生なんてもう勘弁だ」と言えば済むかもしれない内容を、ここまでまどろっこしい6000字以上の表現でしか伝えたくなかった、私のわがままにお付き合いいただきありがとうございました。

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母校の近くにできたいすゞのホテルに家族でお泊り。



弊社で運営しているキャンプ場です。冬季休業中で4月中頃からシーズン開始予定。暖かくなった頃ぜひお越しください…!

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コメント

1
寂夜
寂夜

こういう話って書くのは難しいでしょうね。でも正直に書いてくれるのは「読者」としては嬉しいです。3事業併設は2事業が順調に(代表が手を出さずとも)回っていれば大丈夫でしょうが、全部立上げ途中だと独りではメンタルとパワー(作業量)が足りないでしょう。居住地が「現場」を離れるのは田舎村論としてはネガティブでしょうが、残った事業が長くかつ良い状態で続けば、トータルで結果オーライだと思います。年齢的にも「軸足を定める」のが良いと思えるので、10年後に振り返って「色々やったけど結局何も残せなかった」ではなく「私はこれを続けて成功させた」となるよう祈っています。

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4年住んだ村を離れたはなし|古川 拓
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