健康でなくて、ごめんなさい 腕利き技術者、志半ばの死 遺族の思い

男性は自ら命を絶つ前日、「健康でなくて、ごめんなさい」などと家族にメールを送っていた=愛知県内で2024年11月17日午後4時14分、土田暁彦撮影

 岐阜大の研究員として働き、大手航空測量会社の顧問を掛け持ちしていたダブルワークの男性(当時60歳)が、3年半前に自殺して労災と認められていたことが関係者への取材で明らかになった。大学で上司の厳しい指導を受け、会社で孤立していたとされる。労働基準監督署は両職場での就労状況を総合的に考慮した結果、強い精神的負荷が生じていたと判断した。

【スクープ】ダブルワークで自殺 「労災」認定 大学と企業の掛け持ちの60歳

 健康でなくて、ごめんなさい――。自ら命を絶つ前日、腕利きの技術者だった男性は家族に宛ててメールを送っていた。二つの職場で追い詰められ、心身のバランスを崩していった。「技術を継承し、国際貢献したい」。志半ばの死だった。

 男性は建設コンサル会社などで30年以上勤め、橋梁(きょうりょう)を専門とした。知識と豊富な実務経験が買われ、「技術士」の国家資格も持っていた。「勉強が趣味みたいな人でした」と妻は語る。

橋を架け、誇らしげだった男性

 20年ほど前、男性は深夜に家族を連れ出し、ドライブに出かけたことがある。「あの橋を設計したんだ」。目の前には高速道路に橋を架ける工事現場が広がっていた。家族は誇らしげに…

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