木下岳さん 児玉徹郎さん
第1回目は、デジコン6+2、デジコン6で奨励賞受賞者の児玉徹郎さんと、デジコン6+1にて優秀賞を受賞した木下岳さんにお話を伺いました。 (こちらのインタビューは2006/11/10に取材したものです
)
Q.今、何してる人って聞かれたら何て言うんですか?
木下: この前原付で捕まっちゃって(笑)。その時警察の人に職務質問されて「失礼ですが、ご職業は?」って聞かれたんです。
「はあ、何でしょうかねぇ?」ってなっちゃって(笑)・・・。その後、児玉君に「ああいう時どうすればいいの?」って聞いたら、「映像
作家って言っとけ!」って。それからは映像作家ということになりました。
児玉: 僕は「背景画家」って言いますね。大概説明してもわかんないんですけど。。。「背景画家?」って・・・。「アニメーションと
かCM映像の美術、背景を作ったりする人間ですよ~」と、解りやす~く言ったら、「そんなのあるの?」って言われます(笑)
フリーでやってる人はそんなにいないらしい。僕は初めからフリーなんで珍しがられますね。
Q.DigiConに応募した作品について
木下: 最初、アニメーション、3Dとかやってたんですけど、3Dとか嫌いになってきて(笑)。すっごい、いろんなものを見たけど、
同じに見えてきて・・・。PIXARとかでも、そんなに個性的って気はしないし。
でも人が描いた絵だと、ヘタクソな絵でも、誰が描いたかってすぐわかるんですよね。そういうところで、やっぱ手書きの方が個性
が出やすい。自分だけの作品を作るんだとしたら、3Dより手書きだなって・・・。
当然3Dだって、どんどん突き詰めていけば、それぐらいにはなるだろうけど、手書きですぐに自分の個性が出せるんだったら、そ
っちの方から入った方がいいのかなと。
自分が作ってた、最初の3D作品とかを見ると、そりゃあひどい。「こんなの誰が作ってるの?」「誰でも作れるじゃん?」「自分じゃ
なくても誰でも良かったじゃん?」って。で、手書きの方に移ったんです。「Dream Thief」は、そういうやり方が固まってきた頃の
感じです。
児玉: 「THE TRUE OF ONESELF」は・・・、自分は選択してなかったんですけどカウンセリングの授業で、15人ぐらいが、二
人が一組で常に会話をするっていう授業があったんです。片方が「聞き手」、片方が「攻め」みたいな感じで交互に繰り返す。お互
いに何でもいいから不満とか言い合ったり、とりあえず語り合うっていう授業。それがすごい好きだった。
さらに心理学の授業で、フロイトとかユングが出てきて、なんか面白いなって・・・。フロイトのこと、なんも知らんのに。フロイトの文
献とか見たりして・・・。
その後、絵画授業の時、絵本を作ることになったんです。で、絵本のストーリーにフロイトの話を軽く書いてみたんですよ。そしたら
、これは面白いなって。それを卒制に持ってきたんですよ。
だから絵本を作ったあとにアニメーションにしたら、まあ、あの通りになったんですよ。
Q.ご自分にとって作品を制作するという事は?
児玉: 人から言われたような映像を作るなんて冗談じゃない。ホンマそう。完全なエゴです。これは嫌い、あれは好きっていう、
基本的に僕の場合は、女子高生とロボットは完全アウトなんです。あと日本のアニメーションだったらアウト。そういう商業臭いよう
な、あきらかにキャッチーな話ってやる気になんない。別に僕がやる必要はない。他の人に頼んでくれって。作品は自分のために
作る。でも内容は人のために作るで、一番良い対象が親やと。親が見ても納得できるストーリーにしようと。
むしろ、親が見れなかったら、他の人は見れないなっていうとこを大前提にストーリーは組み立ててる。逆にその世代さえ納得さ
せられたら、あとは誰に見せても大丈夫でしょう(笑)。一番わかりやすいターゲットが身近にいたと。
親が納得するレベルってものすごく高いんですよ。たぶんメチャクチャ難しい話です。50歳の人がアニメーション見るかって言った
ら、まず見ない。そういう人たちを納得させる映像っていうのはある意味垣根を越えていて。ストーリーも解りやすくなければいけ
ない。だから、パッと見てわかりやすく、興味がわいて納得させなけりゃいけない。そう考えると他の目標を考えるよりわかりやす
い。だから一番最初に出来た作品は親と親戚に配る(笑)で、大体クレームが来る。「ダメー」って。今回の(新作用の)曲聞かせ
た時点で「説教くさい」ってクレーム来た(笑)。
木下: 僕は、やっぱり自分の話が作りたいんです。で、伝えたい事とか、そういう・・・、言語には限界がある訳で、だからいろん
なコミュニケーションがあって、音楽やる方とか映像作る人とか、絵を書く人とか、パフォーマンスする人とか、色々ある・・・。で、
僕なりに人とのコミュニケーションで伝えたいことがあって、それを伝える上で、アニメーションが、たまたま一番伝えやすかったん
です。ホントは何でも良かったんですよ、最初は。
だから、アニメーションがやりたいっていうよりは、「自分が作りたいもの」を作りたいっていうのが一番先なんですよね。