2024年12月13日 19:03 | 無料公開
謝罪する千葉県がんセンターの加藤厚病院長(左から2人目)ら=13日、県庁
千葉県がんセンター
千葉県がんセンター(千葉市中央区)は13日、食道がんの治療中だった県内在住の60代男性が2021年6月、医療事故による多臓器不全で死亡したと発表した。糖尿病などになりやすいステロイドを男性に投与していたが、定期的な血糖測定を行わず、高血糖状態に注意を払うのが遅れた。遺族とは和解が成立している。
同センターによると、男性は食道がんの治療を受け病状は改善したが、その後脳にがんが転移。すぐに死に至る可能性のある脳浮腫が見つかったことから、脳の腫れを防ぐステロイドを増量し投与した。
がん進行による慢性的な高血糖状態に加え、ステロイドには血糖値を上昇させる副作用もあることから、極度の高血糖で意識障害などを引き起こす「糖尿病性ケトアシドーシス」を発症し、多臓器不全で亡くなった。
同センターは外部有識者を含めた医療事故調査委員会を設置し、患者への対応を検証。委員会が22年3月にまとめた報告書は「ステロイド使用中に定期的な血糖測定が実施されず、高血糖状態への治療がされなかった」と指摘。同センターは「突然現れた、対応を急ぐ病状に注力してしまい、高血糖に注意を払うのが遅れた」としている。
再発防止策として、ステロイド使用患者には定期的な血糖測定を義務化し、糖尿病専門医による外来を設置した。加藤厚病院長は記者会見で「患者や遺族には申し訳ない」と謝罪。「再発防止策を強化し、このようなことが二度とないよう、医療の質や安全の向上に努める」と話した。