1991年舞台のドラマでは、みんな吸っている。
会社の給湯室で、ヒロインの同僚の女子社員が吸っているし、大事な面談のときも上司は吸っていたりする。
平成3年はまだ、昭和テイストの時代だったな、とあらためておもう。
2022年から見ると、あちこちで「野蛮」である。
逆に30年かけて、われわれはどういう地平に立っているのだろうと、不思議な感じもしてしまう。
「結婚と仕事の両立!?とんでもない」
「セクハラ」という言葉は1991年のオフィスでも使われているのだが、同時に女性は結婚したら会社を辞めるべきだという議論がふつうにまかりとおっている。
実際、花形部署への異動が決まりかけていたヒロインが「間もなく結婚するつもりです」と答えると、「結婚を諦めるか、仕事を諦めるか、選びなさい」と女性上司(浅野ゆう子)に迫られることになる。どっちも諦めませんと朝ドラヒロインらしいことを言うと、いきなり福島の工場への異動を命じられた。
「結婚と両立!? とんでもない」と男性の上司は明言しており「私は既婚の女性は信用しないことにしているんだ」と発言している。
いろいろとすごい。
ある意味、おじさんの本音が赤裸々に語られているわけだが、見ていて愉快なわけではない。
第2話で、女性上司から残業を命じられ、時間を気にしていると「男なら待たせておきなさい」と言い放つ感覚もまた、バブル時代ぽくもあり、それは裏返すと男性上位を肯定していることもわかる。
「デートのときは、男性を待たせておくものよ、それが一流の女」と言いたげなバブリーな浅野ゆう子の姿は、それは圧倒的に男性上位だからこそなされる発言であり、対等な立場からの言葉ではない。
37歳のこの女上司のことは「オールドミス」「ハイミス」とも呼ばれていて、37歳独身だともう結婚しないだろうという前提になっているのにも驚く。
なかなかいろいろ凄まじい。