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4回転半、50センチ遠くへ…[超人の科学]北京オリンピック・フィギュア

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羽生跳躍、高さより距離

 フィギュアスケート男子で五輪3連覇を目指す羽生結弦(27)(ANA)が、フリーで前人未到の4回転半ジャンプに挑む予定だ。成功のチャンスはあるのか。(科学部 中根圭一)

 「フィギュアのジャンプは、走り高跳びより走り幅跳びに近い」。陸上競技の研究が長い桐蔭横浜大の桜井 智野風とものぶ 教授(56)(運動生理学)は、そう語る。

 ジャンプの成功に重要なのは滞空時間だ。ポイントは〈1〉踏み切り速度〈2〉角度〈3〉飛距離、の3点という。

 助走が速いほど滞空時間は伸びる。踏み切りで尻やハムストリング(太もも裏の筋肉)が生むエネルギーは回転力にもなる。前向きで跳び半回転多く回る「アクセル」は、他のジャンプに比べて速さが重要だ。

 速度は、最新技術で計測する。フジテレビと画像処理会社 Qoncept が共同開発した映像解析システム「アイスコープ」は、2018年全日本ジュニア選手権から試合データを数値化した。高精細の4Kカメラ2台で解析し、競技の新しい魅力も伝えている。

 データによると昨年12月の全日本選手権で、羽生の助走速度は後ろ向きで跳ぶ4回転サルコーで時速18.9キロ、前向きで跳ぶ4回転半で時速25キロだった。原付きバイクの制限速度に近い高速だ。

踏み切り角度…最長不倒の走り幅跳びに近く

 踏み切り角度はどうか。桜井さんの分析によると、羽生は22~23度が多い。陸上走り幅跳びで1991年に世界記録8メートル95を出し、30年以上破られていない米国のマイク・パウエル(58)の踏み切りとほぼ同じだ。世界一に必要な「ゴールデン角度」とも言える。

 だが全日本選手権で挑んだ4回転半の踏み切り角度は26度で、重度の回転不足となり失敗した。桜井さんは「上向きに跳ぶと、重力に抗するエネルギーのロスが大きい」と説明する。

 角度を戻し飛距離で滞空時間を稼げれば、4回転半に近づく。22~23度で飛距離を50センチ・メートル伸ばすと、滞空時間は約0.1秒長くなる。羽生の1回転は0.2秒前後で、着氷まであと半回転できる計算だ。

 「夢と思われた4回転半は計算上、十分に跳べる」と、桜井さんは分析する。

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