フィギュアスケート、ルール改正 質の高い技へ~ISU技術委員に聞く~

見る人が納得できるように

 2017~18年シーズンまでのルールでは4回転の基礎点が特に高かった。さまざまな種類の4回転を数多く組み込めば、ジャンプの質やプログラムの完成度がやや低かったり、多少なら転倒したりしても勝ててしまう可能性があった。岡部さんは「見る人の疑問をできるだけ少なくしていかなくてはいけない」と言う。

 「フィギュアスケートではないスポーツをたくさん見ている人からは、フィギュアスケートは転倒しても勝てるので意味が分からないという声も多く聞かれる。転倒したらスキーや体操では絶対に勝てない。4回転を跳んで転んだ人と2回転しかできない人ではベース(の基礎点)が違うのでしょうがないが、見て素晴らしいとみんなが思うような質の良いジャンプを跳んで、完成度の高いプログラムを演じた選手が勝つ競技にしたい。失敗の仕方によっては点数が大きく減ってしまうが、きれいに成功させればより点数がもらえる。(新しいルールは)そういう考え」

 踏ん張って着氷しても回転不足になれば基礎点を大幅に引かれてしまう。むしろ転倒してもいいから形だけでも回りきった方が点数を多くもらえる、という風潮がこれまで少なからずあった。技術委員会は転倒を「最大の失敗」であると定め、拡大したGOEでもマイナス5点を付ける。

 「きれいに着氷できなかったり転倒したりしても、回転さえしていればその方が点数をもらえるから(難しいジャンプを)組み込むという声も聞いたことがある。トリプルアクセル(3回転半)に関して、最近の女子ではエリザベータ・トゥクタミシェワ(ロシア)がなんとか降りたが、転ぶのを前提に跳んでいる選手がいると聞いた。(技術委員会で)それは違うという話になった。どんなに難しいことをやっていても失敗したらだめ。成功しないと点数がもらえないというルールでなくてはいけない。見ている人が納得できるスポーツでなくてはいけないという思いは強くある」

 ISUはかつて、質の高いジャンプを促すために回転不足による減点を導入した。その当時は選手がリスクを避ける傾向に振れ、10年バンクーバー五輪の男子では4回転を跳ばなかったエバン・ライサチェク(米国)が金メダルを獲得した。今回のルール改正で技術の進化に歯止めがかかる危惧もあるが、岡部さんは「勝ちたかったら(4回転を)やるしかない」と心配はしていない。

 「今はそういう時代になりつつある。あの(バンクーバー五輪の頃の)時代とは少し違う。技術が進歩しているので(ルールとの)追いかけっこ。成熟したスポーツになるようにルールを改正しているが、選手にとって厳しいものになってしまうこともある。特に男子はふたを開けてみないと分からないが、質の良いものをやってくると思う」

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