第285話 コーネリアと艦内プールで遊んでいると、館内放送からミランダの声が流れ出した。

 コーネリアと艦内プールで遊んでいると、館内放送からミランダの声が流れ出した。


 『アーバン先輩、コーネリア様、まもなく魔海まかい上空に差し掛かります』


 「魔界?」


 「アーバン、魔界ではなく魔海だ。強力なモンスターたちが多く生息していて、かつて何百と言う船を沈めたとされる海域だよ。今では誰も近づかない。テオの乗船していた客船、シュエリハ・ヒューリー号もこの辺りで転覆させられたという見解が多いね」


 「ああ、例のクラーケンやら海竜やらですか」


 「そうだよ」


 なんでそんな場所に軍用艦じゃなくて客船が?

 テオが乗ってたらクラーケンを倒してくれると踏んでたのかな?


 「アーバン、海が見える場所に移動しないかい?もしかしたら海竜がこの眼で見れるかも知れないし、見てみたいのだが」


 「ここからでも見えるよ」


 「ああ、ここも部屋と同じで壁が透過するのか」


 「そうだよ、ちょっと待ってて」


 一旦プールから上がり壁に取り付けている操作パネルで壁を透過させる。

 プールの場所はネモフィスの船首に近い前方上部で天井と前方と両サイドの壁が一気に透過され、青い空、白い雲、そして太陽の光を反射してキラキラと輝く海が、俺たちの目に飛び込んで来た。


 「部屋の時も思ったが、この解放感が良い。風やにおいが感じられないのが少し残念だが」


 「透過しているだけで実際は壁があるからね」


 それにしても、魔海という名には似つかわしくなく、穏やかで綺麗な海だ。


 「搭乗型ゴーレムの操縦席と同じという訳だね。向こうからは透けて見えないわけだ……アーバン、この魔道具で女性たちの着替えや入浴を覗いたりしていないだろうね?」


 「…………シテナイヨ」


 「怪しい……」


 コーネリアがプールから上がりこちらに近づいてくると、後ろに回ってチョークスリーパーを決めて来た。

 

 「正直に白状しないか。覗いたんだろ?」


 うーむ、まったく痛くも苦しくも無いのはコーネリアがただ腕を添えているだけなのか、それとも俺の身体能力が上がり過ぎている所為だろうか。

 コーネリアもドラゴンを単独で何度も討伐して、今や魔力値は1万を軽く超えているのだが。

 あ、背中に良い感触が……


 「はっ!まさかサリーや母上の入浴まで覗いたりしてないだろうね?!」


 「ちょ?!そっちは流石に本当にしてないよ!」


 「掛かったねアーバン。つまりそれ以外は覗いたという事だな?」


 「あ……」


 なんて楽しいひと時を過ごしていた時だった。


 『前方に強力な魔力反応!!何か居ます!』


 艦内に響いた声に反応して俺とコーネリア、それと俺たちの様子を微笑まし気に眺めていた数名のメイドが一斉に艦前方を注視した。


 海面の一部が盛り上がり、大きな飛沫を上げながら、そこから姿を現したのは青いドラゴンの頭、首は長く……というか、見た感じ水面のしたは巨大な蛇のようになっている気がする。

 何かの映画だかアニメだかゲームだかでみたリヴァイアサンというのに似ている気がする。

 おそらくあれが海竜というモンスターだろう。


 「おお!アレが海竜か!初めて見たが、凄い迫力だね!」


 コーネリアが興奮しています。

 多分海竜はテオの話しにでも搭乗するのだろう。


 海竜はパカリと口を開くと、いきなり口からを放ってきた。

 ……きちゃない。


 海竜の口から放たれた、渦巻く水は勢いよくネモフィスに向かって一直線に飛び、バリアによって弾かれ四散した。


 「洗車は間に合ってるよ」


 主にカボたちが頑張ってくれているのだ。


 「アーバン、それを言うなら洗艦では?」


 「……そうだね」


 『あ、あいつ撃って来ましたよ?!アーバン先輩!主砲で反撃しても良いですか?!』


 俺は今ただの乗客で、ミランダは艦長なのだから自分で判断してくれ、とも思わなくも無い。

 後で今後は俺の指示を待つ必要は無い事を伝えておこう。

 とりあえず今回は―――


 俺はタッチパネルに触れて、艦橋に内線を繋げる。


 「ミランダ聞こえる?多分主砲じゃ無くても倒せるよ。手法は無駄に魔力を食うから使用は出来るだけ避けて。カボたちにビームで攻撃させてみてくれ。それでも倒せそうに無かったら主砲を使っても良いよ」


 本当は主砲が発射されるところをみたい気持ちもあるのだが、今回はそこそこ長期の旅行の予定になっているので、魔石の魔力は温存しておいた方が良い気がする。

 ちなみに、航行自体はミランダの魔力である。ミランダの魔力が少なくなってきたらタナファやブリッジにいる3人のメイドが操作を交代する事も視野に入れている。

 

 深夜はカボたちによる操作と念の為にウルドがブリッジに詰める事になっている。

 夜間や戦闘で消耗した魔石の魔力は世話役として連れて来たメイドたちによって翌朝補給される。

 よってウルドは今寝ている。

 もともとブラック気味だった職場に夜勤が加わったよ、やったね。

 ……帰ったら皆には2か月間ぐらい休みを上げようかな。多分誰も休みたがらないけど。


 無数のビームが一斉に海竜の頭部を貫き、ネモフィスの初戦闘は一瞬で終了した。

 

 やっぱ弱かったな海竜。


 「アーバン、海竜が弱いなどと考えて良そうだから一応教えておくと、有史以来海竜の討伐に成功した記録はただの1つも残っていないよ。小型の死骸が浜辺に打ち上げられただけでも大騒ぎさ」


 「じゃああの海竜の死骸は回収した方が良いですかね?」


 「……そうだけど、どうやって?」


 「ミランダ、一旦艦を制止させて、他にレーダーに反応は?」

 

 『魚程度です』


 「それじゃあイブたちに海竜の死骸を次元収納で回収するように通達してくれる。あ、ウルドは起こさなくて良いから。解体出来そうなら解体も頼みたい」


 『了解、通達します』


 ゴーレムに使える素材が取れれば良いんだけどな。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

魔道具師志望ですがゴーレム以外興味はありません 大前野 誠也 @karisettei

作家にギフトを贈る

ギフト、コメント、星、ブクマ、レビュー、 有難う御座います! 執筆のモチベに繋がっております!
カクヨムサポーターズパスポートに登録すると、作家にギフトを贈れるようになります。

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ