異形交差
トラップ手帳の3ページ目書いてて怪異堕ち勢のネタもっと欲しいなって思ってたらなんかできてました。
いろんなネタをお借りしております、ケモ系のニッチな描写に若干注意。
──キーンコーンカーンコーンと、この空間においての救い……あるいは地獄の時を告げる鐘が鳴る。
『“█”がオシャに今日の終礼を告げっんうぅ♡邪魔をするのはノットオシャだぞ♡終わったら付き合うから♡もう少し待って♡……すまない、改めて今日の終礼を告げる。怪異は速やかに下校して、監獄生は次の予鈴までゆっくりと休め。オシャすみなさい』
文字にしてしまえばまるで放送中に猫が戯れてきた程度に思えるが、実際のところ涼やかな声の後ろではずっと粘着質な水音や腰のぶつかる音、そしてぽ、ぽ、と聞こえる彼の主人の言葉が漏れていた。
放送室から流れていた悲鳴や嬌声はやがて甘え声に変わり、蟻生が怪異を受け入れてからは定時の予鈴終鈴と突発的に始まる交尾実況、あとは不定期な来客の知らせが始まった。
怪異化した時の彼について、自身の性質に加えて主人の特徴を色濃く発露させた結果ぱっと見禁欲的な白いドレスと揃いの帽子を被り、監獄にいた時より長く伸びた髪はより艶やかになっていたのをふと思い出す。
媚毒散布のせいですっかり怯えられているのは俺もだけど、そもそも監獄で切磋琢磨した仲間たちを害したい訳ではないのだ。少なくとも俺はそうだから。彼が定時で放送を入れるのも安心させたかったり覚悟させる為なんじゃないかと忍者は思う訳。
ま、痛いより気持ちいいの方が壊れるにしても幸せだろうし。俺くらい強い素質を持ってる様だったら是非こちら側に引き込みたいって下心もあるけど。
そんなことを考えながら向かうは飼育小屋。ここには乙夜が知る限り怪異化した中で一番無害でかつある程度理性的な存在がいる。
すやすやと眠るデカうさぎの横でカエルの様に伸びた雌兎を起こす。
「ちゅーす、休み時間のお知らせでーす」
「むにゃ……にんじんバーガー……いただきま…ぁ?」
俺のマック新作は!?と叫びながら飛び起きたウサ耳の青年……閃堂はぱちぱちと目を瞬きさせる。
「あー……また気絶しちまった。ウサ吉も本当にお盛んだよな。俺じゃなくてもっといいメスがいると思うんだけど、ウサ吉はここから出られないし俺も相手してるから出られないし。良いうさぎとか外で見たりしてないか?」
実際は早々に番認定されてそこそこに怪異化が進行しているのだが、鈍感なのか正常性バイアスがかかっているのか平然としている。普通の人間は耳がうさぎになって尻尾が生えたあたりでおかしいと思うのだが、彼はウサ吉と意思疎通ができる様になったり異常な程にジャンプ力が上がっても特に気にする様子はなかった。
飼育小屋から一番近い屋外部室のシャワールームで汚れを落とす閃堂をカーテンの前で待ちながら世間話をする。彼がずっと飼育小屋に閉じ込められていたのは把握していたものの、ウサ吉……もとい飼育小屋のヌシの警戒心が強く接触できるようになったのは鴆鴆様によって怪異化してからだ。しきりに蟻生のことを気にしていたからか、今は幸せそうだと伝えると目に見えて安堵していたのをふと思い出した。
「ところでさ、俺最近複乳出てきたんだけど。流石にウサ吉に俺はオスだぞって言った方が良いよな?」
「なんて?」
「ぽつぽつって等間隔に湿疹ができたっぽいから小屋の環境良くしたいって言ったらそれはおっぱいだから大丈夫ってウサ吉が。母乳出ないのにな〜。小屋自体は俺が住みやすい様にして良いって言ってたから、今度保健室あたりからシーツとか持ってくるの手伝ってもらいたいなって」
「……あー、えっと。男はおっぱいがいっぱいあると嬉しい生き物だからウサ吉も大好きな相手におっぱいがいっぱいできて嬉しいはず。忍者の直感だけど」
前言撤回。理性的に見えるだけで中々狂ってたわ。ウケんね。