LINEヤフー、オンライン診療「LINEドクター」終了で、LINEヘルスケア社は全事業消滅

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LINEヤフーがオンライン診療サービス「LINEドクター」の終了を発表した。

撮影:三ツ村崇志

LINEヤフーが、子会社のLINEヘルスケアを通じて提供していたオンライン診療サービス「LINEドクター」を2025年6月10日に終了することを発表した。併せて、「花粉症@LINEヘルスケア」をはじめとした疾患啓発アカウントも順次終了する。

LINEヤフーによると、LINEヘルスケアの全事業が終了することになるという。

LINEドクターは今後、2025年3月10日に新規診療、服薬指導予約を停止し、5月9日頃を目処に診療の終了。6月10日に全機能を停止する。疾患啓発アカウントについても、3月10日に大半が終了予定。片頭痛@LINEヘルスケアと乾癬@LINEヘルスケアについては、各アカウントを通じて終了時期が通知される見通しだ。

いったい何があったのか。

期待された巨大プラットフォームの参入も……

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LINEという巨大プラットフォームのオンライン診療への参入は、業界の地殻変動を起こすと期待されていた。

撮影:三ツ村崇志

LINEドクターの運営元であるLINEヘルスケアは、医療プラットフォーマーであるエムスリーとLINEがオンライン医療事業を目的に2019年に共同出資(LINE:51%、エムスリー:49%)して誕生した企業だ。医療業界の巨人と巨大ITプラットフォーマーのタッグは、日本のオンライン医療の普及を加速させる起爆剤になるのではないかと期待されていた。

LINEドクターは、新型コロナウイルスの流行下だった2020年12月に、オンライン診療需要の高まりから当初計画を前倒しする形でスタート。2022年12月には処方薬の配送サービスもスタートし、2023年10月には登録薬局以外でも処方薬を受け取れる機能を追加するなど、LINEヘルスケア設立当初にうたっていた「最適な医療の実現、病気や様々な症状に悩む患者様のプラットフォームとして医療業界の課題解決に資する様々なサービスの提供」を体現しようとしてきた。

ただ、LINEヤフー広報によると2023年1月31日にLINEヘルスケアは共同出資体制からLINEヤフー(当時はLINE)の100%子会社へと移行。エムスリーとの関係が切れた。今回のLINEドクターのサービス終了を踏まえると、巨人同士のタッグは、不発に終わったと言えるだろう。

なぜサービスが終了することになったのか。サービス自体は比較的順調に伸びていたように見える。

2024年1月のプレスリリースでも、2023年度は前年比で診療件数が2倍に成長したと発表している。処方薬の配送サービス利用者数についても、サービス開始時の2022年12月と比較して、2023年12月は約10倍に伸びるなど、コロナの流行がある程度落ち着いた中でも成長を続けていた。

LINEヤフーの発表によると、今回のLINEドクター及び疾患啓発アカウントの終了の理由は、グループ内での重複事業の一本化、および中核事業へのリソースの選択と集中を進める中での決定だとしている。つまり、LINEとヤフーの統合が大きく影響しているということだ。

LINEヤフーは2023年10月にLINE、ヤフー、そしてソフトバンク傘下のZホールディングスが経営統合し誕生した。その後、今日に至るまでPayPayとLINE Payの統合などを筆頭に、グループ内での事業再編を進めている。

あくまでも「LINEヤフー内」での事業再編

では、統合の影響とは、いったいどういったものだったのか。

LINEドクターの終了に際して、LINEヤフーはユーザーに同じソフトバンクグループ傘下でオンライン診療サービスを手掛けるヘルスケアテクノロジーズが2025年春を目処に提供を開始する予定のオンライン診療アプリ「HELPOドクター」を通じた継続利用を勧めている。LINEヤフーの説明によると、「HELPOドクター」は、LINEドクターとほぼ同じような機能があるという。

HELPOドクターの運営元となるヘルスケアテクノロジーズは、ソフトバンクらによって2019年5月に創業した医療ベンチャーだ。その後2022年7月には、ソフトバンクの完全子会社になった。

2023年秋のグループ統合によって、同じソフトバンクグループ傘下にオンライン診療事業が2つ存在することになったわけだ。これが事業再編のきっかけになったというのなら話は分かる。

ただ、LINEヤフーの広報は、今回のLINEドクターのサービス終了は、「(ソフトバンクグループではなく)あくまでもLINEヤフーグループ内で中核事業へのリソース集中を考えてのもの」であり、ヘルスケアテクノロジーズとの関係を考慮してのものではないという。これはつまり、LINEヤフーとして、オンライン診療にいま注力すべきではないと経営判断したことになる。

気になるのは、LINEヘルスケアの今後の立ち位置だ。

LINEヤフーでは、「引き続き医療機関や薬局などヘルスケア領域のクライアントに向け、マーケティングソリューションの提供を拡充してまいります」としているが、それがどういう形で進むことになるのかまでは、今回の発表からはうかがえなかった。

全事業が消滅したことで、将来的にLINEヘルスケアの解体の可能性もあるのか。LINEヤフーは

「大変恐れ入りますが、現時点では回答を差し控えさせていただきます」

と、Business Insider Japanの質問に応じた。


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