救急車の運転手、17時間休みなしで横転事故 「眠気に襲われた」
東京都昭島市の国道で救急車が横転する事故が昨年末にあり、東京消防庁は17日、この救急車の運転手が約17時間にわたってほぼ休みなく活動し、内部調査に「眠気に襲われた」と説明していることを明らかにした。同庁は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う救急要請の増加が事故の背景にあるとみている。
ADVERTISEMENT
捜査関係者によると、救急車は昨年12月29日午前1時50分ごろ、昭島市拝島町2丁目の国道を走行中に中央分離帯に衝突して横転。搬送先の病院から消防署に戻る途中だったため車内に患者はいなかったが、乗っていた救急隊員3人が軽傷を負って別の救急車で病院に運ばれた。車内のカメラには、運転手のほか助手席に座る隊員が居眠りする様子が映っていたという。
東京消防庁によると、隊員3人は前日の28日午前8時半に出勤し、最初に出動した同9時から事故のあった29日午前1時50分ごろまでの約17時間、休憩も挟まず出動し続けていた。出動件数は7件で、搬送までに1件あたり平均で約2時間以上かかっていた。コロナの影響で病床が逼迫(ひっぱく)しており、コロナ以外の一般の救急患者についても受け入れ先の病院を探すのに時間がかかっていたという。
同庁は「事故を重く受け止め、救急業務の実施体制を見直すなど全庁をあげて再発防止に取り組む」とのコメントを出した。また、「現状の出動時間と件数が続くと厳しい状況。緊急でない通報は119番ではなく救急相談センター『#7119』を使ってほしい」としている。
ADVERTISEMENT
総務省消防庁によると、全国の主要52消防本部で9~15日の1週間に、救急患者の搬送先がすぐに決まらない「救急搬送困難事案」が8161件あり、4週連続で過去最多を更新した。
有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます