最高のコオロギを育ててくださる生産者が1つ、日本から失われました。
一昨日の「食用コオロギ生産を手がけるグリラスが自己破産」というニュース。
僕らANTCICADAのコオロギ生産パートナーだったこともあり、友人やお客様から多くの連絡をいただいたので、今の僕の気持ちを書かせてください。
今回のニュースを受けて、ネット上では、「潰れて良かった!」「ざまあみろ」などという反応も少なくありません。悲しいです。心が痛みます。。。
全くもってコオロギ食の強制なんてしていないのに、「コオロギ=悪者」とされ、誹謗中傷がおこってしまう。また(炎上や風評被害が全ての原因ではないにせよ)結果として、未来に向けて想いを持って取り組む事業の存続が断たれてしまう。
やりきれない気持ちです。
マイノリティな領域で挑戦する以上、避けて通れない壁なのかもしれません。それでも、こういった挑戦の足を引っ張る世の中ではあって欲しくありません。
(この辺の想いは、昨年の昆虫食大炎上の時に書いたので省きます。)↓
話を戻します。
グリラスさんは、ANTCICADA創業当初から二人三脚で「美味しいコオロギ」の育成に取り組んでくださった大切なパートナーであり、恩人でした。
グリラスさんのお陰で、美味しいコオロギラーメンを提供できたし、納得のいく昆虫食を届け、胸を張って挑戦し続けてこれました。料理をつくり、商品を開発する身としては、愛情を持ってコオロギに向き合い、育ててくださる存在がいることは、何より心強かったし、頼もしかったんです。
「こういう味のコオロギって育てられますかね?」「アイデアあるのでやってみます」なんてやりとりをしながら挑戦できた日々は大切な宝物です。
実際、グリラスの創業者・代表の渡邉さんは20年近くコオロギを研究する研究者で、ラボとしては30年以上、コオロギを研究してきた豊富な知見がありました。どんな些細な疑問にも誠実に答えてくださり、少しでも美味しいコオロギを育てようと愚直に、一歩ずつ歩まれていました。
形は変われど、この知見が今後に活かされることを切に願います。
今、最高のコオロギを育ててくださる生産者が1つ、日本からなくなりました。
とてもとても悲しいですが、この状況に負けてたまるかという気持ちも同時に芽生えています。今すぐこの世論や空気感を覆すことは難しいけれど、僕としても「美味しいコオロギ」や「魅力的な昆虫食」には自負があるし、自信があります。
なので、これからも以前と変わらず、信じるものを作り、届け続けます。
(念のため書きますが、虫を食べたくない人は食べる必要はありません。しかし、個々人の趣味趣向や考えは闇雲に否定されるものであってほしくありません。)
「そんな言うなら一度試してみるよ」と、少しでも、コオロギや昆虫食に興味を持っていただけた方がいたら、ぜひお店にいらしてください。そして、ご自身の感覚で味わって、判断していただけたら嬉しいです。
1杯に180匹を使用したコオロギラーメン。
最高のコオロギ出汁をとって、お待ちしております。
P.S. 昆虫食に関して不安や疑問を持たれている方は、TAKEOさんのQ&Aがとてもよくまとまっているのでぜひ目を通してみてください。
文責:篠原祐太
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